1月23日@配信ライブ『仮想げんじぶ空間:case.3-多世界解釈-』 photo by 笹森健一

1月23日@配信ライブ『仮想げんじぶ空間:case.3-多世界解釈-』 photo by  笹森健一

原因は自分にある。、
配信ライブでさらなる進化を証明

1月13日に発売した『多世界解釈』では、なんと1stアルバムにしてオリコンデイリーチャートで1位を獲得。平均年齢16.8歳の若さを武器に、今まさにシーンを駆け上がりつつある7人組ユニット・原因は自分にある。が、配信ライブ『仮想げんじぶ空間:case.3-多世界解釈-』を1月23日に開催した。昨年7月から数えて通算4度目のオンライン公演であり、2021年最初のライブとなる今回は、アルバム収録曲を中心とした9曲を新たなアレンジ&巧みなノンストップメドレーで提示。ピアノロックを主とした粋なサウンドにのせ、思考を刺激する独特な世界観をダンス&ボーカルで表現するという独自のアプローチをさらに鋭利なものにして、タイトルの通り多彩な物語と解釈を具現化し得る無限の可能性を証明してみせた。

会場のあちらこちらでポーズを決めるメンバーが、おなじみのジャジーなSEでステージに集うと、なんとライブの幕を開けたのはアルバムのリード曲「柘榴」。いきなりの大本命登場にコメント欄は興奮の嵐となり、7人の洗練されきったビジュアルと生の歌声に称賛の声が届けられる。背後と足元のモニターに映し出された歌詞と、感情を露わにしないパフォーマンスで、今の世相を反映した楽曲のシニカルな世界観を際立たせたあげく、曲終わりに長野凌大が薄っすらと浮かべた笑みにオーディエンスはノックアウト。そこからは、ステージを囲むように多数設置された大型LEDや派手な照明効果も駆使して、もう息もつかせぬ怒張の展開だ。間髪入れず続いた「嗜好に関する世論調査」ではメンバー本人とそれぞれのイラストが画面に並び立って、繰り返される“2択"のフレーズを体現し、曲の切れ目がわからぬほど巧みに切り替わったデビュー曲「原因は自分にある。」の曲中では、新たにソロ&ペアでのダンスパフォーマンスも。鍛え上げてきたスキルを俊敏な動きで存分に発揮するや、今度は杢代和人が意味深な表情を顔に張りつけて画面の向こうを挑発するのだからたまらない。そんな緊張感に満ちた流れを一掃したのが、テレビドラマ『年の差婚』のOP主題歌としてもオンエア中の「シェイクスピアに学ぶ恋愛定理」。爽やかな笑顔を浮かべ、歌詞の通りキスを投げる7人をステージにあがったカメラが接写し、右へ、左へとアングルを変える度に映しだされるメンバーが変わるという目くるめく構成で胸をときめかせる。メドレーを超えた緻密な楽曲リレーによる序盤戦はまったく予想外で、それを“予想外に"という歌い出しの「シェイクスピア~」で締めるというのが、なんとも一筋縄ではいかない彼ららしい。

MCでは1曲目の「柘榴」について、「創り上げられた世界観に合わせ、パフォーマンスをお届けできる幸せを今、改めて実感しております」と大倉空人が神妙に語れば、小泉光咲も「横一列になって前に出るサビの振りは、一緒に前へ進んでいこうという意味を持っている」と種明かし。そして、久下真音に100回嘔吐、nqrseら豪華クリエイター陣が楽曲提供した『多世界解釈』の中でも、「ビックリした」とメンバーが口を揃えたのが、YOASOBIのコンポーザー・Ayaseが提供した「スノウダンス」だ。ここで披露された同曲の初パフォーマンスでは、楽曲のストーリーを投影したアニメーションをバックに、さまざまな組み合わせで動きをシンクロさせ、見つめ合ったり背中合わせになったり、時には床に寝そべったりと、一つひとつの動きに意味を込めたコンテンポラリーなダンスで切ない冬の恋物語を表現。まるで雪のようにステージ上を白く染めるまばゆい光は、続く「Up and Down」で揺れる陽炎のような金色となり、幻想的な情景で観る者を心地よく酔わせてゆく。かと思いきや、会場の上階テラスに大倉、杢代、吉澤、桜木の4人が現れ、ミラーボールの光を浴びながらラップを繋いだのは「In the Nude」。すぐに武藤、小泉、長野も加わって妖艶な笑みを浮かべながら指を鳴らし、次々に下唇を撫で上げるセクシーな仕草には、もはや心停止寸前だ。さらに「嘘から始まる自称系」では、長野と杢代が手にしたマイク代わりのトランシーバーで目を奪う間に、他メンバーは即座にステージへと戻る魔法のような展開で、仮想空間のバーチャル感を高めてゆく。無観客というシチュエーションを活かし、4階建ての会場を丸ごとステージにした、そんなダイナミックな演出も、無尽蔵の体力を持つ若い彼らならでは。それでも決して楽なものではなかったようで、「階段を僕たちが昇ったり下りたりの繰り返しで大変」と武藤が話すと、「それこそ“Up and Down"ですよ!」と長野が零す場面もあった。

2021年最初のライブということで、話題はメンバーそれぞれの年越しに。吉澤は大晦日に放送された人気番組で自分たちの楽曲が使われていたことに触れ、「僕、リアルタイムで観ていて、もうビックリしましたよ!」と語れば、桜木は「年越しの瞬間は(長野)凌大とビデオ通話してて、一緒にジャンプした」というファンには嬉しいエピソードを教えてくれた。また、「柘榴」のMV撮影では「景色が綺麗なところで気分があがって、凌大と僕はよく海に向かって“よっしゃあ!"と叫んでました!」と武藤が報告すると、小泉からは「早朝に叫んでるソロショットを30分くらい撮ったのにボツになった。叫んだ顔がダメだったんだと思う」という悲しい告白も。こんな年相応の可愛らしいトークと年齢詐欺な表現力とのギャップも、彼らの魅力に違いないだろう。

「2020年は皆さんに会えなくて、すごく悔しくて悲しい年になってしまいました。2021年は挑戦の年、勝負の年だと思います。これから高い壁が何回も来るでしょうけど、一緒に乗り越えられるように手を放さないので、皆さんも手を放さないで応援よろしくお願いします」

杢代が身の引き締まるような言葉を告げると、ステージにはハイチェアーが。そして「君を想って歌います。聴いてください。「ラベンダー」」と、小泉がアルバムの初回限定盤に収録されたボーナストラックの名を告げるや、コメント欄は喜びの声でいっぱいになる。感傷的な歌声を振り絞って曲を幕開けた小泉に続き、ラベンダー色の照明のなか、ピアノのみを伴奏に歌い継いでゆくメンバーは皆、チェアーやステージに腰かけたまま。必然的にダンスらしいダンスもないが、何気ない手の仕草や宙を舞う腕の動きだけでも、目の前にいない“君"への尽きせぬ感情が伝わってくるのは実に見事で、何より歌声のみでもしっかり曲世界に没入させてくれるボーカル力の成長ぶりには心から驚かされた。

「2021年はもっともっと多くの人、そしてアナタの原因になれるように、僕たち頑張ります。今度はライブ会場で会いましょう」

そう長野が誓い、ステージに留まってポーズを決めた7人の姿は、まるで「手を放さない」といった言葉を証明しているかのよう。また、2月5日からは原宿AREA-Q ANNEXにて初のコラボレーションカフェ『げんじぶ空間 in 原宿』がスタートすることも告知され、桜木は「僕たちが考えたドリンクがあったり、壁紙もすべて“げんじぶ"仕様。そこでしかゲットできないものもある」と、期待を煽ってくれた。「1stアルバムを出せて、ドラマのタイアップやコラボカフェも決まり、この流れに乗って2021年を駆け抜けていきましょう!」と吉澤が気炎を上げたように、普段とは異なる息継ぎなしのノンストップメドレーでも、この日さらなる進化を見せた“原因は自分にある"。最後にLEDモニターに浮かんだ“See you on Next Stage"の文字が、彼らの輝かしい未来を確かに約束していた。

photo by 笹森健一
text by 清水素子

【セットリスト】
M1.柘榴
M2.嗜好に関する世論調査
M3.原因は自分にある。
M4.シェイクスピアに学ぶ恋愛定理
M5.スノウダンス
M6.Up and Down
M7.In the Nude
M8.嘘から始まる自称系
M9.ラベンダー(piano ver.)

■『げんじぶ空間 in 原宿』 特設サイト
https://areaq-annex.jp/genjibu/

【アーカイブ情報】

仮想げんじぶ空間:case.3-多世界解釈-
2021年1月23日(土)17:00 現在アーカイブ配信中!
チケット発売期間
2021年1月8日(金)18:00〜1月30日(土) 21:00
詳しくはコチラから https://l-tike.zaiko.io/_item/334971
1月23日@配信ライブ『仮想げんじぶ空間:case.3-多世界解釈-』 photo by  笹森健一
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