写真左から時計回りに、NARGO(Trumpet)、沖 祐市(Key)、茂木欣一(Dr)、川上つよし(Ba)、大森はじめ(Percussion)、谷中 敦(Baritone sax)、GAMO(Tenor sax)、加藤隆志(Gu)、北原雅彦(Trombone)

写真左から時計回りに、NARGO(Trumpet)、沖 祐市(Key)、茂木欣一(Dr)、川上つよし(Ba)、大森はじめ(Percussion)、谷中 敦(Baritone sax)、GAMO(Tenor sax)、加藤隆志(Gu)、北原雅彦(Trombone)

【東京スカパラダイスオーケストラ
インタビュー】
一緒に音が出せる喜びを謳歌した

国のボーダーも超えて
協力しないと勝てない

そして、その「Together Again」がそのままツアータイトルにもなったということですね。ただ、そのツアーもままならない現状というのが残念ではありますが…。

川上
ままならないですね。券を買ってくれても、遠くから来る人は“ちょっと止めようかな”となることも多くて、なかなか大変な状態です。

ライヴがしたくでもできないとか、観たくても観れないとか、こんな事態は歴史上、初めてのことでしょうからね。

川上
…うん。まさか一年以上もこうなるとは。

スカパラは今どんなふうな対策をしてツアーを行なっているんですか?

川上
ホールなんで、間隔をすごく取って、最前列のお客さんとの距離もしっかり測って…もちろん、お客さんは全員マスクで、声は出しちゃダメなので拍手だけ。でも、それが刺さりますね。

バンドもファンも大変な日々がもう少し続きますが、『SKA=ALMIGHTY』のような景気が良くて、柔らかくも力強いアルバムが完成しましたので、これを聴いてもう少し辛抱しましょう…ということになりますかね。

川上
あははは。ですね。

それでは最後になりますが、歌詞について訊かせてください。『SKA=ALMIGHTY』収録曲では、やはり「倒れないドミノ」の歌詞がもっとも素晴らしいと思ってて。とりわけ《さよならさえも/言えなかった日》というフレーズが何とも哀しくて胸を打ちます。コロナ禍で卒業式ができなかったりしたこともそうですし、感染者の中には突然亡くなる方もいらっしゃいましたから。

川上
前回のアルバム『ツギハギカラフル』で習志野高校の吹奏楽部とコラボしたことがあるんですけど、その3年生は卒業式ができなかったと聞きまましたね。

コロナ禍において自分や周りを見渡して考えたところがストレートに出た感じでしょうか?

谷中
もちろん、そうですね。「倒れないドミノ」は書いてすぐラジオのキャンペーンソングとしてオンエアされるということだったんで、その時の気持ちをそのまま伝えられるというところで、そういう意味ではすぐに書きました。あと、これは「9」のコメントとしてメディアに出した言葉なんですけど、今回のコロナ禍ってみんなで一丸にならないと勝てない戦いじゃないかと。自分たちは30年以上、チームワークでやってきましたが、それこそ本当に世界中がチームワークでやらないといけない。環境問題もそうだと思うんですけど、国のボーダーも越えて協力しないと勝てないわけじゃないですか。よりチームワークが必要だというところでは、自分たちはチームワークを一番の柱にやってきているバンドで、音楽はチームワークを促しやすい部分もあると。そういう気持ちで「9」の歌詞は書かせてもらいましたね。あと、「ALMIGHTY~仮面の約束 feat.川上洋平」は、『仮面ライダーセイバー』側からの要望として“本離れしている子供たちに向けて”ということで本がアイテムになったり、主人公が作家さんだったりしているわけですけれど、自分が考えたのは、本を読む時というのは作家さんが孤独の中で書かれたものを夜中に独りで読むということ。下手すると何十年も何百年も前の人の孤独と向き合っているというか。本を読む時というのは過去の作家と会っているわけじゃないですか。そうやって邂逅できるというのは人間の力だし、さっきスカパラは約束と言いましたけど、約束というのは人間の意志の力でつながっているわけで、それも含めて自由に…“ALMIGHTY”に考えられる人間の見えない力が人を救っていくという。目には見えないコロナウイルスみたいなものに対して戦っていけるのは、そうした見えない人と人とのつながりで、それ自体を“ALMIGHTY”であると信じたいという。

今、おっしゃられた“人と人とのつながり”は同じ時代をともにする横のつながりだけじゃなく、過去や未来といった縦のつながりもあるわけですよね。そういう部分は他の楽曲の歌詞にも感じられます。

谷中
そうですね。「多重露光 feat.川上洋平」にもそういうところがあって。昨年を境に完全に世の中は変わると思うし、もとには絶対に戻らないと思うんですよ。そうなんだけれども、昔の良かった部分を忘れるんじゃなく、良かったことを思い出しながら、未来の希望を重ね合わせて多重露光するように未来を作っていけたらいいね…という。そういう時間を超えた部分も考えていきたい。

「会いたいね。゚(゚´ω`゚)゚。 feat.長谷川白紙」の《時間さえも/曲げてしまう/形なきエネルギー》も、まさに時間を超えた部分でしょうし。

谷中
ええ。自分は前半のほうを書かせてもらったんですけど、音楽の中で生きてると思うことが去年は増えたんですよ。SNSで“ライヴへ行って生きてると思えた”といったつぶやきとかを見たりもしたし。そういうこともそうだし、昔から亡くなってしまった人の音楽を聴いて盛り上がったりしている時にそういうことを感じていて。大ヒット曲みたいなものってずっと流れるわけじゃないですか。亡くなった人の歌で大盛り上がりしているのってすごく素敵なことだと思うんですよ。そういった意味で、自分たちは音楽の中に永遠を録音するんだなって。そういう夢を見て作っていることを再認識しながら書かせてもらいましたね。

取材:帆苅智之

アルバム『SKA=ALMIGHTY』2021年3月3日発売 cutting edge/JUSTA RECORD
    • 【CD+Blu-ray盤】
    • CTCR-96018/B~C
    • ¥7,500(税抜)
    • ※初回デジパック仕様
    • ※スマプラ対応
    • 【CD+DVD盤】
    • CTCR-96019/B~C
    • ¥5,500(税抜)
    • ※スマプラ対応
    • 【CD ONLY盤】
    • CTCR-96020
    • ¥3,000(税抜)
    • ※スマプラ対応
    • 【ファンクラブ限定盤】(CD+3Blu-ray+ワイヤレスイヤホン)
    • CTZ1-96021/B~D
    • ¥30,000(税抜)
    • ※2000セット限定
    • ※初回限定生産盤/ALサイズ紙ジャケット仕様
    • ※スマプラ対応

ライヴ情報

『東京スカパラダイスオーケストラ TOUR 2021 「Together Again!」』
3/06 (土) 埼玉・川口総合文化センターリリア
3/12 (金) 大阪・東大阪市文化創造館 Dream House 大ホール
3/13 (土) 滋賀・びわ湖ホール
3/21 (日) 北海道・札幌文化芸術劇場hitaru
4/03 (土) 富山・オーバード・ホール
4/04 (日) 長野・まつもと市民芸術館
4/08 (木) 福島・けんしん郡山文化センター 大ホール
4/22 (木) 岡山・岡山市民会館
4/24 (土) 愛媛・愛媛県県民文化会館 メインホール
※公演開催についての詳細は公式サイトをご確認ください。

東京スカパラダイスオーケストラ プロフィール

トウキョウスカパラダイスオーケストラ:ジャマイカ生まれのスカという音楽をベースに、あらゆるジャンルの音楽を独自の解釈で飲み込み、自ら奏でるサウンドは"トーキョースカ"と称してオリジナルのスタイルを築き上げた日本が世界に誇る9人組スカバンド。1989年、アルバム『東京スカパラダイスオーケストラ』でデビュー。インストゥルメンタルバンドとしての確固たる地位を築くなか、 01年からはメンバーによる作曲、谷中敦(Baritone sax)による作詞でゲストヴォーカルを迎え入れる”歌モノ”に挑戦。さまざまなアーティストをゲストに迎え、センセーショナルなコラボレーションが常に話題となっている。デビュー以来、国内に留まることなく世界31カ国での公演を果たし、世界最大級の音楽フェスにも多数出演。19年にはメキシコ最大の音楽アワード『ラス・ルナス・デル・アウディトリオ』で、オルタナティブ部門のベストパフォーマンス賞を受賞。デビュー30周年イヤーを駆け抜け、21年3月にアルバム『SKA=ALMIGHTY』をリリースする。東京スカパラダイスオーケストラ オフィシャルHP

「多重露光 feat.川上洋平」MV

「Great Conjunction 2020」MV

「倒れないドミノ」Lyric Video

OKMusic編集部

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