SANABAGUN. 有観客&生配信ライブ『
LIVE☆チョップマン☆』の開催を発表
配信ライブのオフィシャルレポート
が到着
あっという間のようで、濃密に駆け抜けた5年間。
これまでにフルアルバムを4枚作り上げ、その間にはオリジナルメンバーとの別れと新メンバーとの出会いもあった。
路上時代から鍛え上げた、客の足を止め耳目を奪ってみせる演奏力とパフォーマンス力。
それを絶え間なく更新し続け、日本の音楽シーン全体を見渡せても比類なき存在感を示してきた。
元号は平成から令和へ。レペゼンゆとり教育、平成生まれのヒップホップチーム、SANABAGUN.は、どこまでも混沌とした2020年の逆風にあえて真っ向から立ち向かうようにして配信のみならず有観客も含めたライブを重ねている。
メジャーデビュー5周年記念日にあたるこの日、SANABAGUN.は無観客配信ライブ「渋谷ジョークRETURNS」を開催した。
このライブは、ちょうど5年前にメジャーデビューアルバム『メジャー』のリリース直後に渋谷クラブクアトロにて開催した初のワンマン公演「渋谷ジョーク」のセットリストを再現するというもので、この5年でSANABAGUN.に起こった変化や進化をあらためて浮き彫りにするのがテーマと言えるだろう。
デビュー5周年をメンバー勢揃いで祝っている様子を捉えた映像から配信はスタートした。
すると、高岩の携帯電話にマネージャーから着電。
何やら、今夜ライブを開催するから早く会場に来いと急かしている様子である。
そんな予定はなかったはずだ、と困惑する8人。
しかし、とにかくまずは会場に向かわなくてはと焦るメンバーに対して岩間が余裕の構えで「すぐに移動できるドアがある」と言う。
岩間の視線の先にはなぜか真っ白な扉が。メンバーが半信半疑の面持ちでドアを開けると、なんと会場にワープ。しかし、大樋だけは瞬間移動できず、会場に向かってダッシュした──という、じつに彼ららしい寸劇を見せてくれたオープニングを経て、ライブは本編へ。
近年のライブで纏っているフォーマルな衣装ではなくカジュアルな私服で楽器とマイクを持っている8人の姿が印象的だ。その音から充満する不敵なムード。そこから「カネー」、「Hsu What」では色気が香り立つようなクールネスと、そのアンサンブルやラップとボーカルに濃く深くこびりついた粋なジャズイズムであり、ストリート由来の迫力を誇示する。気づくと映像はモノクロからカラーに切り替わっていた。
とにかく、この日のSANABAGUN.が緩急を付けながら繰り広げたアンサンブルとパフォーマンスにはリラックスした高い自由度と、堂々とした風格が絶妙なバランスで両立していたのがとても印象的だった。
谷本が入院患者に扮しドスの利いたラップを響かせ演奏陣があえてヨレたジャンクサウンドを鳴らした「胆管処刑」や、高岩、岩間、隅垣が意味不明なのに痛快なマイクリレーを編む「デパ地下」などにも不可思議な貫禄のようなものが備わっていたのが余計に面白かった。
あるいは、洗練されたサウンドのループの上で各パートのプレイカラーと岩間のラップのスキルをクリアに楽しめた「在日日本人」やメロディアスな高岩のジャズボーカルがたまらない「Just in time」、オープンなグルーヴを存分に堪能できた「大渋滞」や「居酒屋JAZZ」も然り。フロアを揺らす強靭な音楽力と画面の向こう側にいるオーディエンスを弛緩させるユーモアが矛盾することなく融和する──そうだ、この人間臭くて病みつきになるエンターテイメント性もSANABAGUN.がこの5年で培ったものである。終盤の「HIS MASTERS VOICE」から「まずは『墓』。」までの流れはその極めつけだったと言える。
「SANABAGUN.からのプレゼントだ! 一撃必殺のニューシット、『チョップマン』!」
そう、新曲「チョップマン」、本邦初公開である。サウンドはまさかのPファンク調でかなり陽性の方向に突き抜けていた。そのままMVとしても成立しそうな、フロアとステージを両方使用した映像演出も含めて前述したSANABAGUN.ならではのエンターテイメント性をさらに押し上げるような格好である。「チョップマン」は早速配信中。SANABAGUN.はこの新曲の余勢を駆るようにして、11月26日に東京・LIQUIDROOMにて「LIVE☆チョップマン☆」を有観客と配信のハイブリッドで開催する。
デビュー5周年のSANABAGUN.、お楽しみはこれからだ。
文=三宅正一
アーティスト
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