L→R 大山聡一(Gu)、真行寺貴秋(Vo)、酒井亮輔(Ba)

L→R 大山聡一(Gu)、真行寺貴秋(Vo)、酒井亮輔(Ba)

【BRADIO インタビュー】
僕らの音楽が誰かに
寄り添えるようなものでありたい

約2年9カ月振りとなるメジャー2ndフルアルバム『Joyful Style』は、リード曲「愛を、今」をはじめ、今を生きる人たちの心境にやさしく寄り添い、聴き手の自己肯定感をグッと高めてくれる一枚だ。そんな人間味にあふれたアルバムの制作背景をメンバー全員にじっくりと訊いた。

まずは身近な人たちを
ハッピーにしたいと思った

『Joyful Style』はすごく励まされるアルバムでした。新型コロナウイルスの影響でキツい状況が長くて、正直なところ精神的に沈んでいる時期だったので。そういう人の心情に寄り添ってくれるような作品で嬉しかったです。

真行寺
おぉ、ありがとうございます! まさに今おっしゃっていただいたことを僕らも根底に抱えていたんですよ。未来をどう生きるかとか、先を考えるのはその人次第だけど、BRADIOの音楽は何かのきっかけになるような、誰かに寄り添えるようなものでありたいんです。活動が思い通りにならないコロナ禍の中で、そうであってほしい気持ちがさらに大きくなっていって、めちゃくちゃ想いの強いアルバムになりましたね。
酒井
僕もしんどい時期があったりしたんですけど、レコーディングを経てこのアルバムが完成したことで救われました。曲が出来上がっていく過程を目の当たりにして、いつも以上にジーンときちゃうみたいな。“作れて良かった”という感覚が強い作品ですね。今後のライヴでこの作品の印象が変わっていく期待感もかなりあります。
大山
アルバムが真髄を見るのは、おそらくこれからだよね。というのも、2020年を通して作った点にすごく意味があると感じてるんですよ。“自分たちにとってバンドや音楽って何なのか?”“生きる上で重要なことって何なんだ?”と根源的なテーマについて自問自答した年で、例年にはなかった取捨選択を繰り返して、無駄な部分を削ぎ落とした末、今の僕らが大切にしているものだけをギュッと詰めました。ありのままのBRADIOがパッケージできたから、とても気に入ってるんです。裸になった3人が“俺たち、どう?”って言ってるようなアルバムなので、どう受け止められるのかがもうドキドキで(笑)。
真行寺
マイナスの状況だからこそプラスが見えてきたりもしましたね。例えば、ライヴのありがたみを深く感じられたり。その中でやっぱり音楽をやることが自分たちの喜びのスタイルだと再確認できたので、“Joyful Style”というアルバムタイトルにつながりました。あとは、今じゃなかったらこの歌詞は出てこなかっただろうなと。決してコロナ禍で良かったなんて結論にはならないじゃないですか。

そういう悩ましさも曲のところどころで伝わってきました。

真行寺
誰かの背中を押したい気持ちは以前からずっとありましたしね。

確かに。「O・TE・A・GE・DA!」「幸せのシャナナ」といったコロナ禍前にリリースした曲もアルバムにしっかり馴染んでいますし。

真行寺
ちゃんと一貫性があって、ぶれてないと思います。その上で自分と向き合うタイミングが来たことによって、歌詞はよりパーソナルで人間味にあふれたものになったんじゃないかな? 「愛を、今」の《こんな自分だけど/誰かじゃかわりはきかない》とか、「ケツイ」の《この僕が僕でいることを決して諦めない》とか、内なる感情について深く考えるようになりましたね。「幸せのシャナナ」にもそういう面があるな、言われてみれば。《ありのままがらしくてそれがいい》って歌ってるわ(笑)。
大山
いいね。話しながら自覚してる感じが。

身近な人を幸せにしたいという気持ちがどの曲にも表われてますよね。

真行寺
コロナ禍で思ったのがそれだったんですよ。ニュースを観ていてもなかなか当事者意識が湧きにくかったりする中、自分に何ができるのかと考えた時に、まずは身近な人たち…メンバーやチーム、応援してくれているファンの方々をハッピーにできないといけないって想いがすごくありました。

そんなアルバムの軸になったのは「愛を、今」ですか?

真行寺
そうです。2019年の秋に曲作りの合宿をしたんですけど、そこで聡一が持ってきてくれて。メロディーもほぼ出来上がっていて、みんなで“いいじゃん!”って軌道に乗りかけたものの、なんだかんだ曲を置いておく期間が長かったよね?
酒井
時間がかかったね。仮歌詞を当ててみたけど、“ここからどうしよう?”となって。
真行寺
言いたいことがなかったわけじゃなくて、“自分へのラブソング”や“暗闇の中の光”みたいなイメージは漠然とあったんです。でも、そこから動けずに苦労しました。サウンドはどんどん出来上がっていったけど、曲の良さに歌詞が追いついてない感じで。

そうこうしているうちにコロナ禍になった?

真行寺
はい。皮肉にもこの状況になって完成した歌詞なんです。最初の時点から思っていたのは、“自分を許してあげたい。そのままの自分でいい”ってことで。曲作りをしていても僕はメンタルがあまり強くないから、自尊心がどんどん削られていったりするんですよ。だけど、それでも自分が自分でありたいというか。例えば、何か意見を言った時にバシッと反対されると、自分ごと否定された気持ちになるケースってないですか?

たまにありますね。

真行寺
ですよね。でも、決してそんなことはないんですよ。別に周りは攻撃してるわけじゃないのに、人って自分が攻撃されてると思ってしまいがちなんです。この勘違いをどうにかしたくて。“そうじゃないんだよ”と気づかせてくれる、間違ったとらえ方をしないための曲、立ち上がれるようなラブソングが欲しかったんです。
大山
曲のポテンシャルが高い分、作詞はなかなか筆が進まなくなっていたんですけど、その先はもう貴秋次第でしたね。俺と亮輔は貴秋の苦悩を横でひたすら見守るっていう(笑)。
真行寺
くーっ!
大山
どこかのタイミングで、一番言いたいことを飾らないで真っ直ぐ出すための試行錯誤に入った感じがあって。相当しんどいだろうなとは思ってたけど、そこを越えた先にどう着地するのかがメンバーとしてはすごく楽しみでした。で、完成版の曲を聴いた時はスタッフチーム含めてグッとくるものが、歌詞を文字面で見る以上にありましたね。本当にいい曲が録れたんだなって。
酒井
レコーディングの現場がめっちゃいいムードに包まれたのはよく覚えてますね。OKテイクが出た時も、“あぁ~”って思わず声が漏れちゃうような安堵感と手応えがあって。あれだけゾワッときたのは初めてかもしれない。音源ももちろんですけど、ぜひ生で聴いてほしい曲です。

アレンジに関してはどうですか?

大山
冒頭からインパクト抜群のコーラスワークが入っているように、聴覚的な部分で広く大きく感じられるアプローチをやりたかったんです。シンプルなメッセージをでっかく響かせるっていう難しいことがうまく表現できたのは嬉しいポイントかな? 亮輔が言った通り、ライヴではより映えると思います。空気振動まで伝わるダイナミクスがある会場で「愛を、今」を浴びてもらった時のパワーはかなりすごいことになるはずですよ。

MVもこれまでとは異なるタッチのシリアスな内容になってますね。傷だらけの表情をしたメンバーの姿が映っていて。

真行寺
あれは心に抱えた傷の可視化なんです。曲が生まれるきっかけはさっきしゃべった通りですけど、最終的な仕上がりやこのMVはコロナ禍の現在と非常にシンクロしてますね。監督の箱守惠輔さんとは「愛を、今」に込めた想いを話し合える時間がたくさんあって、制作チームが楽曲をすごく愛してくれているのが伝わってきました。BRADIOが届けたいことを理解して、箱守さんの解釈で独自の映像にしようとする気概が嬉しかったです。言うなれば、傷つきながらも生きていくというメッセージ。それに僕らも共鳴したし、聴き手が自分に置き換えて人生を考えられる素晴らしいMVを作っていただけたと思っています。
L→R 大山聡一(Gu)、真行寺貴秋(Vo)、酒井亮輔(Ba)
アルバム『Joyful Style』【初回生産限定盤A】(CD+DVD)
アルバム『Joyful Style』【初回生産限定盤B】(CD+DVD)
アルバム『Joyful Style』【通常盤】(CD)

OKMusic編集部

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