コラム【音は鼓膜を震わせ、音楽は心
を震わせる】#15 ずっと離れない小比
類巻かほる「Hold On Me」

エンターテイナーを夢見るしがない50代のマンモス☆南が、レコード、カセットテープ、CD、MD、ネット配信と、音楽メディアは時代と共に変われど、歌が人の心を動かすことに変わりはない、という想いについて語ります。

ずっと離れない小比類巻かほる「Hold
On Me」

「あなたの代わりは誰にもできない」

今から34年も前になるのか、1987年2月14日、バレンタインとか甘い思い出では全然なくて、2年目の大学受験(いわゆる一浪)の初日、明治大学法学部の試験(落ちた)の日の夜、兄が楽しそうに見ていたドラマを、何となく横で見ていた。

それが「結婚物語」という、沢口靖子と陣内孝則が出演する日テレのドラマだった。

兄は原作の新井素子(SF作家)のファンで見ていたようで、私はもともとドラマは好きだったが、一応受験生だったので、あまり見ていない頃だった。沢口靖子は、東宝シンデレラのいわゆる清純派だったのを少し打破するようなコミカルなキャラで、陣内孝則は、まだ「ライスカレー」で注目され始めた、役者というよりロックミュージシャンのイメージで、私の中では「(推しの)高井麻巳子が好きな人」という印象だった(笑)。

そんな「結婚物語」の主題歌が、小比類巻かほる「Hold On Me」だった。

当時としては珍しく7話しかないドラマだったのだが、主題歌もタイトルバックの映像も印象的で、ワクワクして見ていたことを思い出す。

翌年に制作された「新婚物語」もその主題歌の「TONIGHT」も好きではあるが、やはりこの「結婚物語」や「Hold On Me」の方が、心に残っている。

「Hold On Me」は、
作詞が麻生圭子(80年代アイドル全盛時の女流作詞家)
作曲が大内義昭(藤谷美和子との「愛が生まれた日」で知られる。故人)
編曲は土屋昌巳(「すみれSeptember Love」の一風堂だった方)
という豪華メンバーによって作られた。
当時から、私は、イントロのギターカッティングの音と、2コーラス目のAメロ後のサックスの音が大好きで、それは土屋昌巳のセンスだと勝手に思っている。

そして、その2コーラス目のBメロの歌詞が、冒頭に挙げた「あなたの代わりは誰にもできない」というフレーズ。

生きてるといろいろ失敗することも凹むことも多くなるし、自分の価値はあるのだろうかとか、自分は要らないんじゃないかと思うこともある。

その時に、このフレーズを思い出す。何の関連も根拠もないのだが、自分にしかできないことがあるんじゃないかと、そんな気分にさせてくれる力がある。

「結婚物語」の冒頭では、陣内孝則が一世一代のプロポーズの言葉を沢口靖子に言うものの、それを別れを切り出されたものと勘違いしたところから、いろんな話が展開する。

どんなことがあっても、頑張って前に進もう、と思うときに聴くこの曲は、皮肉なほどに、私から離れてくれはしない。
マンモス☆南
プロデューサー/フォトグラフィック・オーガナイザー
1967年9月12日 神奈川県出身
広告代理店、映画制作・宣伝などの業務を経験した後、イベント企画・運営会社「合同会社グラスタ」を設立。女性アイドルの撮影会やネット番組、フットサルチームのプロデュースなどを行う傍ら、カメラマンとして写真集やブロマイドの撮影にも取り組む。

好きなミュージシャンは、小田和正Mr.Children、大瀧詠一、杉真理織田哲郎など。
【グラ☆スタ!今月の推しメン】
七海(ななみ)
1993年5月27日生まれ 埼玉県出身 血液型AB型
高身長(175cm)を活かし、モデル、ラウンドガール、タレントなど多彩な活躍をしています。ファンクラブサイト「ななみ倶楽部」では惜しげもなくその肢体を披露。

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