INTERVIEW / DATS DATSが見出したバ
ンドの“核”。新体制、コロナ禍を経
て、MONJOEが再認識したバンドの強み

DATSがニュー・アルバム『School』を9月25日(金)にリリースする。
昨年発表した新体制後初の作品となる『オドラサレテル』、そして初のタイアップ曲となった『Game Over』の2作のシングルでは、タフでグルーヴィー、そしてスケールの大きいダイナミックなサウンドを展開。メンバーそれぞれのルーツが色濃く表出したような、ある種の原点回帰のような印象も感じさせた。しかし、コロナ禍の真っ只中で制作が進められたという本作に漂っているのは、どこか優しく穏やかな雰囲気。シンプルながらも洗練されたバンド・アンサンブルと、洒脱なエレクトロニクスでその世界観をくっきりと描き出している。また、陽性のヴァイブスと、どこかノスタルジックなニュアンスを湛えた今作のムードは、3曲目に「Dancing in the moonlight」のカバーを収録していることからも、意図的であることが伺える。
果たして、この混沌とする世界において、DATSに起こった変化とは。今回はフロントマンのMONJOEへのインタビューを通して、この1年の間でのバンドの進歩、そして彼自身の思考の変遷を紐解くことに。
Interview & Text by Takazumi Hosaka
「青春っぽさやノスタルジックな感じ、ティーンエイジャー的な衝動」――『School』が指し示す音
――コロナ禍での動きについてお聞きしたいのですが、MONJOEさんはかなり早めの段階から外出を控えていたそうですね。
MONJOE:そうですね、2月頃から基本的にずっと家にいましたね。
――ライブはもちろんのことだと思うのですが、それ以外の活動、仕事についてはどのような影響がありましたか?
ライブは全部キャンセルになったんですが、制作に関してはありがたいことにお仕事を頂けていたので、変わらず行っていました。DATSのレコーディングも、僕らの場合はそれぞれの自宅である程度のクオリティの音源を作れる環境が整っているので、そこも幸い影響はあまりなかったですね。
――最近、色々なアーティストさんのインタビューで、外に出ていないとインスピレーションが湧かない、創作意欲が湧かないといった話をよくお聞きします。そういった点は?
うーん、確かに作詞の面では感じていたかもしれないです。サウンド面では、それこそ今は家にいながらいくらでも音楽を聴けるので、そういったことはなかったですけど。作詞には自分の経験とか、外的な刺激だったり、自分の感情の動きみたいなものが反映されてると思うので、最終段階で少し行き詰まる部分はありましたね。でも、自分が今置かれている状況すらも歌詞にするっていう気概で頑張ったというか。
――なるほど。今回のアルバム『School』へ向けての制作は、いつ頃から動き始めたのでしょうか。
曲作り自体は去年からやっていました。昔からの自分たちの課題として、「DATSといえばこれだよね」っていう音、バンドとしての核みたいな部分を模索するために色々と試行錯誤していて。めちゃくちゃ手を動かしていました。それが徐々にまとまってきて、今回のアルバムに結実したっていう感じですね。
――昨年リリースのEP『オドラサレテル』、そしてメジャー1stシングル『Game Over』から、今作ではこれまたガラッと雰囲気が変わったなと感じました。コンセプトや方向性はどのようにして固めていったのでしょうか。
コンセプトに関しては、それこそ吉田巧が加入した頃からずっと話し合っていました。僕らって、良くも悪くもなんでもできちゃうのが特徴だと思うんです。制作において、みんな器用だからどんなジャンルでもできてしまう。だからこそ、自分たちの核みたいな部分が必要だったんです。今作のサウンドに行き着いたのは、やっぱりタイトルの“School”っていうワードが出てきたっていうことが大きいですね。
――“School”という単語はどういう風にして生まれてきたのでしょう?
ちょっとアホっぽいんですけど、できてきた曲をみんなで聴いてる時に、「これ、“School”っぽいね」っていう(笑)。会話のノリの中から出てきたワードですね。青春っぽさやノスタルジックな感じ、ティーンエイジャー的な衝動とか、“School”っていうワードからは色々な要素が紐づくと思うんですけど、制作を進めていくうちに、それが今のDATSっぽさとリンクしてきて。そこから、“School”に内包されるイメージを軸に、作品として制作していったという感じですね。
――『オドラサレテル』では90年代のUKロックであったり、いわゆるマッドチェスター・ムーブメントがひとつのキーになっていたと思います。そこから、自分たちを見つめ直す機会を経て、自然に変わっていったと。
というより、自分たちとしては変わっているっていう感覚はなくて。DATSは昔から思わず体を動かしてしまうような曲、プリミティブな意味でのダンス・ミュージックを鳴らしてきたつもりで。今作においてもその考えは変わってないです。一貫してダンス・ミュージックを作ってる。けど、その上に乗っかるメロディや要素、生音やエレクトロニックな音の割合とか、そういう部分が常に変化しているだけだと思っています。
そんな中でも、やっぱり「これがDATSの音だよね」みたいなものをある程度具体的に定義付けする必要を感じて。そこで、去年自分たちが作りまくった曲の中から「これは“School”だね」「これは“School”じゃないね」って、みんなで仕分けしていく作業を経て、ようやくひとつ「これがDATSなんだ」っていうのを示せるようになったのかなと。
「もう新しいからイケてる、古いからダサいっていう世界ではない」
――そのお話を聞いて、「Dancing in the moonlight」をカバーしたのもすごく納得がいくというか。あのカバーは原曲のKing Harvestじゃなくて、完全にToploaderの方ですよね。チープな言い方ですけど青春感があるというか。
そうですね。Toploaderのボーカルがすごいロックな感じで、自分のボーカル・スタイルとも合うなと思ったんです。
――ちなみに、今作において一番最初にできた曲というと?
去年たくさん作った中から選んで仕上げていったという感じなので、ちょっと記憶が曖昧で……。でも、「September」や「Sunlight」はかなり最初の方にできていたと思います。逆に最後にできたのが「Lust」ですね。
――「Time Machine」の<so let me take you back to the late 1990s>(90年代後半に戻ろう)という一節には前作との繋がりを感じたので、最初の方にできた曲なのかなと思って。
自分たちの作業フロウ的に、毎回作詞が後になるので、曲として形になる順番と、作詞を行う順番も結構バラバラなんです。でも、この曲に限らず、今作の制作において前作との繋がりを意識していたかというと、そんなこともなく。単純に自分の90年代が好きっていう気持ちが表れているのかなって思いますね。
――「Time Machine」のリリックもそうですが、「Showtime」にも<新しいものが正義/なんて言う気もしない>という一節があります。アンチ・テクノロジーだったり、何事においても消費スピードの早い時代に対する抵抗のような考えは、最近芽生えてきた感情なのでしょうか。
「Time Machine」に関しては、コロナ禍になってより一層インターネットやSNSだったり、いわゆる近代のテクノロジーが欠かせないものになった。リモート・ワーク化が進む中で、みんなSNSを見る時間も長くなったと思いますし、iPhoneを手にする時間も増えたんじゃないかなって。それは当然のことだし、実際に自分もすごく助かってる。だけど、逆にこれらがなかった時代でこういう状況になっていたら、一体どうなっていたんだろうっていう考えが生まれてきて。湧いてきた好奇心から想像して書いた曲ですね。ある意味SFチックというか。
「Showtime」のリリックは、特に音楽において、最近では“新しい”“古い”っていう感覚があまり関係なくなってきたと思っていて。例えば、ちょっと前って、誰かが新譜を出したら「曲は良いけどサウンドは古いよね」みたいな感じで判断、評価されることもあったと思うんです。逆に「これはすごく新しい。イケてる」みたいな。でも、最近はもう新しいとか古いとか関係なく、創作している人がそれぞれ自分の信念に従って、やりたいことをやればいいっていうスタンスが広がってきていると感じていて。それはいち音楽リスナーとしての自分の肌感でもあって、それがDATSの作品にもちゃんと反映されていると思います。
――確かに。今作は目立つトピックがひとつふたつあるというわけではなく、エヴァーグリーンなポップ・ミュージック、ダンス・ミュージックが詰まった作品だなと思っていたので、今のお話もすごくしっくりきました。
Liam Gallagherとかの去年のライブ映像を観ていると、最前にめっちゃ若いオーディエンスもいて、すごい盛り上がってるんです。おそらく僕よりも若いであろう人たちが、「Wonderwall」(※)を合唱してたり。そういう景色も今僕が言ったことを如実に表しているような気がして。もう新しいからイケてる、古いからダサいっていう世界ではないなと。
※「Wonderwall」はOasisが1995年に発表した2ndアルバム『What’s the Story) Morning Glory?』に収録されている1曲
――DATSとして“School”という言葉を核に据え、制作を進めて行ったとのことですが、その際のリファレンスやイメージとして挙げられたアーティスト、バンド、作品などはありますか?
最近のバンドだったらTHE 1975だったり、2000年代だったらPhoenixなどですね。さらに遡るならJackson 5とか。なんというか、“アメリカのハイ・スクールでかかってそう”みたいな。そういうイメージですね。
――確かに90年代〜2000年代の青春映画というか、いわゆる“ミニ・シアター系”の映画でかかってそうな雰囲気を感じました。
まさにそうです。
――あと、これまでのDATSのサウンドには、個人的に地下のライブハウス/クラブで鳴っているイメージを抱いていて。今作では一転して外に出て、太陽の光が似合うような音になったと思うんです。そういった変化は意識されていますか?
前作はマッドチェスターだったり、90年代のクラブをイメージしていたので、確かにそういう雰囲気でしたよね。でも、個人的には〈UK.PROJECT〉時代のDATSにも陽光が似合うような曲があったと思っていて。今作で変わったというわけではなく、それも踏まえたDATSのこれまでの総括的な音を提示できたからなのかなって思いますね。もちろん、意図していたわけではないですけど。
〈UK.PROJECT〉在籍時代の楽曲「Candy gir」MV(2015年)
「めちゃくちゃ自分たちには合っている」――リモートでの制作環境
――では、先ほどもちらっとお話に出ましたが、今作のレコーディングのプロセスについてもお聞きしたいです。みなさん自宅にいながら、データを交換しつつ進めていったのでしょうか。
去年はみんなで集まる機会がいっぱいあったので、そこで土台みたいなものをたくさんつくりました。なので、今年に入ってから、実際のレコーディング作業に移行して。そこからはリモートで、データのやり取りだけですね。
――おそらくレコーディングのほぼ全ての工程をリモートで行ったのは初めてのことなんじゃないかと思います。いかがでしたか?
正直、めちゃくちゃ自分たちには合っていると思いました。従来の方法でのレコーディングよりもいい作品ができたという自負があります。
――「自分たちに合っている」と思った理由を、もう少し具体的にお聞きしてもいいですか?
プレイヤー的な側面からいうと、肩の力を抜いてリラックスした状態で演奏できるっていうのが大きいと思います。あと、僕もボーカルを録る時に感じていることで、プレイヤーの方は共感してくれると思うんですけど、事前に「家でこういう感じにしよう」と思ってレコーディング・スタジオに行っても、色々な環境が左右して、事前に思い描いていた音にならないことって往々にしてあって。今回のように自宅でリラックスした状態で録って、それを後からじっくりとブラッシュアップさせていく方が、自分たちの性分的にもしっくりきたんですよね。
――スタジオの時間的な制約もないですしね。
そうなんです。たっぷりと時間をかけられるし、お金もかからない(笑)。プレッシャーから開放された状態で作れるというのも大きいですね。
――なるほど。
あと、僕に関してはプロデューサ仕事とかもあるので、DATSに関してもある程度最終段階までは自分でコントロールしたいっていう気持ちもあって。それができた上で、最後にエンジニアさんにお渡しする。その方がクオリティが担保できるなって感じました。
――デメリットは特に感じませんでしたか? 例えば、直接顔を合わせていないからこそ、意思疎通や意見交換、もしくはディレクション的な指示が出しづらい、など。
確かにそれはあるかも知れないですね。でも、僕らの場合は何かあればすぐにメッセージのやり取りや電話でコミュニケーションを取るようにしていました。もちろん僕が指揮を執る部分もあるんですけど、基本的に自分たちの演奏力や感覚を把握しているつもりなので、そこもある程度想定しつつ動けました。なので、あまり苦労は感じなかったですね。
――あと、今作で気になったのはドラムの音色で。全編に渡ってエレクトロニックな音色、パッドや打ち込みの質感を感じました。これはレコーディング環境が影響しているのか、それとも作品のコンセプトに合わせた結果なのか。いかがでしょうか?
前作『オドラサレテル』と『Game Over』は生音で録っていたんですけど、それを経て、改めて生ドラムより打ち込みの音色の方がDATSらしいなと思うようになって。もちろん、(大井)一彌は同世代でも唯一無二のドラマーだと思っています。実際、生音でも録ろうと思えば録れたんですけど、今回はバンド全体としてのサウンドとして考えた結果、敢えて打ち込みでドラムを入れました。ただ、「September」や「Dancing in the moonlight」、「Birdman」などはスタジオで生ドラムでレコーディンした音源を、midiに変換してオーディオ解析して、そこにキックとかスネアとかを打ち込んで行ったので、グルーヴ的には生のドラムなんです。
――なるほど。
生身の人間が叩いてるグルーヴ感、ブレはありつつも、音色は打ち込みというかエレクトロニックな質感。自分たちとしても結構実験的な取り組みでしたね。
――個人的に、初めてお聞きした手法でした。
全然一般的な手法じゃないと思います。この話を今回のミックス・エンジニアの小森(雅仁)さんに説明したら、「そんなやり方あるんですね!」みたいな感じで驚かれていて(笑)。ただ、こういう発想が出てきたのも、自宅で全部やるっていう状況だったからだと思うんです。そういう意味でも、今回は本当におもしろい作品になったなとおもいますね。
――エンジニアさんのお話が出ましたが、前作のインタビュー時にもミックスへのこだわりを語られていた記憶があります。今作のミックス/マスタリングに関しては、どのようなオーダーをし、どのような仕上がりになったと感じていますか?
まず、なぜ小森さんにお願いしたのかっていうところなんですけど、一昨年くらいかな、水曜日のカンパネラのケンモチさん(Kenmochi Hidefumi)が『トラックメイカー飲み会』みたいなのを開かれていて。僕もそこに呼んでもらったんです。そしたら小袋(成彬)くんやVaVaくんなどに加えて小森さんもいて。確か小袋くんが小森さんを連れてきてくれたんだと思うんですけど、そこで紹介してもらいました。
その際に「自分が今の段階で理想のミックスだと思っている音源はJon Bellionの『The Human Condition』なんです」っていう話になって。まさに自分もそのアルバムは大好きだったので、“この人なら、自分があれこれ言わなくても自分の好きな音にしてくれるはず!”だって。いつか絶対にミックスをオファーさせてもらいたいなって思っていたんです。それが今回、やっと実現した形ですね。
なので、小森さんには、基本的には具体的なオーダーを出していません。ざっくりと、各曲に対して「この曲のこの感じでお願いします」とはお伝えして。例えば「September」だったらPost Maloneの「Circles」のように、インディ・ロック・スタイルだけど質感は今っぽい、みたいな。たぶんこの曲を普通にミックスすると、2010年代のインディ・ロックになってしまうと思ったので、ミックスで今っぽくアップデートしてもらいました。
――Jon Bellionの『The Human Condition』のミックスに対して、MONJOEさんが惹かれる部分とかって言語化できたりしますか?
ちょっと難しいですね……。僕はミックスに関しては素人なので、結構感覚で判断しているんですよね。「これが気持ちいい!」みたいな。小森さんに聞けばたぶん定位や立体感とか、奥行きとか、細かい話は聞けると思うんですが。
――では、小森さんのミックスに関して、返ってきたものに関してはいかがですか?
マジで最高でした。ある程度自分のコントロール下に置いていた素材が、めちゃくちゃブラッシュアップされて返ってくる喜びみたいなものを感じました。自分の想像通りというよりは、それ以上。そういうキャッチボールができたっていうのは、理想の制作の形だなと思います。
――先ほど少しリリックについても言及しましたが、曲調に引っ張られている部分も多いとはおもうのですが、今作のリリックからはとても穏やかな雰囲気を感じました。今までのDATSには、どこか刺激的な、攻撃的な言葉があったようにも思っていて。
実は、これまではあまりリリックに対して、意識することが多くなかったと思うんです。単純に音に対してのハマり方や語呂のよさだったり。そういう基準で作詞していたなって。でも、今作では自分の言葉で自分の経験や感情をリリックに昇華するっていうことができたなと感じています。これまでもトライしていたことではあるんですけど、ようやく形になったなという感覚がありますね。
本当に自分の日記というか、思ったこととか経験したこと、感じたことをそのままリリックにしているので、少し恥ずかしい気持ちもあるんですけど(笑)。でも、おっしゃったような雰囲気は、そうやって自分のことを曝け出したことが大きいんじゃないかなって思いますね。
――では、穏やかな雰囲気というのは、そのままMONJOEさんの精神状態ともリンクしているのでしょうか。
基本的には全曲、僕の精神状態や感情が表れていると思います。ただ、このコロナの期間でストレスや苛立ちがなかったかといえばそうでもないですね。ネガティブになったり、ストレスを感じることはもちろんあって。ただ、それも含めて感じたことだったり、こういう状況になったからこそ見えてくるようになったこともあって。例えば、過去の自分の些細な行いを、改めて「あれはよくなかったな」って振り返るようになったり。今まで全然連絡取ってなかった人にいきなり電話して謝るとか。たぶん、この期間にそういうことをした人も少なくないんじゃないかなって思うんです。
あと、現在進行形で世の中では色々なことが起こっていますよね。特にSNS上では運動だったりキャンペーンだったり、様々な情報や意見、感情が飛び交っている。そういうものが毎日目に入ってくると、良くも悪くも今まで自分のスタンスや考え方を見直したくなるというか。過去の行為、周りにいる人間との関係性とか。そういったStay Home期間での感情や考えがリリックになっていると思います。
――「Sunlight」の出だしの方のリリックには、まさしく今おっしゃっていたような内容が表れていますよね。<do you want the answers? / do you think I know?>(答えが欲しいですか?/私が知っていると思いますか?)
そうですね。
――とりわけTAWINGSのCony Planktonさんを迎えた「Your Home」は、とてもロマンチックで穏やかな1曲で印象的でした。MONJOEさんが歌ってないということも含め、サウンド的にもこれまでのファンも驚くのではないでしょうか。
「Your Home」は元々歌詞を書く前、音だけの土台ができ上がった時点で女性の声を入れたいなと思うようになって。実は今年のお正月に、DATSのメンバーで川崎大師に初詣に行ったんですよ。その帰りの車の中で、TAWINGSの「水仙」がカーステから流れてきて。めちゃくちゃよかったので、調べてみたら「え、日本人なの!」ってなって。そこで今回、お願いしたっていう感じですね。
――クレジットを見てびっくりしました。正直、最初は海外のシンガーをフィーチャーしたのかと思って。
めちゃくちゃいいですよね。名前も素晴らしいし(笑)。この曲も、ボーカル・データなどをやり取りする形で、リモートで進めました。
バンドとしての強みを再確認。「無駄なものにはこだわり続けていきたい」
――先日の配信ライブは今年初だったそうですね。今作の曲を実際に披露してみていかがでしたか?
やっぱりライブでやってみると、当たり前なんですけどすごいバンドらしくなるなと。改めて自分たちはバンドなんだっていうのを再認識しました。僕らはデジタルとアナログのハイブリッドを掲げて活動してきたバンドで、ある時期ではエレクトロニックな要素が強いイメージもあったと思うんです。ただ、音源が打ち込みでも、リモートで制作していても、集まって音を鳴らせばやっぱり4人それぞれの魅力が出て、個人のプレイが活きてくる。“バンドってこういう集合体だった”っていう感動みたいなものはありました。そして、こういう形態、こういう媒体だからこそ届けられるメッセージや感情もあるんだなって。
――なるほど。
それと、単純にメンバーに直接会えて嬉しかったですね。結構ストイックに外出自粛していたので(笑)。人に会えないっていうのは本当によくないなと。どんどん無駄なものが削ぎ落とされていく感じがする。社会的なレベルでも個人レベルでも、「直接行かなくていい」とか「この作業必要ないよね」っていう思考になると、もちろんすごく効率化が進んで便利になるとは思うんです。でも、一方では一見無駄と思える行為や工程の中で生まれていたであろう豊かさみたいなものが失われていく気もしていて。そういう意味で、知らず知らずのうちにストレスを溜め込んでいる人も多いんじゃないかなって思うんです。そして、そういう人たちの行き着く先がバンドであって欲しいなって改めて思いましたね。このタイミングでこの作品を出せたっていうことが僕たちにとってはすごく誇らしいことで。DATSにとってもひとつの大きなターニング・ポイントになると思います。
今年一発目のライブ、観てくれた人、ありがとうございましたー
集まって大きい音出して発信でこる喜びよ
バンドってなんでこんな幸せな気持ちになるんだろう
みんな、困ったらバンドだね! pic.twitter.com/uN2lxYEKas(https://t.co/uN2lxYEKas)
— MONJOE (@monjoe_) September 5, 2020(https://twitter.com/monjoe_/status/1302189020357648387?ref_src=twsrc%5Etfw)
――バンドって、“無駄なもの”が盛りだくさんですもんね。音楽制作において効率化を目指すとしたら、絶対にバンドは選択しない。
トラックメイカーとかラッパーが主流になっている昨今、改めてバンドの存在意義を考えるきっかけにもなったと思いますね。
――では、今後のDATSのお話についてもお聞きたしたいです。まだ簡単にはライブができる状況ではありませんが、DATSとしては今後どのような動きを予定していますか?
色々と難しい時期だなとは思っています。ライブができなくなって、その代替案みたいな形で配信ライブが行われるようになった。ただ、それがフレッシュだった時代ももう終わって、最近ではどこか当たり前になってきているようにも感じていて。「ライブ配信ってどんなもんなんだろう?」とか、“電子チケットを買って、配信を観る”行為そのものが新鮮だった時期はもう過ぎていて。みんな今はただ配信するだけじゃなくて、色々なアイディアや工夫をプラスしないとダメだって考えていると思うんです。
例えばWONKが3DCGでライブをやったり、Kaiくん(Kai Takahashi / LUCKEY TAPES)が自宅なのにすごい映像演出を入れて配信したり。何かひとつトピックがないと、中々厳しいなと。そんな状況で、DATSはどうするかっていう話もしてはいるんですけど、今の段階では配信ライブに対してあまり前向きではないですね。ファンの方には申し訳ないですが。ライブできないから配信で、っていう安易な形ではやる意味がないかなと。その代わりに音源制作を進めたり、もしくは何か違う形での配信ができないかなど、色々と考えているところです。
――来場数を絞っての有観客ライブも徐々に行われるようになってきていますが、その予定も特にない?
最大限注意を払っても、もし感染者やクラスターが発生してしまったら、ということを考えると、どうしても気が進まないんです。今のところは考えられないですね。
――では、長くなるとは思いますが、このコロナ禍が収束したとして、真っ先にやりたいこととして挙げるのはライブですか?
間違いなくそうですね。コロナが収束したら、真っ先に思いっきり密な環境でライブしたいです。でも、同時にライブがこの先一生できないかもしれない未来も、大袈裟かもしれないけどある程度は覚悟していて。可能性は低いと思うけど、そういったケースも頭に入れた状態で動いた方がいい気がしているんです。
――ライブができなくなる未来を想像した場合、音楽そのものの在り方も変わってきそうですね。
今まで普通にやってきたことが普通じゃなくなる。音楽業界、音楽ビジネスそのものの形態も変わりますよね。そうなると、今でもストリーミングで再生数を増やしたり、リスナーを獲得する、プレイリスト・ピッチングされるためのノウハウがシェアされたりしていますけど、それがもっと加速する。そうなってくると、マーケティングやPRも変化すると思いますが、作り手にも影響していくと思っていて。
――最近ではイントロを短くして、頭にフックを置いたり。ストリーミングに適した曲の構造も分析、共有されていますよね。
それがもっと進むと、本当にただのバズ合戦みたいになると思うですよ。バズった者が勝ち、みたいな。
――さっきの話にも通じますが、そうやって無駄なものが省かれていくと、寂しいというかつまらないですよね。
だからこそ、意地じゃないですけど、無駄なものにはこだわり続けていきたいですね。
――ライブはまだまだということでしたが、制作面では何か新しい方向などが見えていますか?
作り溜めている曲の断片は結構あるんですけど、今作以降に作ったものはまだないですね。でも、そろそろまた手を動かさないとなとは思っています。音源のリリースはコロナ禍の影響を受けないので、そこは力を入れていきたいです。
基本的には今回見いだせた“School”っていうキーワードを軸にしていくと思いますが、その上で、コンセプトやアイディアといった上モノはどんどん変化させていきたいです。ようやく今のメンバーになって、体制がちゃんと落ち着いてきたなとも思うので。
――MONJOEさんは7月に1stソロ・シングル「Stunning Misshapes feat. Garden City Movement」もリリースしました。こちらの動きは?
ぶっちゃけ何も考えてないですね(笑)。元々、自分のトラックメイカー/プロデューサー的側面の認知を広げていきたいっていう考えからソロ作品を作っていて。今回、ようやくリリースに至ったのは、自分がファンだったGarden City Movementに、来日時にコンタクトを取ったら本当にコラボが実現して。それがやっと完成したから出したっていうだけで、全然プランなどは練っていないんです。またいい曲ができたら、どこかのタイミングで出したいですね。
MONJOE
【リリース情報】

DATS 『School』

Release Date:2020.09.25 (Fri.)
Label:Sony Music Labels Inc.
Tracklist:
01. Time Machine
02. Lust
03. Dancing in the moonlight
04. Showtime
05. Your Home
06. September
07. Birdman
08. Sunlight
■ DATS オフィシャル・サイト(http://www.datstheband.com)

アーティスト

Spincoaster

『心が震える音楽との出逢いを』独自に厳選した国内外の新鋭MUSICを紹介。音楽ニュース、ここでしか読めないミュージシャンの音楽的ルーツやインタビュー、イベントのレポートも掲載。

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