INORAN、アルバム
『Libertine Dreams』の
全曲試聴動画をYouTubeにて公開
LUNA SEAのギタリストでもあるINORANが、9月30日(水)にリリースするアルバム『Libertine Dreams』の全曲試聴動画をYouTubeにて公開した。
前作『2019』から約1年振りの本作は、彼がひとりで作曲&アレンジ、ギターやベースなどの楽器演奏、リズムトラックのプログラミングを行い、よりセルフ・プロデュース色の濃い作品となった。
『Libertine Dreams』の詳細が明らかになる中で、制作アプローチが従来のバンド・スタイルと異なることに、当初は少し驚かされた。しかし、本来INORANは曲や作品に明確なイメージを持ち、それをしっかり具現化するミュージシャンである。
この新作を含め、これまでにリリースされた13枚のオリジナル・アルバムは、どれも画然とした彼のビジョンが反映されていた。そう考えると、今回の制作スタイルも、決して奇をてらったものではないことが理解できる。
リリースに合わせてティーザー映像が公開されたリードトラック、「Don’t Bring Me Down」でも顕著であるが、本作は曲のビート、ハーモニー、音使いを含め、ロックやギターというカテゴリーに縛られず、ヒップホップ、ジャズ、アンビエント、エレクトロニカ、EDMなど、よりダンサブルな要素を巧みにブレンドしている。
このロックとダンス・ミュージックの垣根を超えたボーダーレスなアレンジは、本作に強い個性を生み出している。こういった音のイメージは、彼が過去に1stアルバム『想』、6thアルバム『Shadow』という、ダンス音楽のグルーヴを深く掘り下げた作品を発表し、そこで確かな手応えを掴んだことに起因するかもしれない。
『Libertine Dreams』は、コントラストの効いた3つのパートに分かれている。
M-1「Don’t Bring Me Down」、M-2「Soul Ain’t For Sale」、M-3「Libertine Dreams」に宿る今のINORANらしいロックさ、M-4「Purpose」、M-5「Missing Piece」、M-6「Soundscapes」、M-7「‘75」のダンサブルなビートを主体としたアプローチ、M-8「Kingdom Come」、M-9「Shaking Trees」、M-10「Dirty World」という、色彩豊かでエモーショナルな展開である。
序盤の「Don’t Bring Me Down」、「Soul Ain’t For Sale」、「Libertine Dreams」は、前作『2019』から地続きに繋がるような、彼の現在進行形なロック・サウンドを宿している。そこに、ビートやエフェクトのアプローチを変化させ、踊りたくなる軽快なノリが加わることで、“ロック・リフが持つ熱量”と“ダンス・ミュージックの高揚感”が、ターンテーブルのフェーダーを切り替えるように、絶妙なタイミングで組み代わっていく。
中盤の「Purpose」、「Missing Piece」、「Soundscapes」、「‘75」では、ジャジーなヒップホップ、都会的なエレクトリック・ハウス、エッジの効いたトランス、きらびやかなアンビエント要素が全面に押し出されている。
「Purpose」と「‘75」はヒップホップやアンビエントに傾倒した『想』、「Missing Piece」と「Soundscapes」はモダンなハウスやトランスの影響を描き出した『Shadow』のニュアンスを感じ、実にダンサブルな仕上がりだ。特に、「Purpose」はINORANらしいメロディセンスとハーモニーが冴え渡る佳曲であるし、「Missing Piece」は『True』期のアヴィーチー、「Soundscapes」は『Random Access Memories』期のダフト・パンクといった、ダンス・ミュージックの偉大なレジェンドに対する、彼の熱いリスペクトを感じさせる。
終盤の「Kingdom Come」、「Shaking Trees」、「Dirty World」は、ライブでも非常に盛り上がりそうな、ドラマティックで力強い曲たちだ。
繰り返し聴く中で思ったが、本作のリズムトラックは、微妙なズレを“味”と捉えた、人間的なグルーヴに重きを置きプログラミングされ、その効果が活きたこの3曲の躍動感とストーリー性は、間違いなくハイライトのひとつである。
INORANのボーカルは、どのナンバーもその表現力を増しているが、「Shaking Trees」はそれが極まった曲。このピークを越えて、ラストに渾身のロックナンバー「Dirty World」を持ってくるのも、実に彼らしい終わり方だ。
かつて、INORANは「どんな時も決して止まりたくない。その先に続く景色に、いつもワクワクさせられるから」と筆者に語ってくれた。
だからこそ、彼は現在も続くコロナ渦の中で最善を尽くし、この制作スタイルで『Libertine Dreams』を完成させたのだろう。そう考えると、アルバム・タイトル“Libertine Dreams=自由な夢”は本作のメッセージ性、INORANの音楽に対する飽くなき情熱がとてもよく伝わるワードである。
本作の力強い楽曲がより多くの人々に届き、そして、いつの日かライブで最高の形で演奏される日を、今心から強く願ってやまない…。
Text by 細江高広
前作『2019』から約1年振りの本作は、彼がひとりで作曲&アレンジ、ギターやベースなどの楽器演奏、リズムトラックのプログラミングを行い、よりセルフ・プロデュース色の濃い作品となった。
『Libertine Dreams』の詳細が明らかになる中で、制作アプローチが従来のバンド・スタイルと異なることに、当初は少し驚かされた。しかし、本来INORANは曲や作品に明確なイメージを持ち、それをしっかり具現化するミュージシャンである。
この新作を含め、これまでにリリースされた13枚のオリジナル・アルバムは、どれも画然とした彼のビジョンが反映されていた。そう考えると、今回の制作スタイルも、決して奇をてらったものではないことが理解できる。
リリースに合わせてティーザー映像が公開されたリードトラック、「Don’t Bring Me Down」でも顕著であるが、本作は曲のビート、ハーモニー、音使いを含め、ロックやギターというカテゴリーに縛られず、ヒップホップ、ジャズ、アンビエント、エレクトロニカ、EDMなど、よりダンサブルな要素を巧みにブレンドしている。
このロックとダンス・ミュージックの垣根を超えたボーダーレスなアレンジは、本作に強い個性を生み出している。こういった音のイメージは、彼が過去に1stアルバム『想』、6thアルバム『Shadow』という、ダンス音楽のグルーヴを深く掘り下げた作品を発表し、そこで確かな手応えを掴んだことに起因するかもしれない。
『Libertine Dreams』は、コントラストの効いた3つのパートに分かれている。
M-1「Don’t Bring Me Down」、M-2「Soul Ain’t For Sale」、M-3「Libertine Dreams」に宿る今のINORANらしいロックさ、M-4「Purpose」、M-5「Missing Piece」、M-6「Soundscapes」、M-7「‘75」のダンサブルなビートを主体としたアプローチ、M-8「Kingdom Come」、M-9「Shaking Trees」、M-10「Dirty World」という、色彩豊かでエモーショナルな展開である。
序盤の「Don’t Bring Me Down」、「Soul Ain’t For Sale」、「Libertine Dreams」は、前作『2019』から地続きに繋がるような、彼の現在進行形なロック・サウンドを宿している。そこに、ビートやエフェクトのアプローチを変化させ、踊りたくなる軽快なノリが加わることで、“ロック・リフが持つ熱量”と“ダンス・ミュージックの高揚感”が、ターンテーブルのフェーダーを切り替えるように、絶妙なタイミングで組み代わっていく。
中盤の「Purpose」、「Missing Piece」、「Soundscapes」、「‘75」では、ジャジーなヒップホップ、都会的なエレクトリック・ハウス、エッジの効いたトランス、きらびやかなアンビエント要素が全面に押し出されている。
「Purpose」と「‘75」はヒップホップやアンビエントに傾倒した『想』、「Missing Piece」と「Soundscapes」はモダンなハウスやトランスの影響を描き出した『Shadow』のニュアンスを感じ、実にダンサブルな仕上がりだ。特に、「Purpose」はINORANらしいメロディセンスとハーモニーが冴え渡る佳曲であるし、「Missing Piece」は『True』期のアヴィーチー、「Soundscapes」は『Random Access Memories』期のダフト・パンクといった、ダンス・ミュージックの偉大なレジェンドに対する、彼の熱いリスペクトを感じさせる。
終盤の「Kingdom Come」、「Shaking Trees」、「Dirty World」は、ライブでも非常に盛り上がりそうな、ドラマティックで力強い曲たちだ。
繰り返し聴く中で思ったが、本作のリズムトラックは、微妙なズレを“味”と捉えた、人間的なグルーヴに重きを置きプログラミングされ、その効果が活きたこの3曲の躍動感とストーリー性は、間違いなくハイライトのひとつである。
INORANのボーカルは、どのナンバーもその表現力を増しているが、「Shaking Trees」はそれが極まった曲。このピークを越えて、ラストに渾身のロックナンバー「Dirty World」を持ってくるのも、実に彼らしい終わり方だ。
かつて、INORANは「どんな時も決して止まりたくない。その先に続く景色に、いつもワクワクさせられるから」と筆者に語ってくれた。
だからこそ、彼は現在も続くコロナ渦の中で最善を尽くし、この制作スタイルで『Libertine Dreams』を完成させたのだろう。そう考えると、アルバム・タイトル“Libertine Dreams=自由な夢”は本作のメッセージ性、INORANの音楽に対する飽くなき情熱がとてもよく伝わるワードである。
本作の力強い楽曲がより多くの人々に届き、そして、いつの日かライブで最高の形で演奏される日を、今心から強く願ってやまない…。
Text by 細江高広
『Libertine Dreams』
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