倖田來未、ブレイク期の
アルバム『Black Cherry』で
“エロかっこいい”とは
何だったのかを改めて考える
“エロかっこいい”でブレイク
倖田來未がブレイクした2004年頃には彼女の枕詞として“エロカッコいい”が盛んに用いられていたと思うし、彼女自身も率先して言っていたような記憶は確かにある。Wikipediaにもこうある。[2004年5月26日、11thシングル「LOVE & HONEY」をリリース。このシングルが、久々のトップ10入りのヒットを記録した。このシングルに収録された、本人も友情出演した映画『キューティーハニー』の主題歌でもあるアニメ「キューティーハニー」主題歌のカバー曲は、彼女の出世曲となった。「エロかっこいい」と形容される独自のスタイルを確立した]([]はWikipediaから引用)。そこからおおよそ20年。倖田來未周辺から発信された“エロカッコいい”は彼女の元を離れ、類似する事象に当てはまる言葉として派生したと言える。
この“エロカッコいい”という形容。2004年頃にも“これはどういう意味なのだろう?”と思っていた節があったのだが、今となってみると、前述したさまざまな検索結果ページからしても、ほぼ“セクシー”と同義と言っていいようではある。ただ、“セクシー”はかなり漠然としている上、単に性的な魅力を指す言葉として機能することもあり、場合によってはその中身が性の対象というか、エロスのみと見られることもあったように思う。それは今もそうで、“セクシー●●●”とか“セクシー△△△”などがそれに当たるだろう。そう考えると、そうした下品なものと完全に区別し、自らの音楽性やエンターテインメントのスタイルをより具現化するためにも、“エロカッコいい”というキャッチは必要だったし、実に的確な言葉のチョイスだったのでは…と思う。また、自らのスタイルを大衆に広げることにおいては、必要不可欠、なくてはならない惹句だったとも言えるのではなかろうか。今回、『Black Cherry』を聴いて、そこに気づいたところではある。今さらながら…ではあるし、若い読者にしてみれば“何それ?”という若干お門違いな考察と見られる向きもあろうが、以下、『Black Cherry』から倖田來未の“エロカッコいい”とは何であったのかを考えてみたい。