『RADIO CRAZY presents THE GRAND
SLAM』オフィシャルレポートーー爆音
でブチ上げたSiM、キュウソ、ハルカ
ミライら5組

FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY presents THE GRAND SLAM 2021.12.26(SUN)京セラドーム大阪
2021年12月25日(土)から28日(火)の4日間、京セラドーム大阪にて『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY presents THE GRAND SLAM』が開催。ラジオ局・FM802が主催する年末恒例のロックフェスで、2年ぶりの開催となる今年は長年開催してきたインテックス大阪から場所を移し、1ステージの新しいスタイルで全40組がライブを繰り広げる。今回は、26日(日)前半の模様を早速レポートしよう。
FM802 DJ 大抜卓人
オープニングMCを担当したFM802DJ大抜卓人による、「今日いよいよ、新しいロックのシーズンを迎えます! 皆さん準備はいいですか!?」との開幕宣言から、京セラドーム大阪に響きわたる咆哮と共に2日目の火ぶたを切ったのはハルカミライだ。1曲目の「君にしか」からドームだろうがライブハウスだろうが誤差ゼロのテンションでぶっ放す!
ハルカミライ 撮影=渡邉一生
「カントリーロード」のさなか、「みんな頭と体をちゃんと起こしてきたか? まだ起きてねーだろ。分かるんだよ。ただ大丈夫、任せろ。今日の、君の、真のアラームは、ハルカミライの爆音だぜ! いくぞ!!」(橋本学/Vo、以下同)とブチまけそのまま「ファイト!!」へとなだれ込み、観る者を覚醒させるトップバッターとしての役割を存分に発揮。
ハルカミライ
演奏中にTシャツを脱ぎ捨て真冬日などものともしない熱量で、「俺達が呼んでいる」「春のテーマ」「PEAK'D YELLOW」と畳み掛け、前半戦で既に6曲という狂乱の全力疾走ぶり。「気持ちいいぜベイベー! 京セラドームで飲む水、うめー!!」と橋本が漏らすのも納得のほとばしる情熱が胸を駆け抜ける。
ハルカミライ
「俺たちハルカミライと言います。初めてのヤツもどうか聴いてって、観てってくれ」と語り掛けた後は、「世界を終わらせて」「僕らは街を光らせた」を、ドラマチックかつエモーショナルに歌い上げる。ドームの距離感など優に越えてくる強くて優しいハルカミライの歌に、グッと引き込まれたオーディエンスも多かったことだろう。「アストロビスタ」では<ねえ知ってるかい? 思い出は強さなんだよ、こうやって思い出を残そう>と再び命を燃やし尽くすようなエネルギーを放出する。
ハルカミライ
これにてフィナーレかと思いきや、「あと3分あるぞ! やっちまおう!!」とまさかのおかわり「ファイト!!」では橋本がステージから消える=陥落するハプニングも(笑)。トドメは「Tough to be a Hugh」と、セットリストにはない楽曲を瞬時に織り込む瞬発力と、それを当たり前にこなすライブバンドとしての筋力を見せつけ、しょっぱなからDAYS2のハードルを上げに上げまくったハルカミライのライブだった。
ハルカミライ
キュウソネコカミ 撮影=渡邉一生
サウンドチェックからB’ zの「ultra soul」のメロディをシンセでなぞり沸かせたキュウソネコカミは、ボン・ジョヴィの「You Give Love A Bad Name」という往年のベタベタ名曲SEを背に登場し、ライブではおなじみの鉄板曲「ビビった」からスタート。昨日のDAY1ではウルフルズのライブにコーラスで参加し花を添えたキュウソだったが、満を持しての自らのパフォーマンスでは巨大な空間を駆け巡る照明もろともブチ上げ、みんなで手を振る壮観と一体感を早々に生み出していく。
キュウソネコカミ
続いては「推しのいる生活」と期待を裏切らずにしっかり応えるメニューで、2年ぶりの『RADIO CRAZY』を心から待ち望んだロックキッズをおもてなし。「去年よりは会える機会が多くてうれしかったぜー!」とヤマサキセイヤ(Vo.Gt)も喜びを爆発させ、「GALAXY」では「ドームでやったらすごい景色になるんじゃないかと思うんです」とヨコタシンノスケ(Key.Vo)がスマホのライトの点灯を促せば、その言葉を具現化するかのように美しいパノラマが広がっていく。
キュウソネコカミ
その後も、サラリーマンの悲哀を歌ったエレクトロなダンスナンバー「シャチクズ」、三三七拍子のリズムで「家」と言い続けるだけでなぜかキャッチーな「家」と、これぞキュウソな楽曲でドームを踊らせ、MCでは「恥ずかしながら、「GALAXY」の光の演出で久しぶりに感動して涙が出ました。想像以上でした。リハで「もう二度と出ることはない」みたいなことを言ったけど(笑)、あの感じ……やっぱり(カワクボ)タクロウ(Ba)にも見せなあかんなと。またここを目指します! 立てるように頑張ります。続けていこう」と現在療養中のメンバーを気遣いつつ、新たに生まれた夢を語るヤマサキ。
キュウソネコカミ
後半戦も「The band」「3minutes」とアッパーチューンで盛り上げ、ヨコタは「続けさせてくれてありがとう。ずっと止まらんから、これからもよろしく!」と感謝と決意を述べる。ラストの「ハッピーポンコツ」まで全8曲、笑顔も涙もない交ぜに、彼らがライブという現場の楽しさを改めてかみしめたように、それを受け止めた客席もきっと同じ気持ちだったことだろう。
キュウソネコカミ
KEYTALK 撮影=田浦ボン
「どんどん踊っていきましょう!」との寺中友将の(Vo.Gt)の呼び掛けから、いきなりのアンセム「MONSTER DANCE」をブチ込んだのはKEYTALK! 巨大な舞台を所狭しと駆け回る姿からは、数々のロックフェスで場数を踏んできた余裕すら感じる。季節を軽々越えたポップでハードな「Summer Venus」でもきっちり会場を温め、巨匠こと寺中と首藤義勝(Vo.Ba)が代わる代わるスイッチするツインボーカルのうまみで魅せていく。
KEYTALK
ひと息ついて、「楽しんでますかー!? 例年とは違った会場、違った形ですけども、こうやって無事『レディクレ』が開催できて本当にうれしく思います! すごいな、京セラドーム」と小野武正(Gt.MC.Cho)が驚いていると、大の野球好きという八木優樹(Dr.Cho)は「ドームで初めてライブします! 超うれしい」と、その興奮を隠せないご様子。
KEYTALK
後半戦は、「大脱走」のクセになるサビのフレーズが耳に残る中、間髪入れず始まった「太陽系リフレイン」でも高揚感が止まらない。ピークにピークを重ねるように容赦なく「パラレル」「a picture book」と連投する波状攻撃で、寺中と首藤はしなやかな歌声をどこまでも遠く響かせていく。それにしても、初期から最新までキラーチューンを何発放り込んでも弾が切れない、KEYTALKの豊かなレパートリーには恐れ入る。
KEYTALK
そして、ライブは早くもクライマックスへ。軽快なビートに身も心も躍らせる「宴はヨイヨイ恋しぐれ」、寺中の「来年はもっともっとみんなとライブハウスで会えるように、そんな活動をたくさんしていきたいと思います。ぜひKEYTALKについてきてください!」との宣言を受けた「桜花爛漫」が、ピンクの照明と相まって鮮やかにドームを染め上げる。彼らが全国のロックフェスから愛される理由が手に取るように分かる盤石のステージングで、『RADIO CRAZY』の新たな歴史にまたもその足跡を残したKEYTALKだった。
KEYTALK
FM802 DJ 仁井聡子
FM802DJ仁井聡子が、「私はこの方々の曲を聴くと、身の回りのあれやこれやが愛おしくなります」といざなったのは、打首獄門同好会だ。
打首獄門同好会 撮影=渡邉一生
1曲目から「新型コロナウイルスが憎い」という混じりっ気なしの思いを朗らかに歌い上げたかと思えば(笑)、「京セラドームは(会場のルールに基づき)ジャンプができない。ただ、ジャンプはできなくても、スクワットならできるのではないか?」(大澤敦史/Vo.Gt、以下同)と提案し、「筋肉マイフレンド」へ。想像してください、アリーナでみんながスクワットする奇妙とすがすがしい光景を。どんな日常も困難も歌=パワーに変換する打首に、向かうところ敵なし。「私を二郎に連れてって」でも、今日もまたライブ帰りにラーメンを食べに行く人がいったいどれだけいるだろうという波及力で胸に迫る(笑)。
打首獄門同好会 
「皆さん、仕事納めはいつ頃なんでしょうね。最後までみんな元気で前向きに乗り切っていこうじゃないか。そんな気持ちを込めて」と、またも全人類の願いを余白ゼロのタイトルに込めた「はたらきたくない」を披露。ダークなリフと明朗なコーラスが心を埋め尽くし、「そんな年末に、この冬一番の寒波が来てるらしいじゃないですか。そんな明日の朝を思ってもう1曲」と、またも全人類の叫びを余白ゼロのタイトルに込めた(笑)「布団の中から出たくない」へ。優しいギターのカッティングと狂暴な爆音を行き来するツンデレぶりに心地良く翻弄されながら、またも「カンガルーはどこに行ったのか」の轟音を浴びる。この爽快感はやはりライブならではだ。
打首獄門同好会
「この年末は酪農業が大変らしいです。牛乳が余るらしいです」というフリからの「牛乳推奨月間」では、心のコール&レスポンスをマスク越しに引き出し、続く「島国DNA」でもそのセオリーを遵守。
打首獄門同好会
最後は、「2022年はきっと今年よりもいい年になると信じています。また来年もこうしたフェスなりライブハウスで遊びましょう。皆さんの2022年が大豊作になりますように」と「日本の米は世界一」でエンディングへ。重低音を疾走させ、アリーナに幸福な音の渦を作り上げた打首獄門同好会だった。
打首獄門同好会
■SiM
SiM 撮影=田浦ボン
サイレンようなSEと稲妻のようなライティングで、冒頭から胸をざわめかせる見事な演出。音と光の総合芸術で瞬く間に心臓を貫き、「CAPTAiN HOOK」が始まるや瞬殺のライブアクトぶりで圧倒したのはSiMだ。雷鳴のごときヘヴィネスを掲げ、「JACK.B」でもその手を一切緩めることなく進撃。「これこれ! これを待ってた!!」と細胞に気付かせるような刺激しかないサウンドウォールで、「Devil In Your Heart」でも重さと速さは人を狂わせることを証明する美しいシンフォニーを作り上げていく。
SiM
「今年も『RADIO CRAZY』に帰って参りました。久々にライブに来た人も少なくないと思います。ライブはやっぱりいいですよ。ただ、ライブハウスだろうがインテックスだろうがドームだろうが、やることは変わりませんので。思いっ切りいきましょう!」(MAH/Vo、以下同)
有言実行、いや、それ以上のすごみと迫力でねじ伏せた「KiLLiNG ME」を経由し、「野球場でやるこの曲はひと味違うぜ!」と「BASEBALL BAT」をアリーナに投下。重戦車級の轟が地面を伝わって体を揺らす、これぞライブな快感がたまらない。
SiM
「今日は2021年ラストライブでございます。今年は自分たちのツアーも何とか回ることができたんで、ちょっとバンドマンらしい生活が戻ってきて、前に進めた1年だったなと思います。ここからは上にいくしかないと思ってるので、来年は必ずいい年になると思うよ。踏ん張って、カッコつけて生きていきましょう! 人間は原始時代からずっと音楽と共に生きてきたわけで、歌を歌う生き物だから、その権利を誰にも奪うことはできない。きっと2022年にはみんな声を出せると思うから、そのときは一緒に大声出して歌ってください。いつかモッシュとかできるようになったら、最高だなと思います。そこまで倒れないように、倒れても立ち上がれるように、バンドを続けていくんで」
SiM
SiMのその音像に、その言葉に、奮い立たされる。最強にして最凶の「Blah Blah Blah」で魂を突き上げられ、「f.a.i.t.h」で2021年のフィナーレを飾る。王者の風格と不屈の精神を刻み付け、SiMの怒涛の1年は幕を閉じた。
SiM
取材・文=奥“ボウイ”昌史 撮影=FM802提供(渡邉一生、田浦ボン)
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