ブリティッシュファンクの
源流となった
アベレージ・ホワイト・バンドの
傑作『カット・ザ・ケイク』
本作『カット・ザ・ケイク』について
2曲目の「スクール・ボーイ・クラッシュ」は、ミディアムテンポの泥臭いファンクで、4曲目の「グルーヴィン・ザ・ナイト・アウェイ」はタワー・オブ・パワーを意識したホーンセクションが躍動するアップテンポのナンバー。それ以外はメロディ重視のソウルナンバーで占められ、スチュアートとゴーリーの巧みなボーカルを生かした曲が多い。このあたりは、当時、頭角を表しはじめていたホール&オーツを意識したのかもしれないとも思う。アルバムのベストトラックとしては、タイトル曲を除けばレオン・ウェアの名曲カバー「イフ・アイ・エバー・ルーズ・ジス・ヘヴン」だろうか。
アルバムのプロデュースは、アレサ・フランクリン、ダニー・ハサウェイ&ロバータ・フラック、ホール&オーツ、チャカ・カーン、ノラ・ジョーンズらを手がけたアトランティックの名プロデューサー、アリフ・マーディンが担当している。
本作の後もAWBは大ヒットを連発し、82年までに11枚のオリジナルアルバムをリリース、一旦は解散するものの89年に再結成、今でも断続的に活動している。個人的には、2ndアルバムから76年の2枚組ライヴ盤『パーソン・トゥ・パーソン』までが彼らの最高の時期ではないかと思っている。
TEXT:河崎直人