超特急(Photo by 米山三郎・深野輝美・林聖)

超特急(Photo by 米山三郎・深野輝美・林聖)

超特急、
1年4カ月振りとなる
有観客アリーナツアーを完走!

 5人組ダンス&ボーカルグループの超特急が、東西アリーナツアー『Hoopla!』を6月4~6日に横浜・ぴあアリーナMMで、6月10、12、13日に神戸ワールド記念ホールで開催した。昨年2月以来、彼らにとっては1年4ヶ月ぶりとなる有観客ライブに、会場に集まった“8号車”と呼ばれる超特急ファンたちは熱狂。リクエスト曲にダンスメドレー等、“こんな状況だからこそ”の趣向が凝らされたステージで27曲(最終日のみ28曲)を披露し、事前募集されていた8号車のコール音声も会場を揺らして、“騒げ!”という意味を持つツアータイトル通りの光景を創り上げた。また、6月4日の初日終演後には、結成10周年を祝うスペシャルアニバーサリーライブを11月23日にさいたまスーパーアリーナで行うことも発表。12月25日に迎える10周年に向け、ますますブーストを上げて加速してゆく。

 毎年、春と年末にライブを行うのが恒例になっている超特急だが、昨年は新型コロナ感染拡大の影響を受け、春に予定していたアリーナツアーは中止に。CDや配信でのリリースを続けながら6月には初めての配信ライブ、8月にはWOWOWでの生中継ライブ、年末には各日演出を変えた大規模オンラインライブ3デイズと、直接8号車とは対面しない形でパフォーマンスを届けてきた。

 そして遂に叶った再会の日、“WE COME BACK!”の文字がモニターに大写しになって、弾ける火薬と共に5人がステージにポップアップすると、ユーキは“会いたかったよ、みんな!”と絶叫。会えない日々も顔を上げて生きていこうというメッセージを込め、昨年末に発表された「What’s up!?」を表情豊かに贈る5人に、8号車が振るペンライトの動きも、有観客で披露されるのは今回が初めてとは信じられないほどの揃いっぷりを見せる。続く「Kiss Me Baby」でもスモークの中から投げキスを大盤振る舞いして、ユーキのバク転も相変わらず切れ味抜群。振り切ったステージングで、幕開け早々から客席の心を鷲掴む。

 また、オーディエンスの歓声が制限された状況のなか、「僕たちのライブは8号車の声あってこそ成立するものだから」というユーキの発案により、事前にコールや掛け声の録音音声を8号車から募集。万単位での応募があった結果、横浜公演の「Drive on week」ではステージに広がる5人に8号車のメンバーコールが順々に炸裂し、ライブ鉄板曲「超えてアバンチュール」では“キミのせい!”の掛け声が会場を揺らして、普段と変わらぬ熱気で1年4ヶ月の空白を一気に埋めてゆく。ちなみに神戸公演では大人の匂い満載のクールなフューチャーベース「UNKNOWN…」を3年半ぶりにパフォーマンスして、ダンサー4人全員によるアクロバットとタカシの朗々たるフェイクで圧倒。そこにキャッチ―な「超ネバギバDANCE」を繋げたりと、横浜と神戸でいくつかの楽曲を差し替えて、久しぶりの対面で少しでも多くの楽曲を最新の形で見せたいという心意気を示した。

 MCでは歓声の代わりに懸命にペンライトを振る8号車を見て、ユーキも「目でわかるからいいね」と満足げ。自己紹介の口上でも録音音声との掛け合いで、いつも通りに8号車との共同作業を果たしつつ、久しぶりに髪を切って男前度を上げたタカシに「似合ってる!」と囃し立てたりと、客席のぶんまでメンバー同士で茶々を入れ合い、仲の良さを証明してくれたのは嬉しい誤算だ。さらに横浜公演では、ぴあアリーナMMが昨春のツアーで立つ予定の場所であったことに触れ、横浜出身のカイが「1年越しでやっと会えたよ!」と喜びをあふれさせる一幕も。神戸での単独公演も3年ぶりで、CDデビュー9周年記念日の6月10日には「この神戸ワールド記念ホールは超特急にとって思い出の場所。久しぶりに関西でライブできてホンマに良かった」と大阪出身のタカシが誠実に語った。

 舞台にせり上がった女性マネキンに仕込まれたカメラに、それぞれが薔薇を捧げる甘い表情がLEDモニターに大映しされた「Pretty Girl」、伸びやかなボーカルを聴かせるタカシを中心に全員で笑顔を見せる「up to you」とハッピーな空気を振りまいたあとは、全員で踊れるメドレーがスタート。ドラマ主題歌に抜擢されて“いきものダンス”が話題になった「My Buddy」に、タイトル通りクラップが湧く「Clap Our Hands!」、敬礼ポーズで飛び跳ねる「POLICEMAN」、ペンライトを立てて回す振りがおなじみの「No.1」。そして無表情で整然と踊る様がシュールなパラパラ曲「PUMP ME UP」まで、多彩な曲調で多彩なダンスを繰り出す構成は、声ではなく身体で楽しむことが重要な現状を踏まえてのものだろう。

 さらに、舞台裏から8号車を誘うメンバーの姿をモニターに映した「Summer love」では、そのままステージ上の扉が開いてサングラスを掛けた5人が飛び出してくるというトリッキーな仕掛けで、来るべき夏への期待を喚起。続いて、横浜では灼熱の「Make it hot!」で“オレ!”と決めてラテンのムードを醸し、神戸の「浮つきWAVES」ではカメラにウォーターガンを発射して、「せっかく来てくれたみんなに夏を先取りしてもらいたかった」という総合演出・ユーキの想いをしっかりと叶えてみせた。一連の演出には、配信ライブの経験も随所に活かされており、よりブラッシュアップしたライブ構成となっていたのも嬉しい。ちなみにメンバーカラーのチェック柄スーツから始まった今回の衣装4種は、すべてタクヤのプロデュースによるもの。また、夏パートでのピンクシャツに散りばめられた『Hoopla!』のツアーロゴはカイのデザインで、リーダーのリョウガは「衣装が良い!」と力を込めた。

 ようやく会えた8号車を少しでも楽しませたい――そんな5人の想いは「いろんなものを宝箱みたいな感じで詰め込んで」(byカイ)、「二度とないようなスペシャルなライブ」(byユーキ)を実現させた。“8号車が選んだランキングコーナー”では事前に投票を募っていた各部門のベスト5を発表し、まずは“超特急に会えない時期に聴いた曲”の1位に輝いた「a kind of love」が、“どんな時も君が必要”との想いを届けて場内を温かな空気で包み込む。一転、横浜では“セクシー曲ベスト5”を発表し、1位の「We Can Do It!」ではタクヤがシャツをたくし上げて鍛え上げられた腹筋を大胆にさらけ出したり、メンバー同士で妖しく絡んだりと、レーザー光線が飛び交う中でグレードアップしたセクシーを爆発。対照的に神戸では、“せつなバラード曲”1位の「Snow break」でモニター上に降りしきる雪をも溶かしそうなほど熱いエモーションを、新たに手話も交えたダンスでドラマティックに描き出す。トドメとばかり、超特急ライブ史上伝説のシーンを続々再現して、客席にこらえきれない歓喜の呻きを引き起こしたのが“もう一度見たい聴きたい曲”の3曲だ。カイとリョウガがせり上がって互いをなぞり合う「LIBIDO」、6年前のライブ映像とクロスオーバーするタクヤのシリアスなソロ劇中歌「Cosmic岬」、大きなリボンをつけたユーキとタカシがミニスカートでキュートに跳ねる「Candy Night」と、いずれも過去に1ツアー限りで行われた幻の演出。これもユーキいわく「会えない期間があったからこそ思いついた企画」なのだから、まさしく“災い転じて福となす”である。

 1年4カ月振りの有観客ということで、その間にリリースされた新曲も次々登場。昨春ツアーのテーマ曲として制作されながら、ツアーの中止に伴い温存されてきた「Table Manners」は待望のお披露目となり、テーブルマナーに悪戦苦闘する仕草をリズミカルに織り交ぜたビッグバンドジャズで8号車を軽快に揺らす。続く「Fantasista」もフル尺でのパフォーマンスは初で、ミラーボールのゴージャスな光のなか、センターのリョウガが先導する小粋なダンスビートにより、歌詞を借りるなら“新たなるBuena Vista(=美しい眺め)”を展開。夜明けを待ちわびる最新シングル「Asayake」(横浜)も、超特急の歴史が詰め込まれたデビュー8周年記念曲「Stand up」(神戸)も、画面越しでは既におなじみの曲ながら、肉眼で見届けることのできた感慨は大きい。これらの新曲群で目立ったのは、ボーカルのタカシもダンスフォーメーションに組み込まれ、5人一体となっての訴求力を高めていたこと。それはすなわち、会えなかった時間に彼らが遂げた進化でもある。

 ダンサーが次々にラップを繰り出す「Booster」も、5人の名前を使った攻撃的ラップをユーキが冒頭に追加して、より破壊力を増した仕上がりに。彼のアクロバットもバク宙まで綺麗に決まり、ファイヤボールの熱を受けて雪崩れ込んだラストスパートでは、再び8号車のコール音声が大活躍する。「Burn!」に「バッタマン」(横浜)、「SAY NO」(神戸)と盛り上がり必至の鉄板チューンでは、8号車の応援コールと大合唱が場内に響き渡り、カイは目の前の客席に向かって「心で叫んで、心で一つになりましょう!」と煽動。その言葉に応えてペンライトを振り上げる8号車のぶんまで全力で声をあげ、全身全霊で踊る5人はゼーゼーと息を切らし、初日は「もうブッ倒れそうです……!」とタクヤが漏らしたほどだ。

 ここで1年4カ月振りに再会できた想いを個々に語り、カイは客席の8号車のみならず、あえて会場に来ないという選択をした8号車、遠くからエールを飛ばしてくれた8号車にも毎公演感謝を伝えて、「メチャメチャ楽しいツアーでした!」と笑顔を見せた。タクヤは日ごとに前日を超えるライブを創り出す8号車に、横浜公演の3日目には「誇りです、みんなが」と涙を見せる場面も。神戸では「1席空けにしているように見えないのは、8号車の気持ちが大きくて届いているから」と称賛を贈り、「何があっても僕たちと8号車なら大丈夫」と8号車に強い信頼を寄せた。ユーキは「ライブが居場所であり生きがい」と宣言しつつ、ツアー中盤には「僕はまだまだ未熟者。夢に向かって、こんなところで止まってるわけにはいかない」と発した次の公演で「今日はやっと自分が見せたいものが見せられた」と、日ごとの成長を証明。以前から「ライブはデート」と話すタカシは「デートを再開することができて良かった」と8号車を蕩けさせながら、最終日には「9年前の僕が全く予想していなかった未来、こんな素敵な景色を見せてもらえて、超特急には言葉では言い表せないほどの感謝を伝えたい」と神妙に口にした。毎回コミカルなトークで笑わせていたリョウガも、会えない時間も超特急を愛し続け、最高のライブを更新し続けてくれた8号車に「一つ心に決めたことがあって……SNS更新しようと思いましたね」と最終日に宣言。その日、一番の拍手を巻き起こしていた。

 最後に、横浜では“8号車にエールを贈り続ける”ために「Yell」を、神戸では当たり前が当たり前でなくなった日々だからこそ、この瞬間を愛おしみたいという想いを込めて「Billion Beats」を披露。「Yell」が温もりと包容力にあふれるオーラを放って、この先を力強く生きていくための確かな光を8号車の胸に宿せば、「Billion Beats」ではセンター・タクヤのソロダンスなど、メリハリとストーリー性のあるパフォーマンスが、カラフルなペンライトの海と共に視界を彩る。確かなメッセージ性を伴った美しいエンターテイメントは、前代未聞の状況で苦しむ世界に生きる人々にとって、大きな力となるに違いない。

 さらに拍手によるアンコールに応えての「gr8est journey」では、この先もレールを走り続ける決意を1から8への力強いカウントアップに込め、8号車と共に普段より力を込めて大きく腕を振る姿が印象的。続いて「走れ!!!!超特急」でペンライトの動きと心の声を一つに合わせ、これからも共に走ってゆこうと、最後の最後まで衰えないタカシの歌声が誓いを立てる。そして最終日、ユーキの「この先の未来に向かって突っ走っていける素敵な曲、最後に披露していきましょう!」という号令から、6公演にわたるツアーを締めくくったのは「fanfare」。8号車の歌唱音声が響きわたり、色とりどりのペンライトがきらめく客席と5人が互いにファンファーレを贈り合うフィナーレは、歌詞の通り“目を閉じるなんてもったいない”ほどに美しかった。

 来年6月にはCDデビュー10周年も迎えるということで、最終日の公演中には「主催イベントをやりたい」「結成時の衣装でライブしてみたい」等、さまざまな夢を語り合っていた5人。空白期間を経ても変わらぬ熱を発揮して8号車との絆を強める一方、既存曲も少しずつバージョンアップされ、そのパフォーマンスは着実にランクアップされている。2011年12月25日の結成から、10周年の記念日も間近に迫り、11月23日にはグループ史上最大規模となるさいたまスーパーアリーナでのアニバーサリーライブ『Dance Dance Dance』も決定。超特急と8号車なら、それまでの日々にもたゆまぬ進化を遂げていくはずだ。

文:清水素子/写真:米山三郎・深野輝美・林聖

<セットリスト>
《ぴあアリーナMM》
M1:What’s up!?
M2:Kiss Me Baby
M3:Drive on week
M4:超えてアバンチュール
M5:Pretty Girl
M6:up to you
M7:My Buddy
M8:Clap Our Hands!
M9:POLICEMEN
M10:No.1
M11:PUMP ME UP
M12:Summer love
M13:Make it hot!
M14:a kind of love
M15:We Can Do It!
M16:LIBIDO
M17:Cosmic岬
M18:Candy Night
M19:Table Manners
M20:Fantasista
M21:Asayake
M22:Booster
M23:Burn!
M24:バッタマン
M25:Yell
EN1:gr8est journey
EN2:走れ!!!!超特急

《神戸ワールド記念ホール》
M1:What’s up!?
M2:Kiss Me Baby
M3:UNKNOWN…
M4:超ネバギバDANCE
M5:Pretty Girl
M6:up to you
M7:My Buddy
M8:Clap Our Hands!
M9:POLICEMEN
M10:No.1
M11:PUMP ME UP
M12:Summer love
M13:浮つきWAVES
M14:a kind of love
M15:Snow break
M16:LIBIDO
M17:Cosmic岬
M18:Candy Night
M19:Table Manners
M20:Fantasista
M21:Stand up
M22:Booster
M23:Burn!
M24:SAY NO
M25:Billion Beats
EN1:gr8est journey
EN2:走れ!!!!超特急
EN3:fanfare(6月13日のみ)

【10周年記念ライブ 概要】

『BULLET TRAIN 10th Anniversary Super Special Live 「Dance Dance Dance」』
11月23日(火・祝) 埼玉・さいたまスーパーアリーナ
開場17:00/開演18:00
特設サイト:https://bullettrain.jp/dancedancedance/

※政府より定められます条件、会場のガイドラインに準じて開場時間が変更になる場合がございます。
また新型コロナウイルスの感染防止対策の観点から、時間差で分散入場、規制退場とさせていただく
場合もございます。
最新の情報は、随時オフィシャルサイトをご確認のうえご来場いただきますようお願い致します。

<チケット>
指定席 ¥9,800(税込)/ファミリー号車席¥9,800(税込)
※3歳以上はチケットが必要となります。
※3歳未満のお子様は大人1名につき1名まで膝上に限り無料。ただしお席が必要な場合はチケットが必要です。

<ファミリー号車席について>
※ファミリー号車席では、大人の方もお子様も着席で鑑賞して頂きます。
※立ってのご鑑賞は禁止とさせて頂きます。
※中学生以下のお子様が必ず1名以上同席して頂く事が条件のお席となります。
※会場の構造上通路を挟んだ席等になる場合がございます。
※ファミリー号車席エリアでは、係員からお客様のご年齢をお聞きする場合がございます。
※ご来場の際はご来場者全員でご一緒にご入場ください。
※3歳未満のお子様は大人1名につき1名まで膝上に限り無料。ただし、お申し込みは2枚からになります。
※3歳未満のお子様でも、お席が必要な場合はチケットが必要です。
※お子様の体調不良やいかなる理由がありましても、条件を満たさない場合はファミリー号車席チケットでのご入場・ご案内は出来かねます。チケット代金の払戻も承れませんので、あらかじめご了承ください。
※公演時時点の年齢が有効です。

≪公演に関する問い合わせ≫
キョードー東京 TEL 0570-550-799(平日 11:00~18:00/土日祝 10:00~18:00)
https://www.kyodotokyo.com/

※新型コロナウイルスの感染拡大防止対策の一環として、オペレーターによる受付を休止または受付時間を変更している場合がございます。事前にご確認のうえ、お問合せいただきますようお願い致します。
超特急(Photo by 米山三郎・深野輝美・林聖)
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