伊豆のご当地ヒーローのイズカイザー
まで参上。FullMooN、延期になってい
た8周年公演とねね生誕祭を、数年ぶ
りのワンマン公演として開催。

コロナ禍により昨年から延期になっていたヴォーカルねねの生誕祭とFullMooNの8周年公演が、2月27日(土)にThunder Snake ATSUGIを舞台に【FullMooN振替ワンマン公演 ねね生誕祭~春の8周年ワンマンライブ~ 】と題し、有観客/ライブ配信という形で。しかも、数年ぶりのワンマン公演として行なわれた。当日の模様を、ここにお伝えしよう。
 昨年4月の延期から数えて、なんと10ヶ月ぶりに叶ったこの日の公演。この日に賭けてきた想いを、ヴォーカルのねねがSEに乗せて語る声が場内に流れだした。その声を受け、ライブは「青い月」を奏で、力強く走り出した。フロアではたくさんの青いサイリウムの光が大きく揺れている。ねねが青い光の波に向かい声を張り上げ、届けたかった想いを全身でぶつけていた。パワフルな彼女の歌声を、演奏陣がクールな表情をしながらも躍動した華やかな演奏で支えてゆく。その様に、照れ屋なメンバーたちの姿が映し出されていたのも、見ていて胸ときめいたポイントだ。
ねねの感情的なサビ歌から始まる「光」が眩しい音と歌声の輝きとなり、フロア中に熱狂という光を降り注ぐ。凛々しくも熱を抱いた演奏に刺激を受け、フロア中の人たちも拳を振り上げ、身体を大きく揺さぶりだす。眩しいというよりも、鈍い輝きを放つ光であるところも心の闇を照らすFullMooNらしさだ。ねねは、いつかこの声が届くようにと願いながら歌っていた。その声は、しっかり胸に突き刺さっていた。
 MCで、ねねが感動のあまり歌いながら泣きそうになっていたことを語れば、そう語りながら顔が崩れそうにもなっていた。
和要素を抱いた雅な音色を受け、楽曲は艶やかさを抱きながら駆けだした。FullMooNは「mysterious magic」を通し、観ている人たちの心を妖しく揺らしだす。終始、軽やかにステップを踏みながら演奏するベースのりん。大きく身体を揺さぶり、リフやメロを奏でるギターのえれん。それぞれが歌の世界へ想いを溶け込ませ、酔いしれるように歌い奏でていた。
ザクザクとした音を刻むように響くえれんのギター。熱を沸かせるようにFullMooNは「赤い糸」を歌いながら、互いの関係をもっともっと深く結びあおうと誘いをかけてきた。沸き立つ気持ちをダイレクトにぶつけるねね。力強くパワフルな歌声を、演奏陣が雄々しく躍動した音で煽り続ける。メンバーの誰もが、互いに熱を求めたい気持ちを歌声や演奏を通して示していた。
ねねの煽り声と突き上げる拳に触発され、フロア中から無数の拳が突き上がる。一気に激しさと速度を増した演奏に乗せ、FullMooNは「Trust」を突きつけた。気持ちを熱く揺さぶる勇ましい楽曲だ。彼女たちは胸の内に溜め込んでいた感情をぶつけるように歌い演奏していた。自分たちの強い意志を示すことが、この空間に熱を生み出すのをわかっているからこそ、サポートドラマーの葵を加えた4人は全身で高ぶる気持ちをぶつけていった。
 「目の前の君が笑えますように」。甘い歌声や旋律も含めながらFullMooNが届けたのが、「affection」。愛しい人へ向け元気のエールを送るように、彼女たちは優しく歌い奏でていた。胸に手を当て歌うねねの姿も可愛らしい。声を張り上げ歌う凛々しい姿にも惹かれるが、女性らしい仕種も交え想いを告白するように歌う様も、胸をキュンとさせる。ステージ前方へ躍り出て旋律を奏でるえれんやりんの姿も印象的だ。
MCでは、いつもクールなりんが、なぜか阿波踊りを躍る場面も見せていた。
ねねが「癒えない傷隠したまま笑う君は僕に似ている」と情熱的に歌うのを合図に、楽曲は高揚したリフを刻みながら一気にアクセルを踏みだした。FullMooNは、メロディアスでハードな「癒えない傷隠したまま笑う君は僕に似ている」を歌い奏で、観ている人たちの胸に熱く込み上げるエナジーを注いでゆく。熱く沸き立つ気持ちへ導く楽曲が刺激的だ。熱情した想いで歌うねねの歌声に、何時しか気持ちが熱く揺さぶられていた。
 四方を壁に囲まれたこの空間さえ壊し、無限に広がる空から暖かい陽射しを降り注ぐように、FullMooNは温かい歌声や演奏を魅力に「空」を届けてくれた。とても爽やかな、心を自由に解き放つ歌だ。「空」に触れながら、飛び跳ねるように無邪気に身体を揺らす観客たち。その音楽は心を開放し、青空の元へと連れ出してゆく。どんな制限下にあろうと心は誰にも縛られない。どんな状況下だろうが、音楽が心の枷を外し、自由を授けてゆく。「空」に触れている間中、笑顔でいれたのが嬉しかった。
 続く「Change song」でも、FullMooNは愛しくて大切な人たちに希望や未来という光を降り注ぐように歌っていた。とても開放感を持った楽曲だ。激しくギターをストロークするえれん。リズムを感じながら心地好く身体を揺らし、音を奏でるりん。ねねは自身の気持ちを解き放ち、大きく手を振りながら、愛しい人へ愛を込めた想い(メッセージ)を届けていた。フロア中でも、彼女の手の動きに合わせ、数多くの手が大きく揺れていた。
 心地好い一体化した空気に包まれた場内。突然、始まったのが「ヒーローショー」。FullMooNのメンバーの消えた舞台の上に姿を現したのが、ギロッポン隊長。舞台の上で好き勝手に振る舞うギロッポン隊長を征伐しようと、Empressのメンバーたちが現れた。彼女たちはギロッポン隊長と戦うが、強靱な強さ??の前にひれ伏し、捕らわれてしまう。ギロッポン隊長は手下のジャロムと共に暴虐無人に??に振る舞いだす。そこへ現れたのが、静岡県伊豆市を中心に活動するご当地ヒーローのイズカイザー。彼は、人質に取られたEmpressのメンバーを開放し、ギロッポン隊長と一騎討ちの戦いを挑む。ちょっとコミカルな…いや、だいぶ緩いヒーローショーを見せた後に、ふたたび舞台へ姿を現したFullMooNのメンバーは、イズカイザーを応援しようと「イズカイザーのテーマ」を演奏。フロアでは、イズカイザーとギロッポン隊長が戦いを繰り広げてゆく。イズカイザーにエールのエナジーを注ぐように力強く歌い奏でるFullMooNのメンバーたち。テーマ曲を背負ったヒーローは何時だって無敵だ。フロア中を舞台に闘いながら、最後はしっかりイズカイザーがギロッポン隊長を打ち倒した。
 ヒーローショーを通して高ぶった気持ちのまま、演奏は胸を嬉しく騒がせる「ドキドキ夏休み」へ。開放した明るい演奏を通し、メンバーたちは気持ちを無邪気に解き放ちながら、心を夏気分に染め、ファンたちと一緒にわちゃわちゃ騒ぎ続けていた。
 ねねが手にしたタオルを振り回し「スーパージェット」と叫びだすと同時に、フロア中の人たちもタオルを大きく頭上に掲げ、大きく振り回しだす。超ゴキゲンなハード&ロックンロールナンバー「スーパージェット」の演奏が飛びだすと同時に、フロア中の人たちが、ねねの動きに合わせタオルを振りまわし、その場で高く跳ねだした。理屈も屁理屈もぜんぶ吹き飛ばし頭を空っぽにはしゃげば、それでいい。今だけは、無邪気で無敵な気持ちに心をすべて染め上げ、彼女たちと一緒に騒ぎ祭れ!!!
 舞台の上に椅子が2脚登場。次は、ねねとえれんによるアコースティックなコーナーへ。しっとりとギターを爪弾くえれんが響かせる旋律に乗せ、いつかのあの頃へ想いを馳せるようにねねが「キンモクセイ」を歌いだした。音数を極力抑えたシンプルな演奏だからこそ、ねねの揺れ動く歌声が鮮やかな色を持って胸に染み込んできた。2人は「君が側にいて 僕が強くなれる」と、FullMooNを支えてくれる愛しい仲間たちへ向け感謝の想いを伝えていた。その歌声と演奏は、まるで2人から告白を受けているようにも感じていた。
ライブは後半戦へ。しっとりとした風景を塗り替えるように、激しく躍動する葵のドラムに、りんの重厚なベースが音を重ね、気持ちを騒がせるグルーヴを作り出す。声を張り上げ、観客たちを煽るりん。激しい煽りの応酬を続ける中へ、えれんのギターが吠えた音を重ねだす。飛びだしたのが「サバイバル」だ。隠していた牙を剥き出しに、観客たちを喰らうような姿でねねが雄々しく歌いだす。FullMooNの中にある野生の魂を解き放ち、彼女たちは観客たちへ挑みかかる。その姿へ刺激を受けた観客たちは、身体を折り畳み、頭を振りながら、身体中から沸き立つ熱を舞台上へぶつけていた。
荒ぶる音に乗せ、観客たちを煽るねね。先に生まれた熱をさらに膨らませるようにFullMooNは「エゴイスト」を演奏。今度はメンバーたち自身も身体を深く折り畳み、頭を振りながら、沸き立つ熱を思いきり発散し続けていた。観客たちへ挑みかかるメンバーたちの姿は、まるで狙い定めた獲物を喰らおうとする女豹のよう。
続く「Reset」でも、FullMooNは攻撃の手を緩めることはない。伸びのある歌声を雄々しく響かせながら歌う、ねね。感情的な彼女の歌声を煽るように、演奏陣が重厚な音をぶつけだす。その演奏に刺激を受けた身体が、興奮を抑えられずにいた。
 込み上げる切ない想いをそのまま吐露するように、ねねが「会いたい 会いたいよ」と「sugar」を歌いだした。美しくメロウなバラード系楽曲を通し、彼女たちは切ない乙女の心模様を届けてゆく。今にも心壊れそうな声で歌うねね。彼女の歌声を、演奏陣が涙を拭うように温かな演奏で支えていた。
 風を切って走るように、「魔法の言葉。」が飛びだした。この楽曲が流れたとたん、一瞬にして心に爽やかな青春の風が吹きつけた。恋に、夢にときめく気持ちを、彼女たちは真っ直ぐに演奏へ乗せてゆく。「魔法の言葉。」へ触れている間中、ワクワクとしたときめきを胸に感じ続けていた。それが嬉しいじゃない。FullMooNの演奏こそ、まさに心を嬉しく騒がせる魔法の音楽だ。
 華激な色へと一気に表情を塗り替えるように、FullMooNは「燈」を通し、沸き立つ熱いエナジーを全身全霊でぶつけてきた。荒々しく攻める姿に、気持ちが沸き立つ。突き刺さる熱い演奏に揺さぶられ、感情が暴れ出す。フロア中から突き上がる無数の拳が、熱狂という言葉の意味を示していた。
 えれんの吹くホイッスルに合わせ、メンバーたちが手にしたカラフルなポンポンを振り出した。最後は、つねにライブで楽しいお祭騒ぎを作り続けてきた「しゃむちゃら」だ。えれんとりんが互いに顔を見合せ演奏する場面も登場。豪快なマーチングナンバーに乗せ、メンバーが、観客たちが身体を大きく折り畳み、はしゃぎ続けてゆく。舞台の上も下も一つになり、タオルを振り回しながら無邪気に、全力ではしゃぎ続ける。この楽しさを一度でも味わったら、何度も何度も繰り返し味わいたくなる。
 アンコールは、メンバーのことを思ってねねが歌詞を書いた「新曲」を披露。サビ歌始まりの、いきなりアクセル全開で駆けだす明るい楽曲のように、ライブでは一気に熱狂を作り出すキラーチューンになりそうだ。この日も、誰もが初めて聞くにも関わらず、手にしたサイウリムや拳を突き上げ、激しく駆ける楽曲に身を任せ、笑顔で騒いでいた。気持ちが熱く沸き立つ楽曲なのも嬉しい。未来へ向けた強いメッセージを放つポジティブな歌のように、これからのFullMooNのライブに熱狂や一体感を巻き起こす重要な楽曲になりそうだ。
最後の最後にFullMooNが選んだのが、「ステージ」。「たとえ離れていても 心は一つで」とねねは歌いながら、またステージという場を通し、仲間たちと一緒に笑顔の日を過ごそうと呼びかけてきた。この曲は、FullMooNと僕らを次へ繋げる約束の歌。ステージという場を介し、互いに照れも装いもない素顔の自分になり、またこうやって無邪気にはしゃぎたい。その気持ちを共有しながら、またここで会おうと約束を交わしていった。
次は、Thunder Snake ATSUGIを舞台に4月24日に行なう9周年とねねの誕生日を祝う周年公演&生誕祭だ。この日は無料公演のように、ぜひ足を運び、一緒にFullMooNの記念日を祝福しようじゃないか。

TEXT:長澤智典
★インフォメーション★
Live
3月06日(土)柏ThumbUp  
3月14日(金)柏04  FullMooN
3月19日(金)吉祥寺CRESCENDO ※無料配信  
3月27日(土)吉祥寺CRESCENDO Empressマナ生誕祭
3月31日(水)都内某所
4月04日(日)Thunder Snake ATSUGI 
4月10日(土)池袋LIVE INN ROSA
4月18日(金)渋谷GILTY
4月24日(土)Thunder Snake ATSUGI FullMooN無料ワンマン公演!!~ねね生誕祭~春の9周年無料ワンマンライブ~
FullMooN「affection」Trailer

FullMooN Web
FullMooN twitter
~SE~
「青い月」
「光」
「mysterious magic」
「赤い糸」
「Trust」
「affection」
「癒えない傷隠したまま笑う君は僕に似ている」
「空」
「Change song」
※ヒーロショー
「イズカイザーのテーマ」
「ドキドキ夏休み」
「スーパージェット」
「キンモクセイ」
「サバイバル」
「エゴイスト」
「Reset」
「sugar」
「魔法の言葉。」
「燈」
「しゃむちゃら」
~アンコール~
「新曲」
「ステージ」

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