[Alexandros]『RUSH BALL 2020』ライ
ブレポート ーーライブの根源的な歓
びを示す、巨大なクラップに代えた圧
巻のコール&レスポンス

『RUSH BALL 2020』[Alexandros]
ライブへの強い思いを礎に、さまざまな知恵を絞り開催に至った通算22回目の『RUSH BALL』。これまでも凄まじいパフォーマンスを刻みつけてきた[Alexandros]が、堂々初日のエンディングに姿を現した。
[Alexandros]
まずは、自宅でのリモートで制作した新作コンセプトアルバム『Bedroom Joule』から「Run Away(Bedroom ver.)」をプレイする彼ら。原曲が持つ沸騰状態の熱とは違い、ふつふつとした高揚感をもたらすリアレンジで、すっかりナイトモードにスイッチした泉大津の地を心地よくサーフする川上洋平(Vo/Gt)。かと思えば、続く「ムーンソング」では川上と白井眞輝(Gt)が奏でる鮮やかかつリリカルなツインギターで、一気に加速度を増していく。
[Alexandros]
「お前らが声出せないのはわかってるよ。ルール守ってくれて最高だ。けど伝える方法はある!」と、声援を避けるルールは十分理解しながらも、コロナ以前と変わらない攻めの姿勢で場内を扇動する川上。その言葉を受け、客席では思い切りジャンプする者、固く握った拳を天に突き上げる者、それぞれの“声”を届けようとする姿がそこかしこで見受けられるのだ。
[Alexandros]
「命は最も大事で一番優先するべきこと。でも、こういうこと(=ライブ)がないと人生楽しくないし、こういうことがあるから生きていけるのかなと。今日改めて思いました、ライブ最高です! また必ずこのステージで、グチャグチャになって声を出して暴れるライブをしましょうね」(川上)
[Alexandros]
自らや他者を守るための制限はありながら、こうやって新しいかたちでの野外イベントが実現できたことは、紛れもなく希望の光に違いない。「また会えることがあれば、その時は本当に笑い合えたらいいなと。そんな曲を」(川上)とアコギに持ち替え、続くは「rooftop」へ。離れ離れの恋人を思う詞世界は、そのままライブへの思慕と重なるようだ。オーディエンスはやわらかな音世界に横揺れになり、魅入られたように没入。バンドがコロナ禍で得た新たな音像は、ライブの楽しみ方を緩急自在に教えてくれる。
[Alexandros]
「アンコール代わりにいいですか!?」(川上)と、なだれ込むオーラスは「ワタリドリ」! 磯部寛之(Ba.Cho)の刻む極太のリズムとサポートのリアド偉武(Dr)の怒涛のドラミングを下敷きに、雄大なサウンドスケープが湧出。溜まったフラストレーションを蹴飛ばすような開放感たっぷりに描く白井のギターリフとサポートのROSE(Key)が支える明朗なメロ、その全てが合わさった瞬間の多幸感はまさにライブでしか味わえないものだ。
[Alexandros]
オフマイクでコールし、巨大なクラップに代えた“声”を一身に浴びる川上。何度も「愛してるぜ大阪!」と繰り返しながら、終始変わらぬ姿勢でパフォーマンスを貫き続けた[Alexandros]から、たくさんの思いを受け取った時間となった。
[Alexandros]
日本で唯一の2020年夏の野外イベントとして、無事に初日の幕を下ろした『RUSH BALL』。世界は変わっても、ライブの根源的な歓びは変わらない……ルール下でできる最大限のアプローチでそう示す、確かな前進の日となった。
[Alexandros]
取材・文=後藤愛 撮影=影=瀧本JON…行秀
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