ジェフリー・コマナーの
3rdアルバム『ア・ルーモア・イン・
ヒズ・オウン・タイム』は
イーグルス人脈が参加した注目作!

本作
『ア・ルーモア・イン・
ヒズ・オウン・タイム』について

そして、76年にリリースされたのが本作『ア・ルーモア・イン・ヒズ・オウン・タイム』である。いきなりドン・フェルダーのギター(イーグルスの「オールレディ・ゴーン」を彷彿する)が炸裂する名曲「マイ・オールド・レイディ・アンド・ユア・オールド・マン」からスタート。コーラスにはこだわりのあるコマナーだけに、トム・ケリーとティム・シュミットのコーラスも素晴らしい出来だ。2曲目の「ウィッシング・フォー・サタデイ・ナイト」はジョー・ウォルシュの情感たっぷりのツインリード(多重録音)が聴きもので、これも名曲。「ラスト・ソング」でアル・クーパーが珍しくリードギターを弾いていたり「ラブ・ミー・ノット」ではピュア・プレイリー・リーグのラリー・ゴショーンがリードギターで参加していたりなど、他所では見られないゲストの使い方が面白い。

リズムセクションを務めるのはベテランのコリン・キャメロン(Ba)、ゲイリー・マラバー(Dr)、デビッド・ガーランド(Key)で、AORっぽいガーランドのプレイとロックフィールを持つキャメロン&マラバーが意外とマッチしている。プロデュースは、ウエストコーストロックを知り尽したジョン・ボイランが担当している。

本作はウエストコーストロックとAORの中間的な仕上がりで、イーグルスの『オン・ザ・ボーダー』が好きなら間違いなく気に入ってもらえると思う。特にコーラスの分厚さではポコやファイアーフォールに負けていないし、コマナー自身のボーカルやギターも相当巧い。他にも78年にイングランド・ダン&ジョン・フォード・コーリーが大ヒットさせた『ウィル・ネヴァー・ハヴ・トゥ・セイ・グッドバイ・アゲイン』も収録されているが、この曲は本作がオリジナル。

アルバムはクーパーの燻し銀のオルガンとコマナーとドン・ヘンリーのコーラスが絶品の名曲「リッチモンド」で幕を閉じる。本作はレベルの高い楽曲、コーラスの絡み、曲にマッチしたギターワークなど、多くの聴きどころがあるアルバムなので、この機会にぜひ聴いてみてほしい。

余談だが、その後コマナーは音楽界を引退し、イラストレーター、俳優(これはミュージシャンの時から)、作家、子どもの歌の作曲など多彩な才能を発揮していたが、大学院に入ってカイロプラクティックの博士号をとり、現在はジョージア州にあるケネソー・マウンテン・クリニックの院長を務めている。

TEXT:河崎直人

アルバム『ア・ルーモア・イン・ヒズ・オウン・タイム』1976年発表作品
    • <収録曲>
    • 1.マイ・オールド・レイディ・アンド・ユア・オールド・マン/MY OLD LADY AND YOUR OLD MAN
    • 2.ウィッシング・フォー・サタデイ・ナイト/WISHING FOR SATURDAY NIGHT
    • 3.ラニング・バック・ホーム・トゥ・ユー/RUNNING BACK HOME TO YOU
    • 4.ユード・ビー・サプライズド/
    • YOU’D BE SURPRISED
    • 5.ラスト・ソング/LAST SONG
    • 6.ラヴ・ミー・ノット/LOVE ME NOT
    • 7.ソング・オブ・ザ・ロング・ナイト/SONG OF THE LONG NIGHT
    • 8.ウィル・ネヴァー・ハヴ・トゥセイ・グッドバイ・アゲイン/WE’LL NEVER HAVE TO SAY GOODBYE AGAIN
    • 9.ロード・トゥ・ノーホエア/ROAD TO NOWHERE
    • 10.リッチモンド/
    • RICHMOND
『ア・ルーモア・イン・ヒズ・オウン・タイム』(’76)/Jeffrey Comanor

OKMusic編集部

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