mona(CV:夏川椎菜)feat.HoneyWorks

mona(CV:夏川椎菜)feat.HoneyWorks

【mona(CV:夏川椎菜)
feat.HoneyWorks インタビュー】
monaはアイドルではあるけれど、
可愛いだけが
アイドルじゃないと思っている

音楽&映像制作チームとして、10年にわたり楽曲とMVからストーリーを作り出し、アニメ・小説・映画とメディアミックスを展開してきたHoneyWorks。その登場人物であるmonaの1stアルバム『#名前だけでも覚えてって下さい』には、ひとりのアイドルの泥臭い姿と赤裸々な胸のうちが描かれている。彼らが提示し続ける青春の光と影は切なくも眩い。そんな今作についてHoneyWorksのコンポーザーのGom、shito、イラストレーターのヤマコ、モゲラッタが語ってくれる。

歌詞にはキャラの心情が細かく書かれ
MVを作る時点で裏設定ができている

今作はHoneyWorksが展開しているプロジェクト『告白実行委員会~アイドルシリーズ~』に登場する女性アイドルのmonaの1stアルバムということですけれど、そもそも彼女はどういった経緯で生まれたキャラクターなんでしょう?

shito
最初に成海聖奈というキャラの「可愛くなりたい」(2017年2月発表のアルバム『何度だって、好き。〜告白実行委員会〜』収録曲)という楽曲があって、そのMVに彼女の妹の萌奈として登場したのがmonaの初出しなんですよ。MVの動画制作を担当していたモゲラッタから“こういう妹設定はどう?”というプレゼンを受けて。当時は男性アイドルのLIP×LIPをやっていたから、女性アイドルもやりたいという希望があったんですね。で、これはいい機会なので“mona”というアーティスト名義での曲を作るようになり、1曲目の「私、アイドル宣言」を書いた時から“いつか彼女のアルバムを出したい”と考えていたんです。
モゲラッタ
もともと聖奈はひとりっ子の設定だったのが、「可愛くなりたい」のMVの打ち合わせをする中で“妹を作ろうか?”という話になって。“じゃあ、聖奈ちゃんは髪も長くて女の子らしい女の子だから、萌奈はサバサバして達観した女の子にしよう!”と、ビジュアルも短髪のボブにしたんです。前髪ぱっつんだけが聖奈と共通で、性格も見た目も真逆な姉妹ですね。

しかし、楽曲に絵をつけてMVのかたちで発表するだけでなく、キャラクターを設定して人間関係を作り、ストーリーを展開して、さらにアニメや小説にまでメディアミックスしていくというのは、非常に斬新な手法ですよね。

Gom
HoneyWorksを始めた頃に『カゲロウプロジェクト』が流行っていたりもして、楽曲をキャラクターソングとして発表する流れは少しあったんですよ。実際、楽曲を曲単体で楽しんでくれる人もいれば、“MV付きじゃないと観ない”って人もいますし、とにかくキャラクターが好きで二次創作をしてくれる人もいる。自分たちは音楽制作チームでありながら映像制作チームでもあるので、作品がどんどん広がってほしいというシンプルな想いのもと、小説化やアニメ化を提案してくれるチームがあれば一緒にやってきたという流れなんです。
ヤマコ
MVを作る時点で、表には出ない裏設定も結構あったりするんですよ。だから、“本当は絵で描きたいのに尺が足りなくて描けない!”ってこともあったり(笑)。例えば小説化する時は、そういった裏設定まで作家さんにお伝えしているし、逆に作家さんから“こういうエピソードを入れたらどうでしょう?”といただいた提案が曲になることもあるんです。なので、自分たちだけじゃなく、それぞれがアイディアを出して、ひとつにまとまっていくイメージですね。

曲やキャラクターに対しての愛が、きっと深いんでしょうね。だから、そこに命を吹き込みたいという想いが強くなるというか。

ヤマコ
そうですね。歌詞の時点でキャラクターの心情も細かく書かれているので、MVを作る時も感情移入して“もっと愛されるように”という想いはあります。

ちなみにmonaに関しては、どういったキャラクター像や心情をイメージして曲を作られているのですか? 歌詞を見ると、かなりガッツがあって喰らいついていく子という印象を受けましたが。

shito
monaはアイドルではあるけれど、可愛いだけがアイドルじゃないと思っているんですよね。カッコ良さであったり、エモさだったり、可愛いだけじゃないアイドルというのは全ての前提としてあります。等身大というか、リアルな10代が悩んでいそうなことをモチーフにすることで何かを感じてもらえたら嬉しいから、いわば人間臭ささみたいなところは意識して書いてますね。
Gom
やっぱりmonaを考えた時、お姉ちゃんである聖奈の存在は外せなくて。人気の読者モデルで誰からも憧れられる、あんな完璧な姉がいたら実際問題しんどいじゃないですか。それでも頑張ろうとしている姿が美しかったり、姉と違う強さを持っていたり、そういう泥臭い部分はテーマとして根底にありますね。

だから、monaの曲は心情を赤裸々に曝け出したものが多いんですね。そのmona役は声優の夏川椎菜さんが務められていますが、彼女をmona役に選んだ決め手は何だったんでしょう?

shito
以前、夏川さんが所属する声優ユニットのTrySailに楽曲提供した時、声を聴いて“歌、めちゃくちゃいい!”と思ったのと…確かモゲ(モゲラッタの愛称)の希望もあったよね?
モゲラッタ
そうですね。夏川さんは他の作品でアイドルの役もやっていますし、お姉ちゃんの聖奈の声が同じTrySailの雨宮天さんなのもあって、夏川さんがいいなとお願いしました!
ヤマコ
夏川さんのmonaを聴いて、もう“めっちゃ可愛い!”って(笑)。本当にアイドルらしい溌溂とした、でも可愛らしいイメージがあって、すごくいいなと思いましたね。

実際のレコーディングはいかがでした?

shito
夏川さんって、めちゃくちゃアーティストなんですよ。ブレスの位置とかもすごく気にするし、“ここは粒立てないほうがいいですよね”とか、いろいろ細かいところまで相談しながらレコーディングできて楽しかったです。
Gom
淡々としていたのが、本番の歌になると一気に情熱が入ったり。クリエイティブな分析をしながら一気にキャラとしての演技ができる部分とか、本当にさすがでしたね。
shito
ただ、自分らの書く曲ってメロディーの高低差が激しいし、どうしてもギリギリの高さを攻めがちだから、実際のレコーディングは大変そうでしたけど(笑)。「誇り高きアイドル」はギリギリのラインをずーっと歌わなきゃいけないんで、“あ〜、しんどい!”とか言われながら“すみません、お願いします!”と何度も歌ってもらいました(笑)。でも、その苦しそうなほどの高さが逆に生々しくて、リアルな一生懸命さが出るんですよ。
Gom
「motto☆いちごオレ」も高い! そんな高音域でも声に芯があって、あまり細くならず逃げない声っていうのが夏川さんの良さなんです。そこがエモくて、カッコ良くて、だからふたりともキーを高めに攻めちゃうのかもしれない(笑)。

その“芯がある声”というのも、monaのパーソナリティーに通じますよね。

Gom
きれいにシンクロしましたね。声が決まっていない段階って、まだキャラクターに幅があるんですよ。だけど、声優さんが決まったり、歌声が乗ることで、よりキャラクター像が固まっていくんです。
ヤマコ
声が決まると絵も描きやすくなるんです! 描いている時にその声優さんの声で再生されたり、その声にキャラクターのイメージが寄っていったり。
モゲラッタ
もともとmonaは反骨精神のあるキャラだったけど、そういったイメージがより強くなった感じはありますね。
ヤマコ
あと、声優さんが決まるとテンションが上がるよね。個人的に特に好きなのが「ファンサ」で、“いくよ!”からの盛り上げとかサビに行く感じとか、ライヴ感があってすごくいい。MVも曲も一番聴いてる曲で、過去に萌奈が出演したライヴでもテンションがガーッと上がるんですよ。トータルで“これがmonaだ!”って感じがすごくする。
shito
ライヴが終わりに近づくと、みんな“寂しいな”ってなるじゃないですか。そういう楽しいのに泣きそうになる感じとか、“次、またライヴ会いに来てくれよ!”ってステージに立つ人みんなが思うことをテーマに作詞した記憶がありますね。
mona(CV:夏川椎菜)feat.HoneyWorks
アルバム『#名前だけでも覚えてって下さい』【初回生産限定盤】(CD+Blu-ray Disc+GOODS+BOOK)
アルバム『#名前だけでも覚えてって下さい』【通常盤】(CD)

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

新着