Kradness

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【Kradness インタビュー】
自分で曲と歌詞を書いて歌うことに
ずっと意味があると思っていた

DJと歌唱を同時に行なうハイブリッドスタイルや秀でた歌唱力などにより高い人気を得ているKradness。そんな彼が4年振りとなるアルバム『Memento』を完成させた。デビュー10周年を飾る同作は、彼自身が作詞作曲を手がけ、初めてアレンジにまで挑戦した楽曲を並べた意欲作だ。今なお進化し続けるKradnessの最新の声をお届けしよう。

全曲オリジナルに挑戦するということが
テーマとしてあった

『Memento』の制作は、いつ頃からどんなふうに始めたのでしょう?

2020年に入ってすぐの頃にアルバムの構想が出てきて、5~6月頃から制作に入りました。僕は昨年の12月で27歳になったんですけど、18歳の時に音楽の専門学校に通うために東京に出てきたんですね。メジャーデビューしてからは歌い手として活動させてもらっていますけど、専門学校ではサウンドクリエイター科のアーティストコースというところを専攻していて、もともとは音や曲を作るほうに興味があって、わりと裏方志望だったんです。その後、ヴォーカリストとして活動していく中で、やっぱり自分で曲と歌詞を書いて歌うことに意味があると思うようになり、ずっとそれをやりたかったんですよ。でも、なかなかできていなかったので、2020年というデビュー10周年の節目に、ちゃんとかたちにしないといけないと思ったんです。これまでも自分の過去のアルバムとかで何曲か作詞作曲をやらせてもらったことはあったけど、今回は全曲オリジナルに挑戦するということがテーマとしてありました。

EDMの洗練感や幻想的な味わいなどを打ち出したアルバムになっていて、とても初めて全曲の作詞作曲を手がけたとは思えない上質な楽曲が揃っていますが、音楽性は最初から決めていましたか?

決めていました。学生時代はバンド畑のものをよく聴いていたんですけど、東京に出てきてからゲーム音楽にハマったんです。一時期ゲームセンターの音ゲーにハマって、専門学校の帰りに毎日音ゲーをするみたいな(笑)。その頃のゲーム音楽で流行っていたのが打ち込み系で、打ち込み系の音楽を掘り下げていく中でダンスミュージックに出会って、すごく惹かれたんですね。海外にゼッドというEDM系のプロデューサーがいて、その人の音楽を聴いた時にダンスミュージックは言葉とか国境といったいろんな概念を超えると思ったんです。ダンスミュージックは盛り上がるところが分かりやすいじゃないですか。ビルドアップで、だんだんリズムが倍々になってきてドカーン!といくという。だから、みんながひとつになれるすごくハッピーな音楽なんですよね。そういう音楽に初めて出会い、どっぷりハマってからは、打ち込み系の音楽を核に据えるようになって、ずっとそれを続けているので、今回も音楽性を変える気はなかったです。

EDMをベースにしつつさまざまなアイディアを盛り込んで、独自の音楽に仕上げていることも注目です。では、アルバムに向けて曲を作っていく中で、キーになった曲はありましたか?

1曲目に入っている「Diorama」になりますね。自分で全曲の作詞作曲を手がけると決めたあとにアルバムのコンセプトを考えた時、ラテン語の“Memento Mori”という言葉が浮かんできたんです。“Memento Mori”は“死を忘れるな”とか“死を思え”という意味で、“死は常に身近なところにあって、明日自分は死んでしまうかもしれないから日々怠るな”ということを伝える警句なんです。僕はその言葉がすごく好きで、“記憶”とか“忘れない”という意味の“Memento”をタイトルにすることにしました。僕が10年間活動してきたことを忘れないでほしいし、ここに生きた証を刻むといった意味合いを持たせたかったし。昨今はYouTubeとかでどんどん新しい人が出てきて、それこそ事務所に所属していなくても自分で配信できてしまう時代になったじゃないですか。SNSとかで“歌いまーす!”と配信してしまえばもうアーティストになれるし、プロとアマの線引きもすごく曖昧になってきて、素敵なアーティストがたくさんいる。そんな中で僕という存在を見つけてくれた人の脳裏にKradnessを深く焼きつけたい想いがあって、“Memento”というタイトルにしました。

アニバーサリーに相応しいタイトルです。それに、“Memento Mori”という言葉がもとになっている通り、今作は死生観を感じさせる歌詞が多くなっていますね。

2020年に入ってから死をすごく意識するようになったんです。25歳くらいまでは身内の人が亡くなることがなかったし、葬式に出たこともなかったんですよ。そういう中で、2020年の3月頃からコロナ禍が始まったし、アーティストでも亡くなってしまう方がいたじゃないですか。それに、『Memento』を作っている最中に祖母が亡くなったんです。当時、僕は東京にいて、祖母は京都だったんですね。アルバム制作の真っただ中だったし、新型コロナウイルスの影響で東京にいる自分が京都にある母の実家に戻ることにためらいがあったんです。自分が知らない間にコロナにかかっていて、親族に広げてしまう危険性があったから。なので、祖母の葬式に出席できなかったんです。そういった中で、自分が死ぬ時はどんなふうに死んでいきたいとか、周りにどうあってほしいとか、自分はどうあるべきかとか、いろんなことを考えるようになって、それを今回の自分が書いた曲に落とし込んでいった部分があります。祖母の死は僕が初めて経験した身内の人との死別で、その時に得られたマインドは「Lay」という曲に強く入れ込めていると思います。
Kradness
アルバム『Memento』【通常盤】(CD)【PCSC限定盤】(CD+DVD+グッズ)

OKMusic編集部

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