【8bitBRAIN インタビュー】
さらにマニアックな方たちが
ハチブレにハマってくれるといい
その音楽性はアイドルの進化を示すと同時に、過去にアングラと呼ばれた音楽がもはやアングラではないことを見事に体現しているとも言える、ラウドロックアイドルグループ、8bitBRAIN。7月にメジャーデビューを果たし、コロナ禍にもめげないメンタリティーを発揮してくれた彼女たちだが、2ndシングル「Out of order」ではさらに逞しくも勇ましい姿を見せつけている。
欲しいものは欲しいし、
嫌なものは嫌だ
本作は8bitBRAINが本性を露わにしてきた印象がありますね。
Koyoka
より言葉を選ばなくなった…みたいな感じですね。
アンズ
より怖いものがなくなったというか(笑)。1stの「Under the weather」の時って“メジャーか…どんな世界なんだろう?”って思って、“こういう言葉は使ってはいけないのか?”“どこまでディスっていいのか?”って探り合いだったんですよね、世の中との(笑)。でも、1stを出してから、“あっ、このままでいいんだ”ってなった感じが前面に出ていると思いますね。
前作で感じられたエクスキューズみたいなものが今回はなくなってますよね? 「Under the weather」はサビ頭で出だしはポップミュージックらしく、そこからデスヴォイスが入るという展開でしたが、今回は開始10秒でいきなりデスヴォイスという。
小谷
しかも《That war》(≒絶望)って言ってますからね(笑)。
中盤のラップもカッコ良く入ってきますし、確実に前作以上にみなさんの本性が出ていると思います。まず、メンバーそれぞれの本作に対する印象をおうかがいしたいと思います。
サリ
私もストレートな歌詞が好きなんですけど、ヴォーカルはエフェクターを通しているので自分の地声で伝えられない部分がある分、この「Out of order」はストレートに歌詞を歌っているので、そこが伝わればいいなと思ってて。聴いてくれている人の中にもコロナ禍でいろいろと挫折したり落ち込んだりする人がいると思うし、ひとりでも多くのそういう人たちに聴いてもらって、この感情が伝わってほしいと思います。
菊地
ハチブレ(8bitBRAINの通称)の今までの楽曲って泥臭いものが結構多くて、だいたい何かに歯向かっていたり、抗っていたり、文句つけてたりという曲が多いんですけど、「Out of order」は初めてのワンマンライヴの時に生まれていたもので、ちょっと今までと違うダークな歌詞が持ち味だったんです。曲調ももっとダークで。でも、2ndシングルの表題曲として生まれ変わることになって、曲調も歌詞も激しくなり、もう怖いものがなくなって全てを曝け出しているような歌詞と音になったんですね。いい意味でダークだったものが他の曲とも馴染むようになって、しかも負けない強さを持ったというか。「Under the weather」も今の情勢からすると攻めた歌詞だと思っていたんですけど、今回はそれ以上に攻めていると思っています。
「Out of order」はもともとあった曲をリアレンジしたものなんですね。
菊地
そうなんです。前のアレンジでのライヴ映像がYouTubeに上がってるんですけど、他の曲と違うダークさが一番カッコ良いと思っていたから、実はアレンジが変わると聞いてちょっとショックだったんです。でも、新しいアレンジはそれを凌駕するくらいにカッコ良くて、新しいバージョンをお披露目した時も“以前のほうが良かった”というお客さんの声はなかったし、むしろ“カッコ良くなった!”っていろんな人に言っていただきました。
小谷さんはどう感じていますか?
小谷
私はデスヴォイスをやっているので、もともと何言っているのか一番伝わりにくいパートなんですけど、「Under the weather」と比べるとすごくストレートにできてて、“明らかにこれはコロナのことを言っているんだろうな”みたいな言葉が全部デスヴォイスのところに散りばめられいるので…若干歌うのに緊張したんですけど、聴いている側は音としてしかほとんど聴こえないとはいえ、みんなが思っているようなことをバッと言えているから、スカっとする曲にはなっているのかなって。曲調も今の流行に乗るじゃないですけど、Fear, and Loathing in Las Vegasさんみたいな感じになってて、こういう曲が好きな人にはより刺さりやすくなったと思います。あと、真ん中で私とアンズの掛け合いがあるんですけど、新しくなってから急に出てきたパートで、《生き残れない人間は排除》って言っているし…まぁ、攻めたなって(笑)。1stシングルを出してから天狗になっている感がすごくて、何か緊張しますね。
小谷
最初は“アイドルシーンのダークホース”とかカッコ良く言ってたんですけど、“これはもうダークホースどころじゃない”とか紹介されてて(笑)、“あっ、ハチブレはもともとこっちに行きたかったのかな? なるほどね”って思いました。
開始10秒でのデスヴォイスはどうとらえました?
小谷
衝撃というか…パンチ力があるから一回聴いてもらえれば、“何だろう?”って思って続きを聴いてもらえると思う反面、デスヴォイスを嫌いな人にとってはそこでシュッと終了しやすくなっているので、かなり博打だって(苦笑)。
確かにそう言われればそうかもしれませんね。逆に言えば、開始10秒でシュッと終了してしまうリスナーがいたとしたら、そういう人にあえて8bitBRAINを聴いてもらわなくてもいいといった気概があるのかもと、今、お話を聞いてて少し思いましたよ。
小谷
刺さる人に刺さればOKみたいなことはもともとプロデューサーも言っていたので、2ndでいきなりそれをやってきたなって思いましたね(笑)。
そうですか。Koyokaさんはいかがでしょう?
Koyoka
さっきも言ったんですけど、今回は言葉を選ばなくなったと思ってますし、「Under the weather」では“這いつくばって一緒にこの状況を乗り越えていこうよ!”という少し泥臭い部分もあったんですけど、今回はもうそれを通り越して“やっぱり衝動が勝った”みたいな(笑)。サビは《うるさい!》から始まってるし、いろんな感情が渦巻いている中で、“やっぱり欲しいものは欲しいし、嫌なものは嫌だ”ということを発信している曲だと思います。あとは、歌詞も至るところに挑発的な言葉が入っているので、嫌いな人は嫌いかもしれないですけど、好きな人には刺さるっていう想いで歌っています。なので、前回よりもさらにマニアックな方たちがハチブレにハマってくれるといいなと思っています。