『OSAKA GENKi PARK』オフィシャルラ
イブレポート【Chillin' Vibes STAG
E】初日ーーステージ名の通り、チル
アウト空間となったステージ

『大阪文化芸術フェス presents OSAKA GENKi PARK』2020.10.10(SAT)Chillin‘ Vibes STAGE
「Chillin‘ Vibes STAGE」初日。緑に囲まれ、装飾が施された大きな木があり、芝生があり、後方にはオープンソファー席(有料時間貸し)もある理想的なコンパクトステージ。ステージは木材を重ね合わせた作りになっており、温もりを感じる。
竹内アンナ
トップバッターの竹内アンナはアコギを弾き、ドラムの岡本啓佑(黒猫チェルシー)とふたり横に並び合い、リハーサルから共に気持ち良い音を鳴らす。まさしくチルアウトな、まったりくつろげる最高の空間。12時25分、「みなさん一緒に楽しんでいきましょう!」という竹内の元気な声がけによりスタート。
1曲目「SUNKISSed GIRL」から、竹内のアコギは軽快なメロディーを奏で、そして岡本の刻むビートはタイトで、ふたり編成ならではのシンプルで真っ直ぐなサウンドに仕上がっている。観客は入場口で配布されるレジャーシートを芝生にひいて、ピクニック気分で楽しむ。曲の終盤では風も吹き出し、より居心地の良さを感じる。アメリカ・ロサンゼルス生まれだけあって、英語で歌う姿も様になり、もちろん意味が全て分かるわけではないが、自然に英語詞が耳に入ってくる。
竹内アンナ
MCで「今日の日を、これから何度も思い出してはパワーをもらえる、そんな1日になる」と言っていたが、そんな特別な日の始まりにふさわしい爽やかなライブ。また、今日来ないという選択肢を選んだ人にも配慮して話をしたあたりも丁寧な気配りで素敵だった。関西出身なので関西弁がたまに出るのには、こちらも思わずほっこりする。
岡本のドラムとの相性の良さもあって、全体的に跳ねたビートとリズムを感じていたが、4曲目「RIDE ON WEEKEND」は、その感じが、より際立っていた。今年は、中々楽しい週末が無かっただけに、<毎週 RIDE ON WEEKEND どこまでも キミとならどこへでも 行ける気がしているよ>という歌詞にも背中を押される。
竹内アンナ
「音楽、エンタメの明るい未来を想像して」という言葉と共に、FM802の10月のヘビーローテーションに選ばれた「+imagination」へ。ラストは「I My Me Myself」。岡本のドラムに気持ち良さそうに体を揺らし、そしてギターを弾いて歌っていく。青空の下、駆け抜ける様に終わったトップバッターだった。
●DedachiKenta
DedachiKenta
2番手はDedachiKenta。13時50分、颯爽と登場したDedachiは「Hello Everyone!」と流暢な英語で語りかけ、「Chillin‘ Vibes STAGEというステージなんで、みんなチルな感じで聴いて下さい!」と言って、1曲目 「Remember Me」へ。先程と違い、少し曇ってきて、風も強く吹くが、そんな事は関係なくリズミカルな音が鳴らされる。ライブが久しぶりすぎるであろう観客を気にしながら、「硬い肩をほぐしながら聴いて下さい!」と「Fly Away」へ。その名の通り、飛んで行きたくなるような軽やかさ。続く「Walking In The Rain」では、自然に体が横に揺れる。曲途中、ハンドクラップを求めたりと、時折り英語を交えて話す。
DedachiKenta
現在、ロサンゼルスの大学に在学中でもあるが、日常生活も自然と英語で話しているんだろうなという事も伝わってくる。歌い終わり、「「Walking In The Rain」という曲でしたけど、雨が降っていなくて良かったです。歌っている時に雨が降るんじゃないかと」なんて本人も心配するほど、空は曇ってくる。しかし、雨は降らず、穏やかな自然の環境でリラックスしながら音を楽しむ事が出来た。演者も観客も何ヶ月もライブが無い世界であったからこそ、「対面にいるお客さんの素晴らしさがわかります!」というDedachiの言葉は沁みる。
DedachiKenta
デビュー曲でもある5曲目「This is how I feel」が終わったところで、バンドメンバーに感謝を述べて、ギターから鍵盤に楽器を替えて、Dedachiひとりに。コロナ禍もあり、一時日本に帰国して6ヶ月。6ヶ月逢えてない友達への恋しさを込めて、日本で自粛している間に作った新曲「Where We Started」へ。最後にひとりで静かに新曲を歌う姿は、とても印象に残った。
さかいゆう
3番手は、さかいゆう。時間は15時5分、先程、少し崩れかけていた天候も晴れてきた。リハーサルで、さかいは「本当は密に迫りたい。ハートは密でいいですか?」と観客に語りかける。ハートが密という表現はすごく良いなと思いながら、本番を待っていると、陽も差してきて温かくなる。1曲目「ストーリー」。2009年のデビュー曲を、さかいは鍵盤を弾き歌い、ドラムの望月敬史と演奏していく。ソウルやR&Bの要素を感じさせながらも、全くマニアックにならず大衆的な音楽として、多くの人に届けている事に改めて驚く。
さかいゆう
曲終わり、ステージサイドにいる映像カメラマンに話しかけたり、全体的に楽しそうな雰囲気が漂う。そして、「空の下で出来るなんて!」と言ってから、先日、望月と録音したばかりだという新曲「BACKSTAY」を、初公開にしてオリジナルバージョンで披露する事に。静かな曲だという新曲を始めようとしたら、近くのステージから、急に音がドカドカ鳴り出すというハプニングが! しかし、「ポリリズムとしてお楽しみ下さい!」なんて粋なジョークで、場を和ませるのも大人の余裕でかっこよかった。
そして、歌い出すが、<空の青さ>というワンフレーズ目が聴こえた瞬間に、一瞬ではっとさせられる。その曲が持つ惹き込まさせる力で、ドカドカ鳴っていた他の音も全く気にならない。日々、誰も倒れそうなほど大変な中で、後ろから支えてくれるという意味がある「BACKSTAY」という曲には本当に現実味を感じる。
さかいゆう
さかい自身、武藤さんというスタッフのお名前を出して、スタッフたちに背中を押してもらっている現実を明かしたし、でも「最後の美味しいとこだけ取るのが、私たちミュージシャンのいいところでもあり、悪いところ!」と冗談ぽくではあるが、しっかりと自己分析が出来ているのも凄かった。スタッフさんとお客さんがいて、初めてライブが成立すると理解できている人のライブだからこそ、我々も胸を打たれるのだろう。自身を腰の低いタイプなどでは無いと言った後に、「今日は、涙出そうなくらい嬉しい」と語ったのもリアリティーがあった。 
さかいゆう
「雨が止んだのに雨の歌を歌います」と歌われた「Soul Rain」。緩やかに歌われるのに、迫力や貫禄があるし、「終わりそうだけど終わらない!」と言ってから、急にドラムがダイナミックな展開になり、ステージから目を離す事が出来ない。鍵盤とドラムの激しいセッションも目に焼き付けられたし、とにかく目撃という言葉が合うライブであった。
Ms.OOJA
4番手はMs.OOJA。16時25分に始まり、冒頭、「久々に人がいる! 拍手だけでテンション上がるね!」と話すと、それに応えるかの様に、また拍手が起きる。1曲目は、「がんばるみんなに向けての応援歌です!」と言って歌われた「Footprint」。<孤独な夜が 一つ明ける度に また君は大人になってく>と歌われただけで、良い応援歌である事がわかるし、この御時世、普段以上に観客は応援歌を求めている。
Ms.OOJA
そのまま、2曲目「Heroes」へ。強い風が吹くなか、<冷たい雨は 降り止まず 吹き続ける風 身を削る>という歌詞は、より伝わってくるし、<追いかける 夢はきっと この道照らす 光>と壮大に歌われる。カバー曲も多く歌う彼女だが、この日もオリジナル2曲続けてからカバー曲を歌うという緩急の付け方は流石だった。「少し懐かしいのいきましょ!」と声掛けをしてから、8月26日に発売された最新カバーアルバムから、「異邦人」を。あの独特なメロディーがギタリストによって爪弾かれ、そこに鍵盤とパーカッションが重なり、彼女が歌い上げる。同アルバムに収録される八神純子の「想い出のスクリーン」と2曲続けて、懐かしの昭和歌謡曲を聴く事が出来た。
Ms.OOJA
「楽しい~! お客さんがいるって最高だね!」と喜びを爆発させて、泰葉のカバー曲「フライディ・チャイナタウン」では、用意してきた振り付けを観客に教える練習タイムが取られる。「説明が下手すぎる!」と自分で笑うが、観客全員の覚えが早く、練習段階で上出来に。いざ歌われてからも、観客は座りながらだが、全員上手に踊り抜く。
Ms.OOJA
「次の曲はみなさんの手拍子が演奏になります」と言って披露されたのは、コブクロ小渕健太郎作曲「WAY YOU ARE」。自然に手拍子が起きるし、ギターカッティングも気持ち良く、リズミカルでポップな楽曲。「やっぱりライブってこういう事だよね! 配信ライブも凄く楽しかったけど、生の音を届けられるって最高です!!」という言葉に、彼女の気持ちは全て表れていた。ラストナンバー「Be. . .」では、撮影もOKに! 歌い終わってからも、袖にハケる最後まで名残惜しそうに手を振っていたのが可愛らしかった。
●松本大(LAMP IN TERREN
松本大(LAMP IN TERREN)
日も暮れてきて、照明も綺麗に映える17時40分、FM802弾き語り部部長でもあるLAMP IN TERRENの松本大が登場。我々ライターが貰うセットリストにも「セットリストはステージ上で決まり」と書いてあったが、まさかの「およげ!たいやきくん」のカバーからスタート。45年前に子供向けとして発表された楽曲だが、情感たっぷりに歌い上げられると、まるで野太いブルースにしか聴こえない。歌い終わり、「「およげ!たいやきくん」改め、「およげ!たいやきさん」でした!」と紹介される。大人っぽいから、「さん」が付いたのかななど色々と想像しながら楽しめたし、ライター目線としては何が歌われるか決まってないのはドキドキものだが、観客目線としては何が歌われるか決まってないのはワクワクでしかない。
松本大(LAMP IN TERREN)
一転して、しっとりと歌い出されたのは、10月14日に発売されたばかりの最新アルバム『FRAGILE』から「いつものこと」。だが、次第に熱を帯びていく。1曲目はカバー曲とは言え、2曲聴いただけでも、色々な側面を持っているのだなと、この後の展開が、より楽しみになる。「何やるか全く決めてません」と本人の口からも説明され、「アルバムからもう1曲やろうかな」と言って、コロナ禍の自粛期間で外出が出来なかった日々について触れていく。「どのように過ごしてます? ご夫婦どれくらいおられます?」と観客に話しかけ、コロナ離婚のニュースを観た時に、ずっと同じ空間にいないといけない時を考えて作られた曲を披露する事に。一緒にいる為に空気を読んだり、傷つけない為や仲良くいる為の嘘をつく事をテーマにされた「チョコレート」。前述の事が考えられたり、テーマにされた中でチョコレートという言葉を選んで歌われたのが、とても興味深かった。
松本大(LAMP IN TERREN)
「ちょっとこれ、照明真っ暗にしたらどうなります? せっかくなんで暗い中でやりたくて」とスタッフにお願いして、ステージ上を真っ暗にして、空に星は出てなかったが、照明を星に見立てて、「月のこどもたち」を鍵盤で弾き語る。加藤登紀子のカバー曲「時には昔の話を」も歌い、最新アルバムに収録されているラストナンバー「EYE」。歌う前に「早く元に戻ればと思いますが、こんな時だからこそ凄く大切な思い出を作れてると思います」と語り、観客と自分たちとの関係性も語る。色々と語った後に、「勝手ながら思っています」と最後に付け加えたのが、押し付けがましくない観客への思いやりが伝わってきて素敵だった。こうして、今回のステージの中で一番自然が感じられ、まったりとくつろげた「Chillin‘ Vibes STAGE」初日が終わる。
松本大(LAMP IN TERREN)
取材・文=鈴木淳史 撮影=河上良

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