fox capture plan、ホールならではの
演出で魅せた『DISCOVERY Release L
ive』をレポート

fox capture plan『DISCOVERY Release Live』

2020.11.19 東京国際フォーラム ホールC
2年振りのフルアルバム『DISCOVERY』を発表したfox capture plan。彼らがこの2年間で様々な試行錯誤をし、新たな音楽性を開拓したアルバムのリリースライブが、11月19日(木)に東京国際フォーラム ホールCにて行なわれた。バンド史上最大キャパシティとなるこの会場でライブを行なうことは、昨年から計画していたという彼ら。一時は新型コロナウイルスの影響で開催が危ぶまれた場面もあったそうで、岸本 亮は「こうやってライブ会場に足を運んでくれるだけでも、僕らは幸せです」と、しみじみと話していた。また、当日は感染拡大対策として、検温や手指の消毒に、座席を開けたソーシャルディスタンスの確保はもちろん、途中で場内の換気を行なうためステージを2部構成にしていて、来場者が安心してライブを楽しめる空間作りがされていたこともお伝えしておきたい。
fox capture plan
場内が暗転すると、1st Setの幕開けとなる「CROSS VIEW」が聴こえてきた。ステージを隠していた紗幕越しに、バンドロゴと、演奏している岸本 亮、カワイヒデヒロ、井上 司のシルエットが浮かび上がってくる。流麗で美しい始まりから、獰猛なアンサンブルを繰り広げる怒涛の中盤を過ぎた頃、ゆっくりと紗幕が上がっていき3人の姿が目に飛び込んでくると、客席からは大きな拍手が起こった。その勢いのまま「衝動の粒子」へ。音もかなりクリアかつ残響感が心地よいこともあって、トリッキーな変拍子に強烈な恍惚感が湧き上がってくる。foxの音楽は、クラブやライブハウス、あとはラウンジーな空間など、様々なシチュエーションに映えるが、天井の高い場所も最高に心地よい。
fox capture plan

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代表曲の連発で挨拶を終えた後、次々にアルバム曲が披露されていく。カワイがいつものダブル・ベースではなく、エレクトリック・ベースを手にとった「Discovery the New World」「Sprinter」で、まばゆい光を放ちながら疾走していくと、岸本がグランドピアノからエレクトリックピアノに切り替え、メロウなピアノソロから始まった「夜間航路」では、頭上にミラーボールが登場。紫色の光が場内を包み込む。
この日はホールという空間に映える演出がいろいろと用意されていて、前述の紗幕やミラーボール以外にも、2nd Setではステージ背面に横列に並べられたLEDライトが登場。それらが光ると、まるで画面にノイズが走ったように見えて、「Into the Spiral」や「PRDR」といったスタイリッシュでソリッドな楽曲が持つ緊張感を高めていき、また「Narrow Edge」では、LEDがエメラルド色に輝き幻想的な空間を作り上げていた。

fox capture plan
fox capture plan

そして、今回のライブの最も特徴的だった部分としては、アルバム曲だけでなく、旧曲もシーケンスを流し、音源の世界観を再現していく形になっていたところだ。これまでは、ゲストを招かない限り、基本的には3人でライブをしてきたfox。音源ではシーケンスを入れつつも、ライブでは3人で成立する形にアレンジしていたこともあり、そこには何かしらのこだわりがあったと思う。同期演奏は機械的な印象になってしまう危険性もあるが、そこは手練れの3人。まったくそんなことはなく、凄まじい熱量と躍動感でもって、より立体的なものとして目の前に立ち上がってきた。考えてみれば、アルバム『DISCOVERY』は「ジャズのピアノトリオのスタイルにこだわらなくてもいい」というスタンスで制作されたもの。おそらくライブにおいても同様のマインドで臨んだのだろう。ストリングスとエフェクティブな鍵盤の音色がドラマティックに絡み合う「NEW ERA」を経て、井上の豪快なドラムソロからなだれ込んだ「Paradigm Shift」の荘厳かつシリアスな空気感もたまらなかった。
fox capture plan
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もちろん、3人が超高速で突き進んでいく「Capturism」や、軽快なメロディやビートが心地よい「Supersonic」のような、ピアノトリオの真骨頂を見せつける場面も。約9ヶ月ぶりのワンマンということもあり、伸び伸びと楽しそうに音を奏でている姿や、来年の活動10周年を目前に、より自由に音楽と向き合っていこうとしているその姿勢がとても眩しかった。
fox capture planは、12月27日(日)に、ブルーノート東京にてワンマンライブを開催。このライブは、ファンからのリクエストでセットリストを決めるという趣旨になっていて、現在当日聴きたい曲を募集しているので、ぜひご応募を。そして、来年1月にはアニバーサリーイヤーのキックオフライブが行なわれる。祝祭の1年を彼らがどう過ごしていくのか、続報を楽しみに待ちたい。

文=山口哲生 撮影=Kayo Sekiguchi

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