【CHiCO with HoneyWorks
インタビュー】
初のホラー映画主題歌で切り開く
“チコハニ”の新境地
違うベクトルを向いている女子ふたりが
最後は同じ方向を向くのが2作の共通点
対して、激しくかき鳴らされるギターで始まる「醜い生き物」はベクトルが正反対のロックな楽曲でありつつ、吐き捨てるようなヴォーカルで、こちらもずいぶん斬新じゃありません?
そうですね。これも初めての歌い方で、世の中を斜めに見てる女の子のシニカルな感じを全体的に出してほしいというオーダーがあったんです。なので、鼻で笑うような歌い方をする部分があったり、ちょっとでも声やキーのトーンが上がると“元気っぽく聴こえるから、もうちょっとボソボソ歌って”とか言われました。ただ、自分の中にない歌い方を吸収して習得するのに時間がかかった「鬼ノ森」に対して、こちらはサクサクとレコーディングが進みました。
それはなぜなんでしょう?
例えば“元気良く歌って”と言われると、“じゃあ、自分もテンションを上げて明るく歌わなきゃ!”とか求められるニュアンスに自分を合わせようとしちゃうんです。それをうまく消化できなくてダメ出しが重なったりすると、どうしてもテンションが下がってしまうけど、この曲では最初からテンションの低い感じを求められていたので、無理に気持ちを変える必要がなかったんです。
なるほど。あと、この曲に描かれている主人公の心情が、CHiCOさんにとって共感しやすいものだったからという面もあるのでは?
共感はすごくします! この曲はTVアニメ『裏世界ピクニック』のオープニング主題歌で、主人公の空魚ちゃんは“友達なんて別にいなくてもいい”みたいな子なのに、もうひとりの女の子に出会ってから彼女のことを意識し始めるんですね。なのに、彼女は別の女の子のことを考えているのが分かって、ちょっと妬んでみたり、承認欲求みたいな想いを持ったりするところはすごく“分かる!”ってなります。あとは、社会に対する不満や敵対心だったり、きっと誰もが一度は感じたことのある気持ちがたくさん散りばめられているので、全然共感できない人はあんまりいないんじゃないかな?
じゃあ、タイトルの“醜い生き物”が表しているものというのは…
完全に自分自身です。相手に対して妬みだったり、負の感情を抱いてしまう自分は醜いっていう、ちょっと自己嫌悪してる部分もありますよね。それこそ2番のAメロに《服を着た猿が猫背で画面見てる/笑い話さ/私もその一人だ》ってある通り。ヘイトをバーッとぶちまけながら“本当はぶっ壊されて嬉しかったんだ”って認めたくない本音をポロッと出す感じも、リスナーからすると自分の想いを代弁してくれているようで気持ち良いんじゃないかと思います。
すでにアニメもオンエア中なので、ぜひオープニングで聴いてほしいですね。
舞台設定が東京なのでオープニング映像には見たことのある風景も出てきて親近感が湧きますし、何と言ってもキャラクターがみんな可愛い! 裏世界に行った時に、たまに兵隊さんとかの男性キャラが出てきたりもするんですけど、メインで物語を進めていくのは女子ふたりなんですよね。
そう言えば『樹海村』もメインは姉妹という女子ふたりですし、そこは意外な共通点かも。
確かに! 女の子ならではの友情感が芽生えた、姉妹の場合は仲違いがありつつやっと分かり合えたりとか。お互い違うベクトルを向いてるんだけど、最終的には同じ方向を向くっていうのは共通してますね。
そういう関係って憧れます?
兄弟にはめちゃめちゃ憧れます! 家族愛とか兄弟愛がテーマになっている作品を観ると必ず涙してしまうし、特に兄や姉には憧れますね。私は妹としてずーっと甘えていたいので(笑)。でも、友人関係だと真逆なんですよ。出かける場所や待ち合わせの時間も自分で決めたり、どちらかと言うと自分でリードするタイプなので。
そんなところにも二面性が(笑)。この両A面シングルで曲の幅も広がったので、ライヴの幅も広がりそうですね。
そうですね。この2曲をセットリストのどこに入れたら面白いかっていうのも今から考えてますし、「鬼ノ森」とか入れどころが難しいですけど、ガラッと場面転換できそうなので3月の全国Zeppツアーでもうまく組み込んでいきたいです。どの日も一日2公演だから、趣向を凝らして“あっと言う間だったな。楽しかったな”って喜んでもらえるものにしたいです。
この両A面シングルを皮切りに、2021年こそ自由な活動ができたらいいですよね。
今回もチコハニの新しい一面を見られる2曲になっているので、まずはこの13枚目のシングルをぜひチェックしてもらいたいのと、何と言っても「鬼ノ森」は初のホラー映画の主題歌なので、ぜひ映画館の壮大なスケールの中で聴いてもらえたら嬉しいです。2020年はできなかったこともたくさんありましたけど、その中でも12月に日本武道館で配信ライヴをやったり、それで画面越しにペンライトを振ってる画像やコメントをファンからもらったり、新しい挑戦もいろいろできました。そこで可能性も感じられたので、2021年はそれを活かしてCHiCO with HoneyWorksだからこそできるものを展開していきたいですね。
もしかして13枚目だからホラーの主題歌なんでしょうか?
あっ、“13”だから? それは偶然です! でも、言われてみたら…確かに。もしかしたら、そうなのかもしれませんね(笑)。
取材:清水素子
・・・
シングル「⻤ノ森 / 醜い⽣き物」2021年2月3日発売
MusicRay’n
■CHiCO with HoneyWorks春の全国Zeppツアー
3/07(日) 愛知・Zepp Nagoya
1回目 OPEN 13:30/START 14:30
2回目 OPEN 17:30/START 18:30
3/14(日) 北海道・Zepp Sapporo
1回目 OPEN 13:00/START 14:00
2回目 OPEN 17:00/START 18:00
3/21(日) 東京・Zepp Tokyo
1回目 OPEN 13:00/START 14:00
2回目 OPEN 17:00/START 18:00
3/27(土) 大阪・Zepp Osaka Bayside
1回目 OPEN 13:00/START 14:00
2回目 OPEN 17:00/START 18:00
3/28(日) 福岡・Zepp Fukuoka
1回目 OPEN 13:30/START 14:30
2回目 OPEN 17:30/START 18:30
▶チケット受付中!
https://l-tike.com/cwhw/
CHiCO with HoneyWorks プロフィール
チコ・ウィズ・ハニーワークス:ソニーミュージック主催にて実施されたボカロとアニソン特化型の全国区オーディション『ウタカツ!』で第一回グランプリに輝いた”CHiCO”と、ネットでの動画総再生回数が8億回を超え、話題沸騰中のクリエイターチーム”HoneyWorks”とのコラボユニット。2014年8月にシングル「世界は恋に落ちている」でデビュー。以降、ライヴ以外での顔出しはNG、メディアへの露出は声のみとしてきたが、20年9月18日にデビュー曲「世界は恋に落ちている」のスペシャルなピアノアレンジをYouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』にて披露。歌唱姿を初めてメディアに露出したということもあり、ネット上で大きな話題を呼び、世界中からコメントが殺到している。CHiCO with HoneyWorks オフィシャルHP
「鬼ノ森/醜い生き物」
クロスフェード