L→R KOHTA(Ba)、ギル(Gu)、キリト(Vo)、Karyu(Gu)、TAKEO(Dr)

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【Angelo インタビュー】
最後のアルバムを
最高のものにしようという
意識で向き合った

単に神話的な世界を描くんじゃなくて
自分たちの現実とリンクさせたい

「VOICE」は“ずっと貴方の声を追い求めている”ということを歌っていますよね。

そうですね。この曲のコンセプトはずっと昔から僕の中で続いているもので、「VOICE」はそのひとつの集大成みたいなところがあります。いくつか引出がある中のひとつとしてずっと追求してきたもので、僕はどこかから聞こえる声に導かれていたりするんです。それは変なオカルトな話ではなくて、普段生きている中でも道を踏み外しそうな時とか、何かネガティブな気持ちになってしまった時に、“このままいくと良くない状態になるぞ”という声が聞こえてくる。と言っても、実際に聞こえるわけじゃなくて、心の中にもうひとりの自分がいるというか。もうひとりの自分が“このままいくとヤバいぞ”とか“今は弱気になっているからそういう選択を採ろうとしているけど、本当にそれでいいのか?”とか言ってくるんです。要は自分との対話なんですよね。僕も人間なので、何もかも投げ出したくなる時があるけど、もうひとりの自分が“ここで逃げたら取り返しがつかなくなるぞ”と言ってきて、最悪の状態になることなく生きてこられた。それをこれまでも何度か歌ってきていて、「VOICE」はその最新版なんです。

人というのは自分の内なる声が聞こえていつつも良くないほうへ、楽なほうへと流れてしまうことが多いわけですが、キリトさんはストイックに生きているんですね。「VOICE」は宗教的な匂いがありつつ現実的な歌詞と言えますし、「ガイア」も神話的な世界観でいながら“創造を止めないことで、諦めた心に芽生え始めた希望が確信に変わる”というメッセージソングになっていますし。

自分の価値観そのものからはちょっと離れているかもしれないけど、Angeloの楽曲のモチーフとして宗教的なものだったり、聖書に書かれているものだったり、歴史上で“神”と呼ばれているものだったりを持ってくることが多いんです。ただ、単に神話的な世界を描くんじゃなくて、そういったものをモチーフにして自分たちの現実とリンクさせたいんです。仮に、この世界が神が創造したものであり、そこに対して悪魔的なものが反抗したとしたら対立が生まれるじゃないですか。そうなった時に、そこで生かされている我々人間はどう解釈して、どういう道を進んでいくのかを選択することになる。それは現実世界でも起きますよね。“善と悪”の解釈だったり、イデオロギーに対する解釈だったり。そういうふうに、宗教的なモチーフからリアルに転換させるということもずっとやってきている引出しのひとつとして僕の中にあるんです。神話や聖書に描かれていることをそのまま受け取るんじゃなくて、現代を生きている自分として解釈し直してストーリーを作ることが大事だと思っています。

ファンタジーではなくて、リアルな人生を描きたいんですね。ちなみに、宗教や神話などへの興味はいつ頃から芽生えたのでしょう?

もともとは宗教に対する嫌悪感から始まっているんです。自分の親は無宗教だったんですけど、子供の頃から周りに宗教に入っている人とかはいて、そういう人と話をした時に、いい大人がひとつの考えに洗脳されて画一的な思考になっていることに違和感があったんです。僕は日本人というのは柔軟さを持った民族だと思うんですよ。例えば、クリスマスにはサンタ・クロースが来てプレゼントをくれるということになっていて、それはキリスト教的な考え方ですよね。それを楽しむ一方で、クリスマスから一週間後のお正月には神社にお参りに行くという。僕は子供の頃からそういう柔軟さはいいなと思っていたんです。あとは、小学生の頃に校門のところで宗教家…今思うとヤバいキリスト系の信者とかが来て、子供に冊子を配っていたんですよ。僕ももらったことがあるんですけど、今の人間はもうすぐ地獄に落ちるとか、神を信じるものだけが救われるというようなことが書いてあって、すごく嫌な気持ちになった。なので、そういうものが子供ながらに一切受けつけられなかったんです。聖書に書いてあることも、そのままでは受けつけられなかった。大人が言ってくる“一生懸命に勉強すれば偉くなれるよ”とか“学歴が高ければ、社会で勝ち組になれるよ”というのも一緒で、押しつけられる理論が嫌だったんですよね。だからこそ自分なりの考えをちゃんと持っていたいと思って、そのためには宗教を排除するんじゃなくて、キリスト教は何を言おうとしているのか、仏陀の教えとはどういうものなのかといったことを知る必要があると思ったんです。いろんな思想がある中で、どれをチョイスして自分の中に取り入れれば、自分なりの価値観が構築されるのかに興味を持ち始めて、宗教やイデオロギーについて調べたりするようになったんですよ。だから、宗教をモチーフにすることはあっても、特定の宗教の思想をそのまま歌詞にすることはないです。

OKMusic編集部

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