城 南海

城 南海

【城 南海 インタビュー】
この10年
いろいろやらせていただいたことが、
今に全てつながっている

このアルバムの中では異色だったのが9曲目の「Encounter in Space”THE EARHT”」です。これはNHK BS プレミアムの番組『コズミックフロント☆NEXT』の曲だとか。

『コズミックフロント☆NEXT』は7年ぐらい放送されている番組なのですが、そこでずっと流れてたBGMに歌をつけたんですよ。4K、8Kの宇宙映像を観ている時に流れている音楽なのでミックス的なところで言うと、歌を前面に出すより中に入れています。歌詞がついたとはいえ、全体のイメージ像としては、宇宙の壮大さ、不思議さ、面白さ、奇跡を表すサウンドを意識して、BGM 的な感覚でやりました。ちょっと異世界なので、曲の置きどころはすごく迷いましたね。

途中、宇宙と交信するような台詞の部分がありますね。

最初は予定になくて、急遽入れることになったんです。レコーディングには作詞作曲と編曲を担当されている寺田志保さんや番組プロデューサーの方などみなさんがいらっしゃっていたんですけど、プロデューサーの方がフランス語をしゃべれるとお聞きして、私も英語を教えていただければ発音はできるので、それでみんなでワーワーとひとつひとつ録っていったものをあとから組み合わせたんです。日本を飛び抜けたワールドワイド…壮大な感じが台詞の部分でさらに増幅されたので、すごく面白い遊びだなと思いました。

カバーでいろいろな国を旅していたと思ったら、最後に宇宙にまで到達したような気持になりました(笑)。

今年の私の目標はワールドワイドだったのに、宇宙に行ってしまいました(笑)。「産声」にも宇宙が出てくるし、ある意味でこのアルバムは宇宙がテーマというか、生命といったものを感じると思うんですよ。“そこにある奇跡”といったような。

そして、最後にお聞きすることになりましたが、1曲目の《私は 私を生きるわ》と高らかに宣言する「リフレクション」は、ディズニー実写映画『ムーラン』の日本版主題歌という。

歌手としてディズニーの曲を歌わせていただくことは本当に夢だったので、その夢が叶った大事な曲です。それこそ2019年の年末年始は家に引きこもってずっと訳詞を書いていましたね。「リフレクション」はディズニーソングの中でも長年の人気曲だし、クリスティーナ・アギレラさんが歌っている…もうこれだけですでにハードルが高いのに、それをどう日本語に解釈して訳すかが、本当に難しくて。でも、ひとつ思い出したんです。以前に韓国ドラマ『トンイ』の挿入歌「チョネジア」の日本語バージョン(2013年11月リリースのシングル「チョネジア~天崖至我~」)を歌わせていただいたことがあり、その時、作詞家の松井五郎さんが日本語訳を書いてくださったんです。それで松井さんは日本語訳にする際、韓国の歌詞の母音を意識されたとおっしゃっていたんですね。だからこそ、私もその日本語訳を素直に受け入れて歌えたという感覚が強くて。それがヒントになり、「リフレクション」も原曲の英語の母音を意識しながら書いてみました。

過去の学びがこの日本語歌詞にしっかり生きているんですね。

はい。実は今回、カラオケ動画コミュニティサービスKARASTAで2021年1月30日に行なわれる日本青年館ホールでの『ウタアシビ2021冬』公演のオープニングアクト出場オーディションを開催したのですが、「リフレクション」を歌っている人が結構いらして。その中で“すごく歌いやすい”というコメントもあったので、“そういっていただけて、何よりです!”と思いました。

城さんの想いがしっかりと伝わったのですね。さらに城さんが出演していた『THEカラオケ☆バトル』の経験が生きて、“みんなが歌えるのが大事だ”と思うようにもなったわけで。

大事ですね。だから、この曲はグインもあまり入れずに歌っています。やっぱりディズニー映画の音楽ですから、みんなの夢を背負っていると思って日本語歌詞を書きました。さらに『ムーラン』の“本当の自分でありたい。自分らしく生きたい”というテーマを描く中で、日本語訳で自分らしさも出そうと考え、原曲に月はなかったのですが、私は自分自身のテーマでもある月からイメージを広げていきました。月は裏と表があって、太陽があるから月があるわけで、そういう二面性が“本当の自分で輝きたい”という想いとつながると感じたので。

では、最後に10枚目のフルアルバムを制作したことによって思い描いた、城さんの今の目標を教えてください。

「リフレクション」に書いた《私を生きる いつの日か》という言葉は自分のテーマでもあって、この10年いろいろやらせていただいたことが、今に全てつながっている感覚があるんです。今回、自分も知らなかった自分らしさを引き出していただいたことで、“これもいいんだ”“これでも歌として成立するんだ”といったような発見もたくさんありました。これからもその都度自分というものを知っていき、自分らしさを表現しながら歌っていきたいですね。

取材:キャベトンコ

アルバム『Reflections』2021年1月27日発売 PONY CANYON
    • 【初回限定盤】(CD+DVD)
    • PCCA.04994
    • ¥5,800(税抜)
    • 【通常盤】(CD)
    • PCCA 04995
    • ¥2,800(税抜)

『城 南海 ウタアシビ2021冬』

4/03(土) 大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
open 14:30 start 15:15/open 17:45 start 18:30
4/11(日) 東京・北とぴあ・さくらホール
open 14:30 start 15:10/open 17:45 start 18:25
※両公演オープニングアクトあり
5/08(土) 愛知・中村文化小劇場
open 15:00 start 15:30/open 18:00 start 18:30

城 南海 プロフィール

キズキミナミ:平成元年 鹿児島県奄美大島生まれ。奄美民謡“シマ唄”をルーツに持つシンガー。2006年に鹿児島市内でシマ唄のパフォーマンス中にその歌唱力を見出され、09年1月にシングル「アイツムギ」でデビュー。代表曲は、NHKみんなのうた「あさなゆうな」、「夢待列車」をはじめ、NHKドラマ『八日目の蝉』の主題歌「童神~私の宝物~」、NHKBSプレミアム時代劇『薄桜記』の主題歌「Silence」、一青窈作詞、武部聡志作曲・プロデュースのシングル「兆し」など。また、テレビ東京『THE カラオケ★バトル』に2014年7月に初出演以来、毎回高得点をたたき出し、現在、番組初となる10冠を達成。オンエアの回数が重なるにつれ、カバーアルバムを望む声が多く集まり、15年に初となるカバーアルバム『サクラナガシ』『ミナミカゼ』、17年11月には3枚目のカバーアルバム『ユキマチヅキ』をリリース。20年にはディズニー実写映画『ムーラン』の日本版主題歌「リフレクション」の歌唱が決定し、日本版の訳詞も担当。ライヴでは毎年恒例のワンマン公演『ウタアシビ』の他、さまざまな音楽フェスティバル、イベントに出演している。城 南海 オフィシャルHP

「Reflection (Japanese)」

OKMusic編集部

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