【動画あり】ミュージカル『ビリー・
エリオット』がいよいよ開幕へ! 劇
中5シーンを披露したプレスコール&
記者会見レポート

ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』がいよいよ幕を開ける。本来7月に初日を迎える予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大や緊急事態宣言が出されたため、7・8月の公演を中止。万全の予防策を講じた上で、9月16日(水)に東京公演初日を予定している。
応募総数1511名の中から、約1年間にわたる厳しいオーディションを経て、日本版2代目ビリー役に選ばれたのは川口調、利田太一、中村海琉、渡部出日寿の4人。オープニング公演(9月11日〜14日)はすでに始まっており、14日には報道陣向けにシーンを公開するプレスコールが行われた。その様子を動画と写真とともに速報したい。

ミュージカル『ビリー・エリオット〜リトル・ダンサー〜』プレスコール 2020.09.14

この日、披露されたのは劇中の5つのシーンだ。
最初に披露されたのは、本作のオープニングを飾る「The Stars Look Down(星は見ている)」。ビリーは中村海琉が演じた。また、お父さんは橋本さとし、トニーは中井智彦が演じた。中村海琉は冒頭から透明感のある歌声でグッと観客の注目を集めた。
ミュージカル『ビリー・エリオット』プレスコールの様子
ミュージカル『ビリー・エリオット』プレスコールの様子
続いては「Shine(シャイン)」。父親の勧めでボクシング教室に通っていたビリーが帰ろうとすると、突然同じ場所でバレエレッスンが始まる。ウィルキンソン先生から「あなたも踊ってみないか」と誘われるシーンだ。いわば、ビリーとバレエが出会う象徴的な場面で、ビリーは中村海琉、ウィルキンソン先生は安蘭けいが演じた。
羽を使った華やかなダンス。力いっぱい踊るバレエガールズたちに囲まれ、ドヤ顔で踊るウィルキンソン先生。そのカリスマ性がありながら、だけれど所詮は田舎のバレエの先生という役柄。安蘭けいは再演からの参加だが、わずか1シーンだけでも、はまり役だと確信した。
ミュージカル『ビリー・エリオット』プレスコールの様子
ミュージカル『ビリー・エリオット』プレスコールの様子
3つ目は、利田太一のビリーと佐野航太郎のマイケルによる「Expressing Yourself(自己表現)」。バレエを続けるべきか悩むビリーに、親友のマイケルが「自分を出して何が悪いんだ、好きなことをして何が悪いんだ」と彼なりのアドバイスをするシーンだ。
本作の中でも飛び抜けて明るく楽しい場面。利田ビリーと佐野マイケルは息ぴったりに巧みなタップダンスを披露し、観客を沸かせた。
ミュージカル『ビリー・エリオット』プレスコールの様子
ミュージカル『ビリー・エリオット』プレスコールの様子

4つ目は、「Angry Dance(怒りのダンス)」。ビリーを演じたのは川口調、お父さんは益岡徹、マイケルは菊田歩夢がそれぞれ演じた。
原作映画の中では、ジェイミー・ビルが演じるビリーが怒りにまかせて、ザ・ジャムの「悪意という名の街」という曲に合わせて踊る。父親にオーディションを受けることを禁じられたビリーがその怒りを爆発させる場面で、初演をご覧になった方なら、印象に残っている人も多いだろう。川口ビリーは全身からエネルギーを放出し、激しいタップで魅せた。
ミュージカル『ビリー・エリオット』プレスコールの様子
ミュージカル『ビリー・エリオット』プレスコールの様子
最後は、『ビリー・エリオット』を代表する1曲といっても過言ではないナンバー「Solidarity(一致団結)」。ビリー がバレエレッスンに通い、徐々に上達する様子を描きながら、同時に警官と炭鉱夫たちの衝突が繰り広げられる様子を練られた構成で見せる。
渡部出日寿がビリーを演じ、ウィルキンソン先生として柚希礼音が登場。もともとバレエを習っていた渡部ビリーのピルエットは非常に完成度が高く、美しかった。
ミュージカル『ビリー・エリオット』プレスコールの様子
ミュージカル『ビリー・エリオット』プレスコールの様子

中村海琉、渡部出日寿(前列左から)、柚希礼音、安蘭けい(後列左から)

つづいて、質疑応答が行われた。
――すでにオープニング公演は始まっていますが、いよいよ本番です。いまの気持ちと、どんなビリーを演じたいかを教えてください。
 
川口調:うれしいです。自粛期間中に、もしかしたら公演ができないかもしれないと言われた時は、どんな形でもいいから、公演をしてほしいなという気持ちでした。(上演が決まって)客席数は半分なんですけど、こうやってお客さんが入っているということが本当に嬉しいです。これからはやっぱり自分の特技が演技なので、見にきてくださったお客さんたちに、ビリーが今どういう気持ちなのか、相手にどうしてほしいかが伝わるビリーを目指したいです。
 
利田太一:コロナの期間で、公演の回数が少なっちゃったけど、少しでも公演ができることを嬉しく思います。本番やっているときに、楽しくやっているときが、お客さんに分かるようになればいいと思います。
 
中村海琉:僕は本当に(公演が)できたことがすごく嬉しくて。自粛期間中に、できる/できないは自分では決められないから、とにかく練習をして、できることを祈るだけだったので、できたことが嬉しいです。僕はタップダンスが得意なので、お客様にタップで楽しんでいるところとか、感情を出せるところとかを見てもらったらいいなと思います。
 
渡部出日寿:僕もみんなと一緒で、公演回数が減ってしまったけど、公演ができることがとても嬉しいです。僕は、ビリーの心の移り変わりをしっかり表現できるように頑張りたいです。
川口調、利田太一(前列左から)、橋本さとし、益岡徹(後列左から)
――大人キャストのみなさんに伺います。益岡さんと柚希さんは初演からどうパワーアップしたか、橋本さんと安蘭さんは再演からのご出演ですが、この作品の見所を教えてください。
 
益岡徹:前回2017年に初めてミュージカルに参加したんですけど、今年再演するということで、また出させてもらって。(当初の予定よりコロナ禍の影響で)期間が順延しましたが、それを実現した皆さんの関係した方々の努力を存じ上げているので、本当に頭が下がる思いです。
3年前のかつての自慢の息子たち、その思い出の上に、新たな息子たちが加わって。コミュニティのかつての信頼できる仲間たちに、新たな力が加わりました。信用できる仲間たちと一緒にこれから11月まで、宝物のような時間を舞台に立って過ごせることが、とてもかけがえのない、忘れられない時間になるだろうなと思っています。
 
柚希礼音:私も2017年ぶりに『ビリー・エリオット』に関われることが本当に幸せだなと感じております。初演の時は、毎日毎日が幸せで、袖から見て、毎日毎日感動しておりましたが、今回もまた新たなメンバー、最高のメンバーが集まって、それに参加できるのが幸せです。自分自身も3年間変わったところもありますが、何かを変えたいと思っているところはなく、より深く丁寧にウィルキンソン先生を追求していこうと思います。毎回新鮮に、そして、こんな世の中のなか、いらしてくださるお客様に感謝の気持ちを持って、演じたいと思います。最後までよろしくお願いします。
川口調
橋本さとし:こうしてプレスコールさせていただくこと自体も本当に奇跡のような気持ちです。初演の時に、客席でこの作品を見せていただきまして、見所というか全てのシーンが本当に名シーンでして。何回号泣したかなというぐらい泣きました。その時はまさか自分が出るとは思わないで、手放しで、ただひたすらに感動して、最高の作品やなと思っていたんですけど、自分がそう感じられた作品に参加できたことが、本当に、夢のようというか。
 
初日も無事に迎えることができまして、無我夢中というんですか。我を忘れるぐらい、夢の中にいるような気持ちで。楽しく、感動しながら、やはり本番を迎えるにあたって、いろんな方へのご尽力があって、感謝という気持ちも大事にしながら演じさせていただきました。これから先もまだまだ油断せずに、毎回、僕らも感動しつつ、『ビリー・エリオット』にしたいなと思っております。どうぞよろしくお願いします!
 
安蘭けい:私は再演で参加させていただくんですけど、私も初演をみたときに本当に感動して。もし自分がチャンスがあるならば、再演に出演させてもらえないかなと思っていたんですけど、その夢がビリーのように叶いまして、こうして舞台に立っております。本当に毎日毎日幸せです。
 
公演日数が半分になってしまいましたが、その半分、こうやってできることが奇跡だと思うし、1回1回大切に演じたいと思っております。この『ビリー・エリオット』の見所は、全部なんですよ!とにかく全てで、一つということで絞れないんですけど、あえて言うなら、私は一番最後のビリーがロンドンに行って、炭坑夫の人たちが見送るシーンが好きです。炭鉱夫の人たちが下に、ビリーがロンドンへ上がっていくという対比。その場面に向かって、この作品は進んでいると思うんですけど、そこが私は一番好きですね。何ならウィルキンソン先生も炭鉱夫として出たいぐらいです(笑)。本当に素晴らしい。その過程ももちろん見ていただきたいなと思います。
中村海琉
――ビリーの皆さん。1500人以上の候補者の中から選ばれたときの気持ちを聞かせてください。
川口調:まさか自分が1500人の中から選ばれた4人に入るなんて、最初は思ってもいなかった。選ばれてから日にちが経つにつれて、自分は選ばれし者なんだなという気持ちになりました(笑)。
 
利田太一:僕は選ばれたことにすごく驚いているし、嬉しいです。受かった時に、受かったかな~受からなかったかな~というのが解決できなかったから、受かった時にすごくほっとしました。前回2017年の時もオーディションを受けたんですけど、その時は落ちてしまったので、2020年に合格できて、嬉しいです。
 
中村海琉:僕も1500人の中で受かった時には、すごい驚いて。前回のビリーを見た時に、すごいなぁという気持ちが強くて、あんなになれたら楽しいだろうなぁと思っていたんですけど、まさか今ここでビリー・エリオット役をできていることが本当に嬉しくて。驚きました。太一くんと同じで、結果発表の時にすごく緊張して、心臓がどくどくしていたのが記憶に残っています。結果を聞いた時は喜びが抑えられなくなりました。
 
渡部出日寿:まさか自分が受かるとは思っていなかったので、驚きました。オーディションで受かったか受からなかったか、頭の中がモヤモヤしていたので、受かったと聞いてすごくスッキリしました。
渡部出日寿
――レッスン中に一番大変だったことは?
川口調:ビリーのオーディションを受けて残った人の中で、唯一、関西からの応募でした。東京の候補の子たちと離れた場所で、バレエやタップ、器械体操のレッスンをやっていました。1ヶ月に1回ぐらいみんなで東京に集まる日があったんですけど、そのときに、みんなのレッスンのハードルが高くて。そこがちょっと苦しかったというか、大丈夫なのかなって思ったんですけど、離れている分、周りの子に気を取られず、自分のことに集中できました。もっと頑張ろうという気持ちになって、やる気を上げることにつなげました。
 
利田太一:ダンスのレッスンが最初の頃はきつかったんですけど、だんだんやっていくにつれて、体力があがっていって。本番に入ったら、ダンスも力をちょっとだけ残してできるようになったので、レッスン中に頑張って良かったと思いました。
 
中村海琉:僕はバレエの基礎が最初はできなくて。手先を伸ばしたりとか、爪先を意識とかが僕自身では大変でした。でも、日にちが経つにつれて、ちょっとずつ昔より手先とかつま先も伸びるようになってきたので、そこが大変だったところです。
 
渡部出日寿:僕はバレエはやっていたんですけど、タップダンスやジャズダンスはやってきてなかったので、慣れるまでがちょっと大変でした。
利田太一
――コロナ禍で、舞台の中止や延期が相次ぎました。本公演も緊急事態宣言で稽古が2ヶ月中断し、東京公演は前半73公演が中止となりました。舞台役者としての気持ちの切り替えや、舞台役者としてどういう思いだったのか、教えてください。
 
益岡徹:世界中で、ほとんどの舞台が中止になりました。人を大勢集めて公演を行うことが、「不要不急」という言葉の中に入れられて、非常に悔しい思いをした時期もありました。ただ、こうやってまた一歩踏み出せることは、この舞台のテーマの1つでもある、希望を語ることと重なる感じがしますし、そもそも舞台や演劇はそういうものを担うものだと信じています。これからもそうであってほしいし、そういった業界や世界が、現実世界の中では脆いものだと自覚したものもあるけれど、そうではないんだというみなさんからの力も感じていますし、僕自身もそういう気持ちになっています。
 
橋本さとし:私自身も春先に舞台が途中で終わってしまうという経験をしました。いままでの役者人生ではそういうことは本当になかったことで、一生懸命稽古をして、とにかくお客様に感動していただきたい、楽しんでいただきたいという一心で積み上げてきたものが未知の状況によってスパッと切られてしまう時のやり場のない気持ちを経験しました。当時は状況というのが把握できないまま、ただ中止になったわけですけれども、時を経て、なんとか努力すれば、みなさん協力し合えば、エンターテイメントをお客様にお届けできるという状況になった。やればできるというか。
 
まだ油断はできないと思いますが、その状況の中でも、僕たちはエンターテイメントの力を信じています。僕らは人々のお腹を満たすことはできないけれど、心を満たすことはできると思うので、ぜひお客さんも僕たちも協力しあって、エンターテイメントをずっと続けていくんだと決意を新たに。『ビリー・エリオット』という作品でまたスタートできたのは、僕の役者人生の中で宝物のような瞬間です。皆さんと一緒にその宝物を分かち合いたいなと思っています。
橋本さとし
益岡徹
柚希礼音:4月に私も舞台が止まったときは、あの時は世界中が大変でしたので、人間の命と健康あってこそとは思いました。なので納得し、自分の今足りないところを勉強しようと思い、過ごしておりました。今ようやく公演ができることは、本当に感謝なんですけども、明日はなにが起こるかということで、より今、ひと公演がひと公演がどれだけ大切かを感じながら、演じております。こういう世の中だからこそ、お客様の心を満たす、明日への活力となるような舞台ができたらと思っております。
安蘭けい:ただひたすら願うしかなかったですね。絶対こういう空間で演劇を見たいという思いは絶対消えないと思っていたし、いつかはできると思っていたんですけども。ニューヨークのブロードウェイは1年間公演をやらないと決めていたし、日本もそれに倣ってするのかな。再開するとしても来年だったりするのかな。ビリーの初日の幕は開かないかもしれないなという不安を持ちながら、実際はやっていたところがあるんですけど、いまでもこうして舞台に立てていることが奇跡に思っていて。
 
ちえ(※柚希礼音のこと)が言った通り、明日なくなるかもしれないという危機感は持ちながら、万全を期して、(舞台に)立ちたいんです。でも、立ちたいという思いだけではできないので、演劇の灯は絶やさないぞという思いで過ごしています。私もコロナ中は自粛しながら、配信の舞台みたり、生配信の落語みたり、少しでもエンターテイメントに関わっていたいなと思っていたんですけど、それはそれで楽しいんですけど、やっぱりこの空間、役者とともに劇場に入ることが、私は好き。みなさんももちろん好きだと思うし。その思いだけは忘れないでいたいなと思います。
安蘭けい
柚希礼音

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