【THE ALFEE インタビュー】
経験値を活かしたものが
今後の未来につながっていく
人生は一回きりだけど、
やり直すことは何度でも可能
歌詞について具体的にうかがいますと、近作のシングルを少し遡って聴いてみて、テーマが通底していることに気づきました。例えば、「The 2nd Life -第二の選択-」に《心挫けたってIt’s All Right!/何度でもぶつかればいい》とありますが、68thシングル「友よ人生を語る前に」では《もう一度だけ/信念 貫く覚悟で 頑張ってみないか/夢を死ぬ気になって/勝ち負け拘らずに 追いかけてみないか》とありました。この辺がTHE ALFEEとして歌うものが集約されてきている感じなんでしょうか?
高見沢
それが長年やってきて感じたことですね。一度、失敗してもまたやり直すことができる…まさに僕らがそうでしたからね。人生は一回きりだけど、やり直すことは何度でも可能だということは身をもってやってきましたんで、それを歌詞に投影させているのかもしれないですね。
それでいて《努力したって報われない/そんなときもあるさ》とも言っています。これは深いですよね。
高見沢
確かに努力してもダメな時はダメですからね。結果的に“誰のための歌か?”ということですよ。マラソンの曲をたくさん書いてたけど、マラソンの勝者というのはたったひとりでしょ? でも、その後ろには敗者がたくさんいるわけで、僕はその敗者のために歌を作りたいと思っていました。《たったひとつのVICTORY》なんて歌詞もあったけど(※註:1993年4月発表の37thシングル「Victory」)、裏返して考えれば負けた人がたくさんいるということだし、それが普通ですから。努力したって報われないというか、努力したって1位になれないことがある。それはもちろん僕らもそうでしたけど、そういう部分ではやり直しが利く人生であってほしいと。“そこで終わらないでね”っていう気持ちを込めて作りました
そこが、今回の楽曲がセカンドライフと言っても、リタイアした人が過ごすものとは違うところなんでしょうね。あと、サビは高音に伸びていきますが、コードにも関係しているのか、どこまでも伸びていくわけでもないというか、どっしりとした感じで締め括られている印象がありました。あそこには含蓄というか、ベテランならではの味わい深さを感じられるところではありますね。
高見沢
サビでは3人のコーラスをふんだんに入れて活かしてますから。3声のコーラス。ひとりで歌ったほうがメッセージソングは突き刺さるんですよ。でも、僕らはコーラスグループでもありますから、そこを活かさない手はないのでね。
《若い日には戻れない》や《いつかは誰にでも終わりは来る》といった歌詞もありますけど、サビのどっしりしたメロディーはその辺りを具現化したようでもあるのかなと。
今のJ-POPやJ-ROCKにも《何度でもぶつかればいい》というような歌詞は見受けられますが、このような歌詞を含んだ内容は他ではあまり見られないようにも思います。
高見沢
そこはリアルですよね、僕らの年齢的なところで(笑)。実年齢が66歳と67歳で、もう若い日には戻れない。けれど、経験値というのがありますから、その経験値を活かしたものが今後の未来につながっていくとも思いますしね。だから、“誰に向かって歌うか?”というと、同世代の人たちを含めて“自分たちにも歌っているのかな?”という気持ちにもなりますね。
歌うことで自らを鼓舞するようなところもあると。
高見沢
そう。歌うこと、ギターを弾くこと、コーラスをすることで、“まだまだイケるぞ!”ということを自分たちが思わないと伝わらないですからね。
自らがそう思わないと聴く人に届かないということですね?
高見沢
届かないですよ。聴く人がどの世代の人か分からないですけど、どこが引っかかれば、それでいいと思うしね。「The 2nd Life -第二の選択-」はラブソングでは決してありませんからね。