L→R HIDE-ZOU(Gu)、Tsunehito(Ba)、ASAGI(Vo)、Ruiza(Gu)、HIROKI(Dr)

L→R HIDE-ZOU(Gu)、Tsunehito(Ba)、ASAGI(Vo)、Ruiza(Gu)、HIROKI(Dr)

【D インタビュー】
古の竜が紡ぐ過去と未来の物語ー。
竜族の始祖“Zmei”の
壮大な歴史が今、紐解かれる。

このアルバムは新たなDの
代表作になるんじゃないかと思う

ありがとうございます。それでは、話題を新作『Zmei』へと移します。今回のアルバムはミニアルバム『愚かしい竜の夢』のナンバー、5thアルバム『7th Rose』に収録している「花摘みの乙女 ~Rozova Dolina~」が再び収められています。ヴァンパイアや妖精でなく、“Zmei=竜”の物語が語られることになったのはなぜでしょうか?

ASAGI
『愚かしい竜の夢』はミニアルバムだったわけですが、物語の中で関連性を感じたこともあって、Tsune(Tsunehitoの愛称)扮するカーバンクルと飛竜の新曲「Draco animus」をFC限定でTsuneの誕生日記念としてリリースしたんですね、そのように新たに曲が生まれていく中で、“こういうシーンも描きたい”と考え、フルアルバムを作りたいと感じたんです。もともと東欧のあの独特の雰囲気に興味があったのと、自分が生み出す物語の中では竜が出てくるシリーズが幾つかあるので、竜の起源は遠い過去でつながりを保たせて統一させたいと思って。その辺をこのコロナ禍の中、さらに掘り下げていきたくなったのがきっかけですね。

『愚かしい竜の夢』で表現しきれていない部分があって、そこから新曲作りに至った…ということではなく、さらに広がりを持たせたいと思ったんですね。

ASAGI
ミニアルバムとして『愚かしい竜の夢』は表現しきれています。ただ、今言ったように、新たな曲が生まれていく中で他の楽曲とのつながりが見えてきたんですよね。今回は特にヴァンパイアストーリーに出てくる飛竜族…飛竜族の始まりにはダリエというヴァンパイアが関係していて、それは「隷獣 ~開闢の炎~」で描いていますが、戦いの最中にカーバンクルを庇い、敵の毒矢に射たれて生死を彷徨う状態になっているんですね。これらのお話はヴァンパイアストーリーでも語られているのですが、“じゃあ、この飛竜はどうなってしまうんだろう?”と。そう思って作ったのが「Draco animus」で、カーバンクルが瀕死の飛竜を助けるために竜の始祖“Zmei”に会いに行く場面なんですよ。そんなふうに“では、飛竜はどのように復活するんだろう?”といったことが自分の中でどんどん広がっていったんです。そう考えているうちに“毒矢を受けたけど、ただ単に快復するよりは、毒の耐性を身につけてさらにパワーアップしたほうが面白い”と思って作ったのが新曲の「Venom immunity」で。その後、イメージが膨らんで話が進んでいった感じですね。

なるほど。で、その竜の物語の主題は「Lamb’s REM sleep」の歌詞《地の果てへと竜は追われ人の世は悪を生んだ》とあるように、竜は邪悪として語られるけれども、その悪は人間が作り出したものであることを示したかったのではないかと思いました。

ASAGI
蛇もそうですけど、竜って聖書でも悪の象徴として描かれているじゃないですか。でも、実際には蛇や竜が悪なわけではないんですよね。ヨーロッパの伝承でもよくドラゴンは出てきますが、その国や地域によっては悪と見なされたり、善と見なされたりしていて、それってドラゴンそのものがどうかということではなく、要は自分たちの目線からして敵か味方かということなんですよね。一方から見たら悪でも別の一方から見れば善にも見えるというか。狼やライオンなどの捕食者である獣が被捕食者を捕えても、自然下の食物連鎖では何ら不思議なことではないですし。でも、人の目線で見るとそれも悪と見なされたりしますよね? “Zmei=ドラゴン”は想像の生き物ですけど、いわゆるファンタジーの世界では竜は大抵悪として描かれます。でも、竜は知能も高いし、僕は残虐であるとは思えないんですよ。ただ、人にとって絶対的な強さを誇っている竜は恐れの対象であり、かつ敵と見なして討伐の対象となるのだと思います。だから、僕にとってZmeiも他の竜も悪の象徴だと感じたことはないんです。

以前、ヴァンパイアのストーリーにおいて、ASAGIさんは“ヴァンパイアはどのような過去があって、人が言うところの悪の象徴と成り果てたのかを描いてみたかった”とおっしっていましたが、“Zmei=竜”とヴァンパイアでは認識が異なるんですね?

ASAGI
ヴァンパイアのことは基本、悪しき存在と感じています。ヴァンパイアも東欧に伝わる伝承が始まりとされていますが、人が人を襲うことはタブーなんですよ。もしかしたら、それを他の獣が襲うのと同じではないかと感じる人もいるかもしれませんが、良くも悪くも人は神に創造された唯一、他の生き物とは異なる種ですし、そもそも神を呪って夜な夜な血を求めるヴァンパイアって倫理的にアウトじゃないですか(笑)。血は神聖である一方で、肉から離れた血を再度取り込むという行為は汚れでもあると思いますし。人は誰もが産まれながらに不完全ですが、ヴァンパイアはそこからさらに不完全なものとなるわけです。激しい渇望がありながらも、如何にしてその欲と立ち向かうかが大事であって、欲望のまま好き勝手に血を啜ることを描きたいわけではないんですよね。一方、Zmeiは三つ首の竜で、それぞれの首に“自我”“イド”“超自我”という役割をそれぞれに与えてるわけですが、その中で均整が保たれているからこそいいものの、“イド”である本能だけが勝ってしまえば危険なわけです。僕の頭の中の独自の拘りを全部話すのは難しいんですけど、とりあえず竜とヴァンパイアは僕の中ではかなり立場が異なっているんですよ。

既発曲と新曲の融合、竜とヴァンパイアのクロスオーバーであることを考えると、『Zmei』はDのマーベル・シネマティック・ユニバース化、その第一弾ではないかと。

ASAGI
MCUですか!?(笑) 僕はDCエクステンデッド・ユニバースも好きなので、そのとらえ方はあながち間違いではないかもしれませんね。日本で言うと松本零士先生や手塚治虫先生のようなスターシステムは昔から取り入れているんですよ。ヴァンパイアストーリーの中でもそれぞれの人物像をフィーチャーした独自の流れがあって。ただ、それはあくまでもヴァンパイアストーリーの中での分岐だったんですけど、ここ何年かでヴァンパイアストーリーと『愚かしい竜の夢』の世界がクロスオーバーしたということになりますよね。ソロ作品も加えると、「Seventh Sense/屍の王者/アンプサイ」(2016年4月発表)というシングルがあるんですが、これは「Seventh Sense」を基盤に「屍の王者」か「アンプサイ」か通常盤に収録されている「ZERO」に分岐するんですけど、マルチエンディングで、どの道を選択するかによって、僕の描く物語の歴史が変わってしまうんですよ。「屍の王者」の道を選べばその後そこからヴァンパイアストーリーや『Zmei』の世界が生まれ、「アンプサイ」を選べば『名もなき森の夢語り』(2012年11月発表のミニアルバム)が生まれ、「ZERO」を選べば全ては存在しなかったことになるか、次元が歪んだりする。そう思うと、年々規模が大きくなりつつあるのは間違いない(笑)。
Ruiza
MCU…新たにストーリーが広がっていくのは、まさにその感じですよね。タイミングが合えば、さらに広がっていきそうな気がします。
HIDE-ZOU
我々Dのヴァンパイアストーリーにはさまざまな登場人物がいて、それぞれがドラマチックな内容になっていますし、今回のテーマでのストーリーの広がりは、このシリーズをより深みのあるものにしたと自分は思いますね。
Tsunehito
物語の背景とか登場するキャラクターをどんどん深く知ることができて、さらにストーリーも深化していくことで、ファンもワクワクしてくれるんじゃないですかね。 
HIROKI
Dは活動も長いぶん、楽曲にはさまざまなコンセプトがあるんですけど、そんなふうに考えると、自分はこのアルバムは新たなDの代表作になるんじゃないかと思いましたね。

なるほど。ASAGIさん以外のメンバーは、今回の『Zmei』で竜の物語が再び語られると最初に知った時にはどんな感想を持ちましたか。

Ruiza
さらに濃厚な世界観になるだろうし、それぞれの楽曲がどれもカッコ良いので、デモを聴いた段階で完成を楽しみにしていましたね。僕自身、フルアルバムになってよりパワーアップしたこのストーリーを早く聴きたいと思いました。
HIDE-ZOU
自分もそうです。この物語の新たな方向性をとても嬉しく思いましたし、当時からの夢の続きを見ていくような感覚もありました。
Tsunehito
4月にFC限定でリリースした「Draco animus」は自分が作曲した楽曲なんですけど、歌詞はヴァンパイアストーリーの物語でありつつ、『愚かしい竜の夢』と深くつながるストーリーを浅葱さんが描いてくれて。それが『Zmei』でさらに物語が広がるんだなと楽しみにしていましたね。
HIROKI
僕も『愚かしい竜の夢』の続編をとても楽しみにしていました。原曲を聴かせてもらった時にイントロのインパクトからの重厚感を大事に演奏しようと思いましたね。「愚かしい竜の夢」もそうでしたが、音数での勝負ではなくタイトさを追求しています。もちろんドラムが際立つプレイもしていますから、聴き応えは十分にあると思うので、そこは期待していてほしいです。

OKMusic編集部

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