ワッツ・オン・ブロードウェイ?~B
’wayミュージカル非公式ガイド【20
20年秋編】
2020年3月13日に「4月12日まで」の閉鎖が発表されてから半年以上、ブロードウェイ再開のめどはまだ立たない。ウエストエンドでは――ここ数日ロンドンには深刻な第二波が来ているようなのでまた変わるかもしれないが――、『SIX』などいくつかの作品が、秋から客席数を減らして再開することを発表。しかしブロードウェイでは、前号の時点では「9月6日以降まで」だった閉鎖期間が、6月29日に「1月3日以降まで」に延長されてしまった。
明るいニュースといえば、延期されていた毎年6月のトニー賞が、“デジタルイベント”として秋に開催されると発表されたこと。今シーズンは新作が出揃う前に閉鎖期間に入ってしまったため、対象作品が極端に少なく、ミュージカルは『ムーラン・ルージュ!』『The Lightning Thief』『Tina:ザ・ティナ・ターナー・ミュージカル』『ジャグド・リトル・ピル』のみ(リバイバル部門に至ってはゼロ!)。果たして盛り上がるのだろうか……?と心配になるが、きっとトニー賞さんのこと、なんとか楽しくしてくれると信じて続報を待ちたい。
さて、しばらくは配信にスポットを当てようと思っていた本連載だが、頼みのBroadwayHDはラインナップが前号時点からほぼ変わらず、ほかのサブスクをパトロールしてみても、近々で目ぼしい作品が日本から観られる予定はない様子。新作『ダイアナ』が無観客収録からのNetflix配信を行うとの新展開に「お?」と思うも、2021年公開とまだ先の話だった。そんなわけで今回は頭を切り替え、来シーズンの新作に目を向けてみることとする。次号「冬編」では、再開発表のニュースを華々しくお届けできることを祈りながら――。
■伝記系ジュークボックスの新作『MJ』
来シーズンの詳しいラインナップは下記のリストをご覧いただくとして、個人的な注目作を三つ挙げるなら、まずは『MJ ザ・ミュージカル』。その名の通り、マイケル・ジャクソンの半生を彼の楽曲によって綴るジュークボックスものだ。伝記系ジュークボックスが量産され続ける現状には賛否両論あるが、筆者は何番煎じでもいいからどんどん作って欲しい、余談だが日本でも安室奈美恵ミュージカルとかそろそろどうですか?と思っている派。演出・振付がバレエ出身のクリストファー・ウィールドンと聞いた時こそ「ん?」と思ったものだが、公式YouTubeチャンネルに上がっている稽古動画を見る限りとてもイイ。楽しみだ。
■ヒュー様とサットンが夢の共演
映画版『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャンとして、またトニー賞授賞式の常連司会者としておなじみ過ぎて忘れそうになるが、実はブロードウェイの舞台に立つ姿は観たことがないヒュー・ジャックマン。そして、『リトル・ウィメン』『モダン・ミリー(中止になったが…)』『ヴァイオレット』と、彼女がオリジナルキャストを務めた作品が立て続けに日本で上演されたことで、近ごろ改めてその力を痛感させられているサットン・フォスター。そんな二大スターがそろい踏みし、ほかにも豪華キャストが集う『ザ・ミュージックマン』リバイバルもやはり、絶対に観逃したくない作品だ。演出はリバイバルものに定評のあるジェリー・ザックス、振付はヒュー様の『バック・オン・ブロードウェイ』の演出・振付も手がけたウォーレン・カーライルと、クリエイティブ陣も盤石。チケット難は間違いないだろう。
■思い出の『トミー』リバイバルも!
中学生の時に観た初演の『トミー』は鮮烈で、主演俳優マイケル・サーヴェリスの名は、その妖しく繊細な演技とともに筆者の胸に深く刻まれた。刻まれたところで、ネットのない時代にその活躍を追い続けることはできなかったわけだが、10年以上経って偶然『スウィーニー・トッド』で再会した彼は大げさでなく別人(大人の俳優)になっており、さらに10年後、『ファン・ホーム』のお父さん役でトニー賞を獲得した。筆者にブロードウェイ通いを続ける楽しさを教えてくれた一人である彼のデビュー作『トミー』が来年、実に26年ぶりにリバイバルされるという。まだ詳細は発表されていないが、初演版の脚本・演出を手がけたデス・マカナフが自ら挑む新演出。今度は一体、どんなトミーが誕生するのだろうか?
【2020-2021シーズンの新作】
*情報は9月27日時点のもの
『1776』春に開始予定
1969年のトニー賞受賞作をD・パウラス演出でリバイバル。米国独立宣言の裏側を描く。
https://www.roundabouttheatre.org/get-tickets/2020-2021-season/1776/
1969年のトニー賞受賞作をD・パウラス演出でリバイバル。米国独立宣言の裏側を描く。
https://www.roundabouttheatre.org/get-tickets/2020-2021-season/1776/
『Caroline, or Change』春に開始予定
2004年のトニー賞ノミネート作品の、2018年にロンドンで好評を得たリバイバル版。
https://www.roundabouttheatre.org/get-tickets/2019-2020-season/caroline-or-change/
2004年のトニー賞ノミネート作品の、2018年にロンドンで好評を得たリバイバル版。
https://www.roundabouttheatre.org/get-tickets/2019-2020-season/caroline-or-change/
『Flying Over Sunset』春に開始予定
3人の著名人がLSD(当時は合法)を使用していた事実を元にJ・ラパインが創作する新作。
https://www.lct.org/shows/flying-over-sunset/
3人の著名人がLSD(当時は合法)を使用していた事実を元にJ・ラパインが創作する新作。
https://www.lct.org/shows/flying-over-sunset/
『お熱いのがお好き』秋に開始予定
M・モンロー主演の名作映画をC・ニコロウ(『アラジン』)の演出・振付で舞台化。
M・モンロー主演の名作映画をC・ニコロウ(『アラジン』)の演出・振付で舞台化。
【2019-2020シーズンの新作】
■閉鎖前に開幕していた作品
『Girl From the North Country』
ボブ・ディランの楽曲がちりばめられてはいるが、作りとしては完全にプレイ。要英語力。
https://northcountryonbroadway.com/
ボブ・ディランの楽曲がちりばめられてはいるが、作りとしては完全にプレイ。要英語力。
https://northcountryonbroadway.com/
■プレビュー中に閉鎖期間に入った作品
【ロングラン作品】
■日本で既に上演された/されている作品
■日本未上演の作品
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