(C)The British Film Institute, The British Broadcasting Corporation & Fossil Films Limited 2019

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【映画コラム】恋愛を描いた対照的な
2本の映画『アンモナイトの目覚め』
と『パーム・スプリングス』

 今週は4月9日から公開される対照的な2本の映画を紹介する。
 まずは、19世紀イギリス南西部の海沿いの町ライム・レジスを舞台に、女性同士の恋愛を描いた『アンモナイトの目覚め』から。
 古生物学者のメアリー・アニング(ケイト・ウィンスレット)は、かつて発掘した化石が評判を呼んだが、今は忘れられ、観光客の土産物用のアンモナイトを採掘して細々と生計を立てていた。
 ある日、メアリーは、裕福な化石収集家の妻でうつ病を患ったシャーロット(シアーシャ・ローナン)を預かることとなる。始めは、美しくかれんで奔放なシャーロットの存在にいら立ち、冷たく接するメアリーだったが、次第に、シャーロットに引かれていく感情を抑え切れなくなる。
 メアリーは実在の人物だが、彼女が同性と恋愛関係に陥るというのは全くの創作とのこと。この映画のフランシス・リー監督はゲイで、『ゴッズ・オウン・カントリー』(17)では、引かれ合う2人の青年の姿を描いている。その意味では、前作がコインの表だとすれば、この映画は裏で、彼の中では対を成すものなのかもしれないと思った。
 男性の視点で撮られたレズビアンを扱った映画は、どうしても好奇心的な目や官能的な描写を優先するところがあるのだが、例えば、同じくゲイのトッド・ヘインズが監督し、ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラが共演した『キャロル』(15)同様、この映画も、ウィンスレットとローナンが、微妙な表情や目線で感情の揺れや相手への思いを繊細に表現している。このあたりは、監督自身のセクシュアリティーの影響もあると思われる。
 ウィンスレットの崩れた熟女の魅力、対するローナンの若さとかれんさ。対照的な2人の関係は十分にエロチックに映ったが、この映画の場合は、2人を結び付けるアンモナイトこそがエロスの象徴なのだろうと感じた。
 続いては、映画の撮り直し(テイク~)を利用して、タイムループ(同じ時間軸を何回も繰り返す)を描いた『パーム・スプリングス』。
 正体不明の男マイルズ(アンディ・サムバーグ)とかかわったばかりに、サラ(クリスティン・ミリオティ)は、目覚めるたびに、砂漠のリゾート地での妹の結婚式の日を繰り返すタイムループに陥る。
 過去にタイムループを描いた映画は、ビル・マーレイ主演の『恋はデ・ジャブ』(93)、ジェイク・ギレンホール主演の『ミッション:8ミニッツ』(11)、トム・クルーズ主演の『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(14)などがある。
 映画学校の仲間である、監督マックス・バーバコウ、脚本アンディ・シアラが製作したこの映画が、そうした他のタイムループ物と大きく違う点は、下ネタ満載のオフビートなラブコメディーになっているところだ。やたらとビールを飲むシーンも印象に残る。
 また、「恋はデ・ジャブ」では、時の繰り返しに陥る“被害者”は主人公一人だけだったが、この映画ではマイルズとサラに、謎の男(J.K.シモンズ)も加えた3人が巻き込まれるというのが新機軸。それ故、三者三葉のドラマが楽しめるし、「ウェン・ザ・モーニング・カムズ」(ホール&オーツ)など、物語に即した挿入曲もなかなか凝っている。
 ところで、この映画は、映画学校で製作され、サンダンス映画祭に出品。Huluでネット配信され、ドライブ・イン・シアターでの上映と、コロナ禍で思わぬ変転をしながらヒットを記録したため、アメリカでは“ラッキーな映画”と称されているらしい。何だか映画の内容同様、愉快になるエピソードだ。(田中雄二)

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