GOOD4NOTHINGとDizzy Sunfistが世代
を越えて叫んだ願い『MORNING RIVER
SUMMIT 2020』初日ライブレポート

『MORNING RIVER SUMMIT 2020』2020.9.04(FRI) 大阪城音楽堂
9月4日(金)、大阪・大阪城音楽堂で『MORNING RIVER SUMMIT 2020』が開催された。本イベントは2008年から開催され、注目のアーティストが数多く出演する恒例イベントとして注目を集めてきた。今年は2マンライブを含む、初の3DAYSで開催されることに。
『MORNING RIVER SUMMIT 2020』
『MORNING RIVER SUMMIT 2020』
初日は『-Melodic Punk is not Dead!!-』と称し、GOOD4NOTHINGDizzy Sunfistによる2マンライブを展開。感染症対策も実施され、入場者数は例年の50%と制限はあるものの、野外でのライブを存分に楽しもうと、会場には平日ながら多くの観客が集まった。
GOOD4NOTHING
トップバッターは大阪出身「堺のオッサン達」ことGOOD4NOTHINGだ。お馴染みの出囃子「河内のオッサンの唄」が鳴るなか、メンバーが登場。いつもなら<オッサンの唄~>と観客も一緒に歌うところだが、観客は感染症対策で声を出して歌ったり、声援を送ることができない……。が、ここは関西バンドの笑いのセンスで客席にツッコミを入れ、空気を和ませると「やりますか! 大阪!」と、「Cause You’ re Alive」からフルテンションでライブスタート!
GOOD4NOTHING
1曲目から大合唱マストなエモーショナルなナンバーをセレクトしてくるものだから、観客はみなダンス&ステップ&ハンズアップで音に応えていく。「久しぶりやな! エェ顔して帰ってくれよ!」、ご機嫌な顔でさらにスピードアップして突き進む3人。SUNE(Dr)のドカドカ鳴り響くドラムが楽しくて、観客の前で久々のライブに満面の笑みを浮かべるメンバーの表情が堪らなくて、「THIS SONG’ S TO MY FRIEND」がまたまた今の気分に最高にドンピシャで。スタート早々から表情筋は緩みっぱなしだ。
MAKKIN((Ba.Vo/GOOD4NOTHING)
「あー、気持ち良いーー!」と堪らず声を上げるMAKKIN(Ba.Vo)。コロナ禍での自粛期間、多くのバンドマンが満足いくライブ活動ができない期間を過ごしてきたが、それはGOOD4NOTHINGも同じこと。しかも結成から今年で23周年、メンバーチェンジを経ても活動を止めることなく走り続けてきた彼らにとって、半年間もライブができなかったのは初めてのことだという。ライブに生きてきた彼らにとっては言葉通り、「LIVE=生きる」のと同じ。「半年間、ちゃんと生きてきた証を全部見せていくんで!」と、「NEW STORY」からまたもギアを高めに入れたステージを展開していく。
U-tan(Vo.Gt/GOOD4NOTHING)
「みんな緊張してて、慣れない環境やろうけど、小さな針穴でもそこから光が入ってくるから!」と、新曲「STOMPING STEP」も披露。U-tan(Vo.Gt)の駆け抜けるギター、「次はどんな音鳴るん?」と思わせてくれるドキドキや期待、高揚感を得る爽快なパンクロックサウンドが気持ち良い。
体を気持ちよく揺さぶるロックアンセムが次々に投下されるなか、SUNEの和みまくりトークに、MAKKINのまさかのハゲ疑惑など、笑いまくりのMCとライブとのギャップも相変わらず。
SUNE(Dr/GOOD4NOTHING)
存分に笑ったあと、ライブ後半は「Someday」から。コロナ禍で作られた新曲は「また戻ってきますように」と、コロナの終息(MAKKINのハゲ進行ストップも!?)への願いを込めたもので、MVはファンから集められた写真を構成して作られている。これからの彼らのライブでひとつのキーになりえるだろう、高みへと昇る開放感たっぷりのナンバーに観客は大きく手を掲げて音に応える。
GOOD4NOTHING
「Start It Today」や「It’ s My Paradise」と、その後の選曲も彼らのライブに欠かせないものばかりで、ライブの勢いは留まることを知らずに突き進んでいく。「またライブハウスで会おうや! おおきに!」、いつもと変わらない言葉がやけに胸に沁みるパフォーマンスで全15曲を駆け抜けていった。
Dizzy Sunfist
「夢は死なへん」タオルが掲げられるなか、ビッカビカに輝く照明に導かれて登場したのは、これまた堺発のメロディックパンクバンド・Dizzy Sunfistだ。1曲目「Brand New Page」からエンジン全開、moAi(Dr.Cho)のダイナミックなドラミングが早々に鼓動を打ち、観客はモッシュ&ダイブの代わりに軽快なステップでライブを満喫。「行こうぜ!」、あやぺた(Vo.Gt)が声高々に叫び「Life Is A Suspense」へ。スリリングなあやぺたのギターに、いやま(Ba.Cho)の攻撃的なリズムが絡み、よりドラマチックに展開していく。しかもそれが高速チューンで突き進むものだから、次から次に変わる展開についていくのが大変だ。
あやぺた(Vo.Gt/Dizzy Sunfist)
Dizzy Sunfistは昨年9月にあやぺたの結婚&妊娠によりライブ活動を休止し、制作活動へ入っていた。今年8月、大阪でのライブでようやくライブ活動を再開したばかりということもあり、メンバーのライブへの欲はうずきまくっているのだろう。おかんロッカーになっても変わらず真っピンクのロングヘアーを振り乱すあやぺたは勢いをつけすぎて、1曲目から弦をブチ切ってしまったことを告白。それでも「ライブハウスにおかえりーー!!」と満面の笑みで叫びをあげる。久しぶりの野外ライブ、勢いは留まることを知らず「野外のライブハウス、最高すぎて飛ぶぞ!?」と『相席食堂』の長州力の名言が飛び出すほどだ(笑)。
いやま(Ba.Cho/Dizzy Sunfist)
「ライブハウスの自由は奪われたけど、音楽の自由は奪われないと信じて! ロックの自由は奪われないと信じて!」(あやぺた)と、新曲を披露。良い意味でゴチャゴチャしてて自由に溢れたあの空気、ライブハウスの魅力を全部詰め込んだようなパンクロックサウンドは無条件に心をときめかせてくれる。
moAi(Dr.Cho/Dizzy Sunfist)
さらに「STRONGER」「Joking」と強靭なライブアンセムをぶっ続け、バンドの変わらぬタフさを見せつける。「SHOOTING STAR」での高速ビートに乗っかる、あやぺたのハイなボーカルが脳内を引っ掻き回すこの快感も久々で、観客はみな手を高く掲げ、おかわりを求める。
10月から東京を皮切りに、ツアーをスタートさせる彼女たち。「大好きなライブハウスで会いましょう」と、このステージで体感した楽しさがきっとまた味わえるんだろうなと予感してしまう「Wondderful Song」でステージ後半へと進む。
Dizzy Sunfist
「Summer Never Ends」「Tonight, Tonight, Tonight」と、普段はストイックな表情を見せるいやまも、久しぶりの野外ライブに恍惚の表情を見せつつタフなリズムで観客を揺さぶっていく。あやぺたのハイな歌声は益々拍車がかかり、野外の会場をどこまでも突き抜けていく。
ステージも終盤。「ライブハウスに遊びに来ることを選んでくれてありがとう。コロナの中でメロディックパンクは厳しいと言われるけど、模索して答えを見つけていきたい。信じてついてきてください。いつかマスク取って、涙でモッシュ&ダイブしよーぜ! 夢は死なへん! コロナは死ねーーーー!」と、思いの丈を叫び「The Dream Is Not Dead」「FIST BUMP」とメロディックパンクの魅力を凝縮した、ハッピーでエモーショナルなナンバーでトドメを刺し、ステージが終了。
Dizzy Sunfist
世代を越えた、大阪・堺が誇るパンクロックバンド2組のステージはあっという間に終わりを迎えた。ライブが終わった爽快感はあるが、ライブハウスでまたあの音楽を生で楽しみたいという欲はさらに高まってしまった。GOOD4NOTHING、Dizzy Sunfist、彼らの今後の活躍に注目し続けたい。
取材・文=黒田奈保子 撮影=日吉“JP”純平

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