climbgrow メジャー1stアルバム『C
ULTURE』に漲る音楽的ポテンシャルの
高さとバンドの可能性

今回はリモートでのインタビューということで、PCの画面越しの対面だったのだが、それでもclimbgrowのメンバーたちがどこか吹っ切れたような清々しい心持ちでいることが伝わってきた。それはライブが思うようにできない、この状況でも配信ライブでも何でもできることをやり続ければ、必ず道は開けると彼らが信じているからだと思うのだが、ついにリリースするメジャー1stアルバム『CULTURE』が自信作でしかないと言い切れるものになったこともやはり大きいんじゃないだろうか。18年にリリースした『FREEDOM』と『CROSS COUNTER』の2枚はミニアルバムということもあって、楽曲の方向性をそれぞれに絞ったところもあったが、『CULTURE』は満を持してリリースするフルアルバムだ。楽曲作りにおいては、ロックンロールであることにこだわらず、貪欲に取り組んできたバンドが持つ可能性を存分に見せつけている。

インディーズ時代にリリースした限定シングルの収録曲だった「ハローグッバイ」と「SEPTEMBER」の2曲も、インディーズ・ベストアルバム『EL-RODAR』に入りきらなかったからと半ば無理やり詰め込んだ全12曲(限定盤にはボーナストラックとして「冬の蠅」を追加収録)。タフな魅力を見せつけるロックンロールに気持ちを高ぶらせつつ、ここで見せるバンドの新たな一面にワクワクしながら、杉野泰誠(Vo)が吠えるような声で投げかける言葉に耳を傾ければ、自らの心情吐露だけに終始しない、ライブハウスで出会った仲間に贈った「ハローグッバイ」、育ての親である祖母に捧げた「MOTHER」をはじめ、誰かを思うからこそ歌えるリアルに誰もが胸を打たれるはずだ。そして、密かに愛を歌い続けてきた杉野の表現は、「MONT BLANC」でさらに大きな表現を手に入れた。
彼らが掲げるニッポンのロックンロールバンドは、あくまでもアティチュードの話。「ライブを想定した曲が多いからライブでぶちかましたい」と杉野は言うが、『CULTURE』を聴きながら、まずは演奏も含め、climbgrowが持つ音楽的なポテンシャルの高さをぜひ受け止めていただきたい。
このインタビューの翌日、バンドが東京で開催を予定していたワンマンライブ『FUTURE』は新型コロナウイルス感染者増加の影響で残念ながら中止になってしまったが、彼らはホームである滋賀のライブハウス、B-flatで配信ライブを行った。2回目となる配信ライブには、コロナ時代を生きるロックンロールバンドの覚悟が感じられた。覚悟を決めたこいつらは、めっぽう強いと思う。
杉野泰誠(Vo,Gt)
ライブがかっこいいバンドでありたいと常に思っているんで、早くライブができるようになりたい。パンパンのライブハウスでぶちかましたいですね。
――6月27日の1回目の配信ライブの感想から、まず教えていただけますか?
杉野泰誠(Vo,Gt):お客さんがいない空間でいつも通りライブができるのかちょっと心配だったんですけど、周りのバンドが配信ライブに切り替えているのを見ながら考える時間があったので、いつも通りやれたかな。
――杉野さんはライブができない間、「死ぬほど腐ってた」とMCでおっしゃっていましたね。
杉野:溜まっていたものがだいぶ発散できました(笑)。
谷口宗夢(Dr):泰誠も言っていたように、正直、不安はありましたけど、4人で一発目の音を鳴らした瞬間、いつも通りできるってわかりました。MCも泰誠が、お客さんが目の前にいるように喋ってくれたから、お客さんがいるように思えたし、ライブとしてもいい演奏ができたし、いい経験ができたと思います。
杉野:音も映像もクオリティが高かったんで、これはこれで悪くないなというのはありました。
近藤和嗣(Gt):多くの人にクリアな音で自分たちがやっていることを見てもらうって、逆に新しくて、いい機会になったと思います。楽しかったです。
――そうなんですよ。climbgrowのライブって実は勢いだけではなく、曲の良さや演奏で魅せるところもあるから、配信ライブは配信ライブで合っているんじゃないかと見ながら思いました。
近藤:そうですね。曲をしっかり聴いてもらえるって意味では。
立澤賢(Ba):いつこういう状況が終わるのかまだわからないですけど、こういうやり方で対応していけるんだって、自分の中で自信になったのはデカかったです。
立澤 賢(Ba)
自分がclimbgrowに入ってベースを弾いているところを想像したら、意外に想像できたんです。何よりもメンバー全員、人間として好きだったから。
――そして、メジャー1stアルバム『CULTURE』がいよいよリリースされるわけですが、その話の前に今年2月、新たに加わった立澤さんのことを紹介してください。
杉野:18年2月にリリースした『FREEDOM』っていうミニアルバムのツアーで、柏のDOMeっていうライブハウスでやったとき、出会いました。
――その時の対バンだったわけですか?
杉野:そうです。その後、何度か柏DOMeにお世話になっているんですけど、そこで顔を合わせるたび、仲良くなって。メジャーデビューが決まって、前のベースが抜けるってなったとき、元々、チェン(立澤)はギター&ボーカルだったので、ムチャ言ってんなって思いながら、「べースで入らないか?」って声をかけました。
――立澤さんの、どんなところを見込んだんですか?
杉野:いやぁ……こいつ、おもろいから、としか考えてませんでした(笑)。
――なるほど(笑)。じゃあ、立澤さんは滋賀の人ではないんですね?
立澤:元々、埼玉なんです。
――climbgrowに加入後、滋賀に移った⁉
立澤:そうです。
杉野:逆輸入しました(笑)。
谷口:国内やけどね。
――元々はギター&ボーカルだったわけじゃないですか。なのにベーシストとして誘われて、どう思ったんですか?
立澤:もちろん、自分にできるのかな?って思いましたよ(笑)。それまでベースって触ったことがなかったんですけど、でも、自分がclimbgrowに入ってベースを弾いているところを想像したら、意外に想像できたんです。それに楽曲的にも好きだったし、何よりもメンバー全員、人間として好きだったから、こいつらとバンドやったら、絶対、俺も楽しいと思いました。
――元々やっていたバンドは、どうなっちゃったんですか?
立澤:もう活休していたと言うか、僕以外のメンバーはみんな就職していたから、去年1年、まったく活動できない状態で、友だちのバンドからツアーに誘われても弾き語りでしか出られなかったんですよ。新たにバンドを組もうと思って、メンバーも探していたんですけど、そんな時に、ちょうど誘ってもらえたのでありがたかったです。
――立澤さんから見て、3人はどんな人間ですか?
立澤:泰誠は、僕のことめちゃめちゃイジるんですけど、僕はイジられないと自分の良さが出せないと思っているので、泰誠のイジりは口は悪いですけど愛を感じています。彼は好き嫌いがはっきりしているんです。イヤなことははっきりイヤと言う。それはメンバー全員に言えるんですけど、そんなところもかっこいいと思います。和嗣は、僕が出会った中でギタリストとして一番センスがある。ただセンスがあるだけではなく、ちゃんとした思考回路を持っていて、自分が表現したいことを100%表現できるんです。俺は和嗣がclimbgrowの脳みそだと思っています。もっくん(谷口)とは人間的に一番波長が合う。前に出る人間と、後ろでそれを支える人間がいると思うんですけど、もっくんと俺はそういうところで波長が合う。俺は勝手にそう思っていますけど(笑)。
――近藤さんが脳みそだというのは、僕も同感です。逆に3人は立澤さんのどんなところが好きなんですか?
杉野:えぇっと……。
――あれ、画面がフリーズしちゃった。
杉野:いや、俺がフリーズしてます(笑)。けっこういい加減なんですよ(笑)。それは良くも悪くもなんですけど、いい適当さ加減を持っているんですよね。そこも含めて、ええ奴やなと思いますね。
――ベース初心者にもかかわらず、誘いを受けるところなんてまさにそうかもしれないですね。では、『CULTURE』について聞かせてください。まず、どんな作品になったという手応えがありますか?
杉野:今までなかったような曲も入っているんで、ボーカリストとして成長できたという手応えはありますね。
――バンドとしてはどうでしょう?
近藤:前からジャンルや曲の統一性は気にしていなかったですけど、今回は特に気にしなかったです。だから、作っていて、今までで一番楽しかったです。
――それが一つテーマとしてあったのでしょうか?
近藤:いや、意識したわけではないんですけど、やりたいことをやったら、結果、そうなりました。
杉野:それがカルチャーになればいいかな。
近藤:自分らしさ、という意味で。
近藤和嗣(Gt)
「MONT BLANC」は、他のバンドがこの曲を出していたら嫉妬するくらい好きですね。
――アルバムを聴いて、何よりもまず曲がすごくいいと思いました。ジャンルにこだわっていないとおっしゃったように1曲1曲のジャンルが何であれ、ジャンルとは関係なく、どれも曲としてすごく良くて、聴き応えがありました。制作はいつ頃から?
杉野:去年ぐらいですかね。去年のいつ頃だったかな。いつ頃か、もうわからないですけど(笑)。
近藤:けっこう長い間、作っていた気がします。
杉野:ツアーを回りながらでした。だから、ライブを意識した曲が多いですね。
――ジャンルを気にせずにやりたいことをやったそうですが、曲作りはどんなふうに?
杉野:かっこいいと俺が思う曲を持っていったり、ライブでこういう曲が欲しいなって作った曲もあるし、チェンが入ってくれたから、チェンと昔の曲をやってみたいと思って、「FALL OUT」をひっぱり出してきたり、和嗣が持ってきた曲に俺が歌詞をつけたり、いろいろな作り方をしましたね。
――何曲ぐらい作ったんですか?
杉野:覚えてないです(笑)。
近藤:けっこう早い段階でボツにしようって見切った曲もあって。
杉野:そういうのも数え出したらキリがない。
近藤:ボツになった曲はたくさんありますね。
――ボツにするポイントは?
杉野:グルーヴじゃないですけど“何か違うな”っていうのがあるんですよ。
近藤:“どこか、ええな”っていうのがない曲は、あまり作り込んだりしないですね。
杉野:だから、1回やって、何か違ったらもうやらない。
――それは昔から?
杉野:徐々にそうなってきましたね。
近藤:一時期はレコード会社と話して、“デモ100曲出す”みたいなこともやったことはあったんですけど、その中で自分たちがやりたい1曲ってすでに決まっちゃっていたので。話し合う余地も生まれないと言うか、無駄な時間になってしまうんですよ。だから、自分らで完結させたがりなところはありますね、もちろん、意固地に“これしかやらない”というわけではなくて、意見にもちゃんと耳を傾けるんですけど。今回のアルバムに入っている曲に関しては、1曲1曲こだわりを持って作っていきました。

――印象に残る曲ばかりなのですが、アルバムのリリースに先駆け、「MONT BLANC」を配信リリースしたのは、どんな理由からだったんですか?
杉野:世界が終わってもやり続けたいものや、大切にしたいものがあるって歌っているんですけど、それが新型コロナウイルスのせいで、当たり前のことが当たり前じゃなくなった状況とリンクしたと言うか、曲の聴こえ方が自分で変わったんです。今、出すべきだと思いましたね。
近藤:この状況じゃなかったらリード曲になってなかったよね。
――ああ、なるほど。この状況じゃなかったらどれがリード曲になっていました?
杉野:どれでもリード曲になっていたと思います。
――「MONT BLANC」ってラブソングじゃないですか。climbgrowとしてはラブソングをリードにしてもかまわない?
杉野:これがclimbgrowのラブソングだって謳って、ばーんって出したんですけど、そこは意識しなかったですね。
近藤:でも、確かにラブソングをリードにしたことは1回もないんじゃない?
杉野: そう言えば、そうやな。
――杉野さんは、どんな時と言うか、どんなきっかけがあると、ラブソングを書こうと思うんですか?
杉野:どんな時なんですかね……。弱ってる時ではないですけど、何だろうな……。母性の強い……母性の強い女、って言い方合ってる?
近藤:合ってるかどうか知らんで。何を言おうとしているのかわからないから(笑)。
杉野:そういう女性を欲している時じゃないですかね。
――ああ、なるほど。欲する時があるんですね?
杉野:そりゃ男なんで(笑)。
――その「MONT BLANC」に加え、「酔生夢死」「BANG BANG BANG」。中盤にはリズムのおもしろい曲が固まっています。8ビート一辺倒じゃない、リズムの幅広さもclimbgrowの魅力だと思うのですが、そういうリズムの変化は、どの段階で生まれるんですか?
近藤:曲を作る段階でギターのストロークは全部、同じにならないようにしたいんですよ。そういうところから、もっくんが拾い上げて、もうちょっと複雑にしてくれているんだと思います。
谷口:「BANG BANG BANG」はセッションしながら作っていったよね?
近藤:そうだ。お互いにリズムの捉え方を勘違いしてたんだ。
谷口:あの曲はけっこうノリを重視しながら作っていきましたね。
――じゃあ、基本は近藤さんのギターストロークなんですね。
近藤:基本はそうですけど、泰誠が作る曲に6拍子とか、3拍子とかが多いっていうのもあるかもしれないです。「酔生夢死」は6拍子なんですけど、そういう変わったリズムの曲が多い気がします。
立澤:タテのリズムがきっちりあったら気持ちいい曲が多いんですよ。たとえば、「FALL OUT」は異色曲だと思うんですけど、リズムも気持ちいいし、泰誠のボーカルの言葉が詰め込まれた感じもスパイスになっているし、今後、こういう曲が増えていったらおもしろいと思います。
谷口宗夢(Dr)
「FALL OUT」はclimbgrow史上1、2を争うくらい速い曲なので、難しい。だから、レコーディング前に立澤と2人で練習しました。
――谷口さんもこれだけリズムに変化があると、ドラマーとして叩き甲斐があるんじゃないですか?
谷口:そもそも曲自体にいろいろな色があるので、それに伴ってリズムもやっぱり、リズムに色があるかどうかわからないですけど、立澤が言っていたように「FALL OUT」は完全にタテ、タテ、タテみたいな曲で、しかもclimbgrow史上1、2を争うくらい速い曲なので、難しいんですよ。だから、レコーディング前に立澤と2人で練習しましたね。
――climbgrowのライブでは、近藤さんが谷口さんと向かい合ってギターを弾く場面がけっこうありますが、それはリズムを合わせようと意識しているんですか?
近藤:そうですね。大きい会場だと特に中の直のアンプとドラムの音が聴こえづらいことがあるんですよ。前からの返しのスピーカーはあるんですけど、やっぱりできるだけドラムの近くで音を聴いて、生のタイム感じゃないと合わせにくいことがある。そういう時は、無意識に近づいているかもしれないですね。
――曲数が多いせいか、ギタリストとしての近藤さんのポテンシャルがこれまで以上に発揮されていると思いました。曲によって、フレーズ、プレイともに変えていますが、アレンジを考える時は、どんなことを意識しましたか?
近藤:目立てばいいというものでもないし、目立たなくても良くないし、ということは意識しましたね。歌を立てたいところで、裏でピロピロしてたら絶対良くない、いや、良くないってことはないけど、そのへんの強弱ははっきりしておきたいというのはあります。音使いは、いろいろな音色を使いたいという気持ちはあるんですけど、どこかで共通点は出していきたいと思っていました。
――今回、けっこうワウを使っていますね。
近藤:エフェクターボードを組み替えてワウを入れたので、せっかくだから使ってみようって、レコーディングの時、ぶっつけ本番で使ったんですけど、ちょっと使いすぎたかもしれないです(笑)。
――いや、印象的でよかったと思いますよ。ところで、杉野さんはさっき“今までやっていないような曲が入っている”とおっしゃっていましたが。
杉野:「MONT BLANC」は違った角度から歌詞を書けたと思います。曲もそうですけど、この曲のコード進行は和嗣が持ってきてくれて、それに合う歌詞とメロディを探すのに苦労しましたね。その甲斐あって、一番いい形にできたと思います。
――じゃあ、こういう状況にならなくてもリード曲になったのでは?
杉野:そうですね。でも、全曲、自信があるんで、どれでもリード曲になる可能性はあったと思います。
――「ドレスを着て」も今までにない曲ではないでしょうか。イントロのギターなんて、かなりおしゃれですよね?
杉野:ハハハ。おしゃれすぎるなって話になったな(笑)。
近藤:なったね。
杉野:でも、1回聴いちゃうと、“これ、ないとあかん”ってなるんですよ。
近藤:あのイントロありきで聴いちゃうと、なくせない。
杉野:ハハハ。けっこう気に入ってますね(笑)。
――あのフレーズは、近藤さんが作ったんですよね?
近藤:そうです。ライブで、あの曲をやる前に泰誠がMCで、いい話をしてくれるんですけど、あのフレーズがけっこう難しくて。いい話の後にミスっちゃいけないと思うから、けっこう緊張するんですよ。入れんかったらよかったと後悔してます(笑)。
谷口:配信ライブの時、めっちゃ緊張してたもんな(笑)。
――「窓」も印象に残りました。メロディの魅力だけで最後までひっぱっていけるという意味で、新しいタイプの曲だと思うのですが。
杉野:僕的に一番苦労したかなっていうのはありますね。それはメロディなんですけど、今まで自分が行かへんようなところに行ったんで、自分の体に染みこませるのが大変でした。
近藤:だからこそ、いい感じで新しくも聴こえて、いいメロディになったと思います。
――レコーディングはツアーしながらだったそうですが。
杉野:1か月おきぐらいに、できた曲から順々に録っていきました。曲を作る、ライブするっていう気持の切り替えが難しかったですね。歌は納得行くまで、けっこう録り直したんですよ。
近藤:歌を丸々録り直した曲もあるんですよ。完パケしたと思ったら、泰誠が歌を録り直したいと言い出して。
杉野:怒られた記憶があります(笑)。「窓」なんですけど、自分で納得行く歌が歌えてなくて、全部歌い直しましたね。
――前のバージョンを聴いていないから比べられないけど、すごくいい歌になったんじゃないですか。では、1人1曲ずつ、特に気に入っている曲を教えてもらえないでしょうか?
杉野:「ドレスを着て」、好きですね。
――どんなところが?
杉野:1サビ後の和嗣のギターです。スタジオに行ったら、和嗣が1人で録っていたんですけど、ちょうどその1サビ後のギターが聴こえてきて、神曲だと思いました。
近藤:僕は、うーん、「MONT BLANC」。ああいう気持ち悪いコードが明るいコードに交じっているところと、そのコードのままなのにサビのメロディはすごい突き抜ける、そのミスマッチ感が印象に残ると言うか、《世界の終わりが》と歌っている感じにぴったりで、他のバンドがこの曲を出していたら嫉妬するくらい好きですね。
谷口:僕は「TIGHT ROPE」。一番気持ちいいのがサビなんです。この曲は和嗣が携帯のアプリで楽器を打ち込んで、ドラムのアレンジも考えてくれたんですけど、最初、サビを聴いたとき、リズムが2拍3連で、おもしろいと思いました。斬新だったんです。2拍3連のリズムって跳ねるイメージがあったんですけど、この曲はどっしりとしていていい。新しいなと思いました。
――そんなふうに近藤さんが全部打ち込んでアレンジを作る曲もあるんですか?
近藤:最近ありますね。携帯でやるのにハマっていて。
谷口:ドラマー目線じゃないリズムアプローチが新鮮なんですよ。

――「TIGHT ROPE」をライブで初披露したとき、細かい話ですけど、Aメロのベースラインを聴いて、新しい風が吹いたと思いました。じゃあ、あのベースラインも近藤さんが考えたわけですね?
近藤:そうです。ワルい感じにしたかったんですよ。泰誠が歌うことを想像しながら作ったので、ああいう動くラインでもワルそうになると思いました。
――動きながら16分を刻むラインが新しいと思いました。
近藤:ああ。おいしいところでバスドラと噛み合うから、立澤も弾いていて楽しいんじゃないかなと思います。
――その立澤さんが気に入っている曲は?
立澤:「FALL OUT」です。昔の曲ですけど、僕には新鮮だったんですよ。ミクスチャーっぽいところは異色だと思うんですけど、泰誠が歌うと、どんな曲でもclimbgrowになる。僕はこの曲をレコーディングしたことで、それを改めて実感しました。どんな曲でも出せるという意思表示として、僕は気に入っていますね。あと、1か所だけ僕がフレーズを考えたところがあって。2サビ後に16分で刻むんですけど、自分で考えたにもかかわらず、けっこう難しいんですよ。気に入っているんですけど、弾きながら、毎回、きついなぁって思ってます(笑)。
――最後に、具体的なことは話しづらい状況だとは思うのですが、climbgrowのこれからにもついても聞かせてください。
杉野:ライブがかっこいいバンドでありたいと常に思っているんで、早くライブができるようになりたいですね。アルバムもライブを想定した曲が多いんで、パンパンのライブハウスでぶちかましたいですね。
――今後、新しいタイプの曲はさらに増えていきそうですか?
杉野:増えていくと思います。
――こんな曲を作ってみたいというのはあるんですか?
杉野:俺ら、壮大な曲がないんで、俺の思うワールドカップみたいな曲が欲しいですね(笑)。それぐらい壮大な曲を作りたいです。
――そうか、ワールドカップみたいな曲か。楽しみにしています。
杉野:ハハハ。楽しみにしていてください。

取材・文=山口智男 撮影=浜野カズシ
climbgrow

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