テリー・ボジオのドラムが炸裂する
ブレッカー・ブラザーズのライヴ盤
『ヘヴィ・メタル・ビ・バップ』

本作『ヘヴィ・メタル・ビ・バップ』
について

78年に本作がリリースされたことはもちろん知っていたが、ブレッカーの音に興味を失っていたので聴いたのは少し後になってからだ。ところが、このアルバムを聴いてみると、これまでのブレッカー・ブラザーズにはない過激なサウンドが満載で驚いてしまった。特にドラムはビリー・コブハムのような破壊力で、クレジットを見るとなんとテリー・ボジオだったのである。ギターはバリー・フィナティ、ベースはニール・ジェイソンで、ウィル・リーもスティーブ・カーンもいなかった。ランディとマイケルの参加は変わりないのでブレッカー・ブラザーズには違いないのだが、これは完全に別ユニットだ。ライヴということもあって、恐ろしくドライヴのかかった演奏になっている。ブレッカー兄弟ふたりのホーンには電気処理が加えられていて、即興性に満ちたアグレッシブなプレイが繰り広げられるのは痛快そのものである。

本作に収録されているのは全部で6曲。冒頭の「イースト・リバー」のみスタジオ録音で、後の5曲は1stと3rdからの選曲でライヴ録音となっている。なぜかはわからないが2ndからの選曲はない。「サム・スカンク・ファンク」を1stアルバムのバージョンと比べてみると面白い。本家とコピーバンドくらいの違いである。ライヴの演奏はテンポが早いし、リズムセクションのキレの良さが違うせいか、ブレッカー兄弟のアドリブの構成力も際立っている。それは、他の曲でも同じだ。それだけに、彼らの作品を時系列で聴く場合は問題ないが、本作を最初に聴いてしまうと、他のアルバムが物足りなく感じるかもしれない。

ブレッカー兄弟は通常フュージョン/ジャズのアーティストとして紹介されるが、本作を聴くとBS&Tやドリームスで培ったロックスピリットがしっかり身についているようだ。

TEXT:河崎直人

アルバム『Heavy Metal Be-Bop』1978年発表作品
    • <収録曲>
    • 1. イースト・リヴァー/East River
    • 2. インサイド・アウト/Inside Out
    • 3. サム・スカンク・ファンク/Some Skunk Funk
    • 4. スポンジ/Sponge
    • 5. ファンキー・シー、ファンキー・デュー/Funky Sea, Funky Dew
    • 6. スクイッズ/Squids
『Heavy Metal Be-Bop』(’78)/The Brecker Brothers

OKMusic編集部

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