小倉 唯

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【小倉 唯 インタビュー】
細部にも工夫やこだわりを
詰め込んだ一枚

今年7月でアーティスト活動10周年を迎えるタイミングに相応しく、集大成的な一枚となった4thアルバム『Tarte』。自身初のセルフプロデュースアルバムとして、リード曲「ta・ta・tarte♪」の《いちご チェリー アップルに/もしかしてよくばりタルト?》という歌詞のとおり、まさに“欲張り可愛い”が詰まったアルバムについて、その制作過程を訊いた。

過去3枚のアルバムタイトルに登場する
赤いフルーツを“全部乗せ”

『Tarte』は“自身初のセルフプロデュースアルバム”と銘打っていますが、前作のアルバムまでと比べて、ご自身としてどのような違いがポイントになりましたか?

今回はタイトル考案から、新曲6曲の曲調や楽曲同士のバランス調整まで、とにかくアイディア出しに力を注ぎました。また、リード曲「ta・ta・tarte♪」では初のMV監督にも挑戦したり。自分自身でも納得できる作品を届けられるように、細部にも工夫やこだわりを詰め込んだ一枚です!

早速ですが、自身作詞の「ta・ta・tarte♪」はどんな楽曲に?

“欲張り可愛い”アルバムを象徴する楽曲として、1stアルバムから順に『Strawberry JAM』の《いちご》、『Cherry Passport』から《チェリー》、『ホップ・ステップ・アップル』からは《アップル》と、過去3枚のアルバムタイトルに登場する赤いフルーツを“全部乗せ”にした一曲になりました。歌詞は見習いパティシエの女の子が立派なケーキを頑張って作る姿を描きながら、私自身が日常生活で感じた心境の変化や、時には悩める姿なども落とし込んでいて。ただキラキラして夢見がちなだけでなく、現実と理想の間で揺れる想いを意識しながら作詞に向き合いました。

私が取材に向けて制作したメモには“小倉 唯さんは、実はタルトだった”とだけ書いてありました。この楽曲で描かれるタルトは、頑張り屋だからこそ時にそれが空回りしてしまう、小倉さん自身のメタファーとも言えますよね。

そうですね、自分自身を投影している節はすごくあります。私の活動をずっと見守っていてくださる方々には気づいてもらえるのかな? アルバムのメッセージに深みを出すために、あくまでポップな曲調にしながらも、歌詞を通してリアルな心情は忘れずに描いているので、そのギャップを楽しんでいただけると思います!

そこから「ハピネス*センセーション」「I・LOVE・YOU!!」「Fightin★Pose」と、既発シングル曲が連続して並びます。この曲順にも何らかの意図があるのでしょうか?

実はあまり意識していなくて。というのも、今回のアルバムは王道なラブリーソングや、ビートの際立つダンスチューンが続くかと思えば、しっとりめな雰囲気を挟んだりと、本当にバリエーション豊かな楽曲揃いなんです。なので、楽曲同士が極力喧嘩をしないように、聴き心地の良い流れを念頭に考えていたら、自然とこの曲順になりました。

ダンスチューンの「PRISM BEAT」の配置には、アルバム前半にあるラブリーソングのパートから流れを変える役割も考えて?

そうですね。あとは、アルバム内でも特に目立つ位置に置いてあげたいなと。この楽曲が完成した時に“ものすごいダンスチューンが生まれてしまった!”という実感を抱いたほどなので。「Fightin★Pose」で初挑戦したラップに再びチャレンジしたので、さらに進化した小倉 唯を見てもらえたら嬉しいです!

7曲目「慈しみカンパニュラ」は直前の「Very Merry Happy Christmas」と同じくメルヘンな曲調ですが、こちらはどちらかと言うと大人っぽく切ないアレンジですね。

カンパニュラにはとても切ないギリシャ神話の物語があるんです。その物語の神秘性がこの楽曲にもマッチするのではないかと考えて、歌詞のテーマに選びました。もともとはクリスマスの時期をイメージした楽曲として生まれたもので、“この楽曲はいつか歌いたいな”とずっと寝かせていたんです。なので、今回の発表にあたって楽曲構成やサウンドアレンジに調整を加えました。

少し話が脱線しますが、小倉さんはどのくらい楽曲ストックを持っているんですか?

ちゃんと数えたことはないですが、何曲かありますね。その楽曲が最大限に輝けるリリースタイミングを狙って、常に気を張っているんです。“今じゃないけど、きっとこの楽曲は絶対に歌うタイミングがくるな”と予感するような楽曲も結構あって…それこそ「ta・ta・tarte♪」は、本当に3年間くらい熟成させました(笑)。

なんとまた! 今回のアルバムには、他にも熟成させた楽曲があるのですか?

実はかなり多いです。今回のアルバムテーマにマッチすることを基準に選ばせていただきました。書き下ろし楽曲もありますが、コンペで選んだのは「Wish」と「桜色ラビネス」あたりかな?

ちょうど名前が出た「Wish」はどんな楽曲に仕上がりましたか?

アルバムで唯一のロックナンバーになっています。今なお大変な状況が続く世の中ですが、そうした時にも自分の感情を強く持って前進し続けたい…そんなメッセージを歌った、芯の太さを感じる歌詞にも注目してほしいです。
小倉 唯
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アルバム『Tart』【CD+BD盤】
アルバム『Tart』【CD+DVD盤】
アルバム『Tart』【通常盤】

OKMusic編集部

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