山口祐一郎「劇場であたたかさを感じ
てほしい」浦井健治、保坂知寿と繰り
広げるハートフルコメディ『オトコ・
フタリ』が開幕!

2020年12月12日(土)から東京・日比谷シアタークリエにて山口祐一郎、浦井健治、保坂知寿による3人芝居『オトコ・フタリ』が幕を開ける。本作は彼らが軽快に言葉を紡ぎながら人生における永遠のテーマ「愛」の形を導き出す物語。NHK大河ドラマ『篤姫』『江~姫たちの戦国~』等多数の脚本を手がけるだけでなく、コメディ作家でもある田渕久美子書き下ろしの完全オリジナル脚本を、ミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』『ローマの休日』等を手掛けた山田和也が演出する。

初日前日に同劇場で公開されたゲネプロ(通し稽古)とそれに先駆けて行われた会見の模様をレポートする。
山口祐一郎
会見では山口が「禅定寺恭一郎を演じます。画家ですが愛というテーマで引き受けた絵が何故か描けません。その理由は、てんてんてん(…)」と口火を切ると、続く浦井も「須藤冬馬役の浦井健治です。山口さん演じる禅定寺恭一郎のお屋敷に母を探しにくるのですが、てんてんてん(…)という役どころです」と山口の口調を真似、さらに保坂も「中村好子という役をやります。家政婦なんですが、てんてんてん(…)謎な女性です」と乗っかり、思わず他メンバーから笑いが起きる。そしてこの会見で声の出演が明らかとなった大塚千弘が「3人が出会うきっかけになった女性の役を演じます。これ以上は言えません」と含みを持たせつつ挨拶した。
アクリル板をコンコン叩いて浦井さんに“構ってアピール”する山口さん(笑)
「今回は田渕さんが僕たちのために脚本を書いてくださった事に喜びを感じています」と山口が語る。「ここにいる役者のキャラクターや今だからこそ見せる事ができるポイントをこれほどあたたかく書いていただいた本はないです」と田渕への感謝を口にする。
浦井健治

浦井は「演出の山田さんに『コラッ!』と言われた事なんですが、三人の仲が良すぎる事が板の上にも出てしまっていて、作品の設定と違う」と指摘された事に触れ、「だから3人は喋らないようにしようねって祐さん(山口)が稽古場で言ったんですが、その5秒後にはずっとフレンドリーに喋っていまして‥‥‥皆愛に溢れる、血色のいい現場となっていました(笑)」というと保坂が耐え切れず笑い声をあげていた。保坂も「芝居が自然になればなるほど気を付けてないとつい、ね」と語ると山口が「今回のテーマは『皆仲良くならない』なので、懸命にやらないとね」と改めて言葉にしつつ、それでも笑いあっていた。
保坂知寿

稽古場でのエピソードは?と振られると浦井が「レジェンドのお二人が過去に所属していた劇団でのここでは言えない様々な!様々な!お話をそれはそれは楽し気に話してくださった。それをエッセイ本にしたいと思うくらいで」と語る。すると山口は「今舞台にあるあの椅子ですが、あの劇団の“あ”から始まる人が座っていた椅子と同じなんです。それに関係する話をたくさんしていました」とニヤリ。
噂の椅子はこちら!
保坂は「お二人が異常に仲がいいんですよ!親戚かというくらいで。健治さんの山口さんへの愛、そして山口さんの健治さんへの愛が溢れていました」というと、山口が「異常って‥‥‥いろんな意味合いがあるので気を付けておっしゃっていただきたい」とあえての“注意”をして笑わせていた。
大塚千弘
そんな稽古現場に何度か顔を出したと語る大塚も「とっても居心地がよくて。親戚の集まりかと一瞬錯覚するようなあったかい稽古場でした」と振り返る。
アクリル板ごと浦井さんをハグしようとする山口さん(笑)

さらに浦井が「祐さんが稽古場でいろんなことを考えながらスタッフさんを全員がっちり抱きしめながら皆をあたたかく包んでいたんです」と語ると、山口が浦井との間にあるアクリル板ごと浦井を抱きしめる素振りを見せ「ディスタンス!ディスタンスですから!」と浦井に止められていた。
最後に山口から「このメンバーに田渕さんが脚本を書いてくださって、僕たちと一緒にいろんな芝居を作ってきた山田さんがそれぞれの個性を伸ばしてくださって『そんなに仲良くなっちゃ困る』と言われるぐらいのチームワークを持ったメンバーでやれる、とても魅力的な作品になっております。お客様からはいろんなメッセージを頂いてます。『最近笑ったことがないんです』というメッセージも多いのですが、非日常が日常となった今、どうか劇場であたたかさを感じてもらって、そして『あ、今日、私、笑った!』って一度でもいいから、そんな風に思ってくださればいいなという想いで、この作品の初日を迎えたいです」と公演を楽しみにしている観客にメッセージを送って会見を締めた。
ゲネプロの模様も少しだけ紹介しよう。
舞台は抽象画家・禅定寺恭一郎の自宅アトリエ。創作に励む恭一郎のもと、家政婦の好子がお茶とお菓子を持ってくる。そこにチャイムの音が。好子が止めるのも聴かず、息を荒げて入って来た青年・須藤冬馬は「母を探しにきたんです。母を出せ!」と恭一郎に詰め寄る。訳が分からない恭一郎と好子。そして怒りをあらわにして恭一郎を真っ直ぐにらみつける冬馬‥‥‥。
何気ないやり取りが重なる中、一筋縄ではいかない3人の人生が見え隠れする。山口は普段よりやや低めの声色で自由自在に台詞を操り、多くの女性にモテるが愛情は注がない恭一郎を演じる。そんな恭一郎を責め続ける冬馬役の浦井は攻撃的でありながらもどこか間の抜けたところもあって憎めない青年を、そして保坂はよどみない台詞回しで万能な家政婦を演じていた。
劇中、冬馬が「愛」の形を歌で表現する場面があるが、一曲目「糸」(中島みゆき)も二曲目「Lemon」(米津玄師)も本来のメロディーを覆すように拳を握りしめ、ぼんやり&とつとつと歌う姿に思わず会場から笑いが起きていた。さらに2曲目では保坂も途中から参加して、手に持ったフォークとナイフで皿やテーブルをリズミカルに叩きながら熱唱。さらに大きな笑い声が響き渡っていた。
また、恭一郎が描いた絵のタイトルは「闇が広がる」。ミュージカル『エリザベート』の楽曲と同じタイトルが付けられていて、その歌を過去に歌っていた浦井が一瞬口ずさみ、山口に止められるという一幕も。
要所要所に笑いのスイッチが仕掛けられており、スイッチの一部にはほんの少し涙も混ざっている、最後までホッコリと楽しめる作品だった。
取材・文・会見撮影=こむらさき 舞台撮影=オフィシャル提供

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