生き様と音楽が直結した
ブランディ・カーライルの力作
『バイ・ザ・ウェイ・
アイ・フォーギブ・ユー』

本作『バイ・ザ・ウェイ・
アイ・フォーギブ・ユー』について

そして、2018年にリリースされたのが本作『バイ・ザ・ウェイ・アイ・フォーギブ・ユー』。サウンド面は初期の頃のスタイルに近いが、楽曲の仕上がりに深みが出ていて全体的にドラマチックな仕上がりとなっている。

プロデュースは今アメリカで最も乗っているアメリカーナ系のデイブ・コブ(ジェイソン・イズベル、スタージル・シンプソン、クリス・ステイプルトンを手がけグラミー受賞)と、ウェイロン・ジェニングスの息子でアウトロー・カントリーの継承者として知られるシューター・ジェニングスの二人が担当している。また、ストリングスアレンジにはエルトン・ジョンやデビッド・ボウイなどを手がけたポール・バックマスター(2017年没)が参加、生前の彼にとって、この仕事が最後だったのではないか。カーライルはエルトン・ジョンがアイドルのひとりであるだけに、バックマスターの起用は彼女の希望であったのだろうと思う。

収録曲は全部で10曲。全曲文句なしの出来であるが、中でも「ザ・マザー」は曲の素晴らしさはもちろん、ミュージックビデオが秀逸なので是非ご覧いただきたい。

本作のあと、カーライルはマレン・モリス(恐るべき歌唱力)、アマンダ・シャイア(ジェイソン・イズベルの妻)、ナタリー・ヘンビー(著名なソングライターでもある)と、カントリーグループのハイ・ウイメンを結成し、アルバムもリリースしている(全米カントリーチャートで1位、グラミー賞も受賞)。

最後に、カーライルの新作『イン・ジーズ・サイレント・デイ』(’21)は10月1日にリリースされたばかり。僕は未聴であるが、本作同様、コブとジェニングスがプロデュースを担当しているだけに、本作のスタイルを踏襲していると思われる。

TEXT:河崎直人

アルバム『By the Way, I Forgive You』2018年発表作品
    • <収録曲>
    • 1. エヴリ・タイム・アイ・ヒア・ザット・ソング/Every Time I Hear That Song
    • 2. ザ・ジョーク/The Joke
    • 3. ホールド・アウト・ユア・ハンド/Hold Out Your Hand
    • 4. ザ・マザー/The Mother
    • 5. ワットエヴァー・ユー・ドゥー/Whatever You Do
    • 6. フルトン・カウンティ・ジェーン・ドウ/Fulton County Jane Doe
    • 7. シュガートゥース/Sugartooth
    • 8. モウスト・オブ・オール/Most Of All
    • 9. ハーダー・トゥ・フォーギヴ/Harder To Forgive
    • 10. パーティー・オブ・ワン/Party Of One
『By the Way, I Forgive You』(’18)/Brandi M. Carlile

OKMusic編集部

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