BREIMEN、溢れる音楽愛と情熱を糧に
本気で遊んだ大阪初ワンマン「なるべ
く楽しく生きていってください」

「PLAY TIME」~“Play time isn't over”RELEASE ONEMAN~OSAKA 2021.6.24(THU)梅田Shangri-La
BREIMENが6月24日(木)、大阪・梅田Shangri-Laにて『「PLAY TIME」~“Play time isn't over”RELEASE ONEMAN~OSAKA』を開催した。
本公演は5月27日(木)に同会場にて行われる予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言延長を受け延期に。ついに迎えた当日は、FMの最長寿番組『JET STREAM』のテーマ曲としてもおなじみの「Mr. Lonely」をバックに、ライブの注意事項を軽妙なトーンでマネージャーがナレーションするSEや、バックヤードからライブの直前まで聞こえてくる笑い声とリラクシンな空気に、いきなりライブの成功を確信。Shangri-Laが共振するかのような強烈なブザーノイズにまみれて、開演から5分ほど遅れてメンバーが現れる。
「ごめんね遅くなって」(サトウカツシロ/Gt)と客席にひと声かけ、まずはkanno So(Dr)のカウントから豊潤なサックスの音色が導いた「aaA」へ。高度なブレイクも難なくこなすビートを土台にゴージャスでスリリングなバンドサウンドを聴かせ、メロウでグルーヴィーな「utage」では、ジョージ林(Sax)が時折フルートにスイッチし楽曲を彩っていく。続く「PINK」でも、ストロボライトの中での壮絶なドラミング、獣の雄叫びのように声色を変えるエモーショナルなギターと、センスしかないパフォーマンスの応酬。メンバーに加え、板の上にいるスタッフであったRYUM(Roadie)、和田元気(drumtech)から何から全ての人間がパフォーマーとなる怒涛の展開で魅せた「脱げぱんつ」、メンバー間でメインボーカルを次々とスイッチした「色眼鏡」では、サトウがアジテーター的な立ち回りで場をフックアップするなど、ひたすら多彩なところを見せつける。ここで突然、高木祥太(Ba.Vo)がステージを降り高速スラップをぶちかましたかと思えば、せめぎ合う5人のサウンドに呼応するように、全身タイツの「ベージュマン」がスマホ片手に舞台上でもだえ転げる何ともカオスな光景を創出するなど、序盤から脳内麻薬を引っ張り出すような刺激的な瞬間がとめどなく押し寄せる。
BREIMEN
「こんばんは関西人! 遠路はるばる江戸から来たよ」(サトウ)
「どうですか、楽しんでますか? 俺はもしかしたらみんなより楽しいかも」(高木)
「さっきからパンツがめちゃくちゃ食い込んでるのよ(笑)。見てんじゃね-よ!」(サトウ)
「今日は初大阪ワンマンライブなんですよ。ありがとうございます、こんなご時世に来てくれて」(高木)
と、ツンデレで初の大阪ワンマン実現の喜びを伝えた後は「A・T・M」へ。ジャケットを脱ぎ捨てた高木に加え、池田優太(Key)も色気のある歌声で聴かせ、続いてサトウがボーカルを取るなどパートの分け隔てなくボーダレスに進行し、高木はサンダーキャットばりにクールなベースソロでも魅了。「ODORANAI」では、オートチューンを駆使したサウンドや鍵盤上を自在に巡るいけだのシンセソロでも見せ場を作るなど、アレンジの引き出しと各メンバーの楽器がしっかり歌うフレージングの妙、日本語詞でありながら英詞のように流麗な聴感と、セットリストが進めば進むほどBREIMENのスペシャルを思い知らされる。「ツモリツモルラバー」でも、前述のそれらをさらりと聴かせる軽やかさに、彼らのすごみと生粋のミュージシャンでありミュージックラバーであるパーソナリティを感じる。
そして、「友達を呼びまーす」(高木)と今注目のシンガーソングライターであるDinoJr.を招き、早速「Black or White(feat.DinoJr.)」で丁々発止の掛け合いを披露。その流れでDinoJr.はボイスパーカッションから自身の持ち曲「Sayonarakun」をマッシュアップし、先ほどの客演時とはまたひと味違う歌声を響かせる。類は友を、才は友を呼ぶとでも言わんばかりの共鳴コラボの後は、エキゾチックで物憂げな鍵盤の音色に誘われ高木が前っ面に腰かけハンドマイクで「Lie on the night」を歌い上げ、「noise」もろともメロウサイドのBREIMENにディープに引きずり込むなど、観客も思わず息を飲むシーンの連続。
BREIMEN、DinoJr.
「IDEN feat. AAAMYYY」では高木単独で歌唱するかと思いきや、どこからともなく聴こえてくる甘い歌声にフロアが一気にどよめく。Tempalayのメンバーとしても知られるAAAMYYYが黒いロングドレスを身にまとい登場し、個性の異なる2人の溶け合う歌声に酔いしれる贅沢極まりない時間を演出。「80s✕クラブ感」というテーマを忍ばせた「ナイトクルージング」ではオーディエンスも自ずと体を揺らし、ライブはいよいよ終盤戦へ。
「俺、さっきすげー失礼なこと言っちゃったなってずっと後悔してます、ごめんなさい」(サトウ)、「ライブ中に自分を顧みるなんて素晴らしい人間性です(笑)」(高木)とやり合いながらMCを池田に託すと、BREIMENを知ったきっかけのヒアリングやグッズ紹介を皮切りに、この日は目元のメイクがギャル仕様のメンバーが実は多いこと(笑)、大阪でのライブの印象と通りがかりの見知らぬおじさんがおいしいラーメン屋を教えてくれたこと(笑)、林のだし好きトーク中には、無駄に感動を誘うBGMを池田が即興で奏でエコーまで効かせるなど、チームBREIMENの楽しむ/楽しませるための嗅覚は音楽以外もハンパない。
そんなMCで極限まで緩み切ったムードを「IWBYL」の最初の一音で一気に覚醒させ、腰にくるファンクサウンドでShangri-Laを完全包囲! スウィートでソウルなラブソング「棒人間」でその熱量をピークにまで高め、「Zzz」ではふわりと漂うような浮遊感から一気に急降下。そのまま胸にじんわり沁み入るノスタルジックな名曲「赤裸々」と、緩急自在かつ心地良く見る者を翻弄していく。
「最後の曲です。俺らは一生アンコールをやらないと決めてるんで、かみしめて帰ってください。本当にこのご時世に、来てくれてありがとう! みんなに元気を届けようというより、俺らがみんなから元気をもらってます。先行きは分からないですけど、みんなも自分の面白いと思うことを広げて、自分で自分を癒していってください。こうやってライブに来てくれたのもその1つだと思うけど、なるべく楽しく生きていってください。俺らも続けていきます。」(高木)
そんな願いが宿ったようなラストナンバーは「Play time isn’ t over」。どれだけ時代や環境が移り変わろうと、ピュアな衝動を抱えて人生の最期まで全力疾走できるのか――? 心の奥底に改めて問いかけ火をともすような1曲で、BREIMENの大阪初ワンマンは見事エンディングへ。この5人なら、いろんなボーダーを超えていけるかもしれない。耳をつんざくフィードバックノイズに大いなる余韻と予感を刻みつけ、最後まで本気で遊び切った BREIMENだった。
なお、今後は8月3日(火)東京・渋谷CLUB QUATTROにて、『「PLAY TIME」〜“Play time isn’ t over”RELEASE ONEMAN OKAWARI〜』と題した追加公演を開催。当日は有料生配信も実施される。
BREIMEN
取材・文:奥“ボウイ”昌史 撮影:Kentre Takagi

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