【FM802×SPICE ヘビロな人のヘビロ
曲~あの人のルーツはこの10曲~】8
月度ヘビーローテーションアーティス
ト・kobore編

大阪のラジオ局、FM802が自信を持って1ヵ月間毎日、特定の楽曲をOAするヘビーローテーション。そのヘビロアーティストに、自身のルーツとなる楽曲のアンケートを取り、その話を交えながらFM802DJがインタビューする企画【FM802✕SPICE ヘビロな人のヘビロ曲~あの人のルーツはこの10曲~】。今回は、2020年8月のヘビーローテーションアーティスト・koboreのボーカル・ギター、佐藤 赳にインタビューを敢行。8月5日(水)にリリースしたメジャーデビューアルバム『風景になって』に収録されている「HAPPY SONG」が8月度のヘビ―ローテーションに選ばれた。今回の対談はFM802で『RADIO∞INFINITY』(毎週木曜日24:00-27:00)と『802 DINOSAUR』(毎週金曜日27:00-29:00)を担当しているDJの樋口大喜が、ヘビロ曲についてはもちろん、以前から交流のある佐藤との出会いや、ライブに対する気持ち、さらにはルーツ曲を通じて明らかになるkoboreの楽曲へのこだわりなどを訊いた。
●その場その場にあったライブをしたいというのは、自分の中に根底としてある●
ーー現在、「HAPPY SONG」がFM 802の8月度ヘビーローテーションということで、毎日放送中でございます。このインタビューが決まった時に、まずkoboreとの出会いを遡ってみたんですが、初めて会ったのが2018年にリリースしたシングル「アフレル」と2ndミニアルバム『ヨル ヲ ムカエニ』を貰った時なのですが、覚えてます?
覚えてます! 2018年末にやった2nd LINEのライブも観に来てくださいましたよね?
ーーそうそう! その翌年、2019年の2月にメンバー全員とインタビューもさせてもらって。
なんとなく覚えてます。すごい遠い昔のような気がしますね。僕に関しては樋口さんに会いすぎてて、地元の友達みたいな感覚です(笑)。
ーー確かに(笑)。7月末から僕の番組『RADIO∞INFINITY』に毎週ボイスメッセージを送ってくれてるしね。でも当時から「アフレル」とか『ヨル ヲ ムカエニ』の楽曲等を聴いていて、koboreは歌詞に含まれるメッセージ性が強いなと個人的に感じてた。だからすぐにライブも観に行ったし、すぐインタビューしたいと思ったんです。
樋口さん、お会いしてからライブ観に来てくださるまで、めちゃめちゃスピード感半端なかったです。それからすぐ、『GLICO LIVE NEXT』に出させてもらったり、『RADIO∞INFINITY』で4週連続で弾き語りで出演もさせてもらいましたね。それからも頻繁に番組に呼んでいただいて、802の空気にも慣れました。
ーーその『GLICO LIVE NEXT』で、お客さんとして観るのではなく、初めて一緒にライブイベントを作っていくとなった時に、セットリストを直前に変えましたよね。そこで、koboreというバンドがどういうスタイルで演奏するのかみたいなものを目の当たりにしたと思っていて。
そうですね(笑)。一曲目から変えました。
ーーあの時にある意味器用なバンドなんだなと思って。そういえば7月に開催した野外イベント『GREENSPARK 2020』もセットリスト付け足したでしょ。
やっぱり、その場その場にあったライブをしたいというのは、自分の中に根底としてあるので。同じようなライブはしたくないというか。その時の初期衝動でライブをやって楽しみたいという気持ちは常にあります。セットリストを変えるとかもそこに通じてますね。
ーー大阪でのライブは毎回観せてもらってますけど本当に毎回新鮮で楽しそう。あと、何度も言いますけど僕は大阪で聴く「スーパーソニック」という曲が大好きなんです。
それは本当にFM802さんのおかげというか「スーパーソニック」をよくBGMでかけてくださるじゃないですか。本当に嬉しくて。
ーーでもあの曲って「ダサい曲」だと思って作ったと聞きいたときに衝撃的でした。
そうなんですよ。「ダサカッコいい」を意識して作ったんです。それでもめちゃくちゃ盛り上がってくださいますし、大阪に来たら「スーパーソニック」聴きたい」と言ってもらえるようになりました。あと、あの曲はYouTubeにもサブスクにも上げてないんですよ。なのに盛り上がってくださるということは、 CD買って聴いてくれてるんだなと思うし、そこにはBGMで流してくれるFM802さんの力もあると思うんです。ありがとうございます。
●キャッチーじゃなくてもいいから、爽やかな曲作りたいなと思っていた●
ーーでも、今回のヘビーローテーション曲になっている「HAPPY SONG」は、その「スーパーソニック」を更新したというか、新たな1ページを開いた気がします。
キャッチーじゃなくてもいいから、爽やかな曲を作りたいなと思ってたんです。実はあの曲、本当に早くできて、オケを合わせた瞬間にこれだと思って。「このオケあるんだったら、あとは俺が最高のメロディーと歌詞つけてくるから!」と全部僕に預けてもらったんです。僕的にもめちゃめちゃいい曲ができたと思っています。
ーー僕はkobore史上一番開放的な曲だと思ってるんです。
そうなんです! めちゃくちゃ開いてます。ミュージックビデオも、俺らの全てを開放しようということで、ただ遊んでいるシーンを包み隠さず映そうということになって。撮影も自分たちでカメラ回して、ホームビデオみたいな感じで撮りました。本当に全部ひっくるめて楽しめましたね。
ーー去年のインタビューで、赳くんは「夜に散歩してぽつんと光ってる自動販売機を見るのが好き」みたいな話をしてくれていたから、てっきり僕は赳くんは夜が好きなんだなと思ってたんですが、「HAPPY SONG」はまた違いますね。
夜が好きっていうのは、夜に歌詞を書くことが多いので、散歩行くのも夜だったり……というのもあってなんですよ。そういう時に、なんか自販機に感情移入しちゃったりして「もし俺が生まれ変わって自販機になってたとしたら何を思うんだろう」とかそういうことを考えちゃうんですよね。
ーー自販機に感情移入って(笑)。でも本当にこの曲は明るい気持ちになれる良い楽曲だなと思います。今年は、いつもと状況が違うし、なんか悶々としてる人たちに多いと思うけど、そういう人たち対しても背中押してくれる曲になってるような気がします。
そうなってくれていると僕たちも嬉しいです。
Mr.Childrenの「and I love you」がキッカケでCメロが好きになった●
【FM802×SPICE ヘビロな人のヘビロ曲~あの人のルーツはこの10曲~】
ーーあと今回なのですが、koboreの事前にルーツになった曲を10曲いただいております。見てると一番最初にMr.Children「and I love you」がありますね。赳くんは前からずっとMr.Childrenが好きって言ってますよね。出会いはいつなんですか?
Mr.Childrenは母親が大好きで、小学生の頃に車で聴いていたのが最初ですね。中学生になって改めて聴いてみたら、どっぷりハマっちゃって。「and I love you」はCメロがヤバイんです。(音楽を流してCメロを聴く)<どうしようもなく急に一人になりたい時があり>の辺りからなんですけど、これ途中から転調があって綺麗に元のコードに戻るんですよ。「神(ゴッド)転調」だと思っていて。
ーー「神(ゴッド)転調」!(笑)
しかもキーもCメロにすべてを持って行ってて、ファルセットをCメロでは一切使ってないんです。、桜井さんの声の全てを出してる。歌詞も相まってそれが感動的で……。ほんとうにどうしようもない感がすごいんです。
ーーだからこそストレートに感情が乗るんですよね。
そうなんです。この曲をキッカケにCメロが大好きになって(笑)。「HAPPY SONG」もCメロ作ってます。J-POPの真骨頂というか。その中でもMr.Childrenは、Cメロの入れ方とかメロディが上手い。めちゃくちゃ参考にさせてもらっています。リスペクトしか無いですね。
ーーCメロっていう観点でいうと他にどんな曲がありますか?
どれだろう。でも高橋優さんもCメロめっちゃいいんです。今回は「Cメロがいい曲縛り」で選んでないので、僕の初期衝動が詰まってる「素晴らしき日常」を選んでますが。「Cメロがいい曲縛り」っていうプレイリストで選んだらまた違う曲選びますよ(笑)。
ーー「Cメロがいい曲縛り」プレイリストいいね、聴いてみたい(笑)。
BUMP OF CHICKENの曲はCメロのプロというか、転調のプロですね。曲がガラッと変わる転調を、サラッと入れてくる感じがかっこいいんです。白い服に白のロゴを入れてる感じがして。
ーーその表現めちゃくちゃ分かる気がする!
普通だったら白の服には色の付いたロゴを入れようとなると思うんですけど、たまにあるじゃないですか、タグのみとか、ロゴが服の裏に入ってたりとか。よく見たら「めちゃくちゃ有名なブランドじゃん!」という分かる人には分かるさりげないポイントみたいな。そんな良さがBUMP OF CHICKENのCメロにはあって。それをサラッと入れてくる感じが、かっこいいですね。
ーー転調してるのに、スムーズに流れていくということ自体が凄いというね。
そうです。自然なんですけど、よくよく聴いてみると、ここなきゃ曲成立しないでしょみたいなCメロをサラッと入れてくるんです。やっぱりJ-POPってすごいなと思いますね。
●「kobore」というジャンルとしてやっていきたいなと常に思っている●
ーー今回10曲色々あげてもらっていますが、全部日本語の曲ですよね。それだけ歌詞というか。言葉に着目してるんじゃないかなと思います。
洋楽ももちろん聴きますが、それは勉強としてというのが大きくて。ナチュラルに心に刺さるのはやっぱり言葉とメロディだなと思うんです。昔RADWIMPSの野田洋次郎さんのインタビューを読んだんですが、RADWIMPSは最初めちゃめちゃ英詞だったけど、途中から、日本語で歌わないと伝わらないと思って、徐々に日本語になっていったらしいんです。野田さんは帰国子女だし、英語めちゃめちゃ喋れるのに日本語を大事にしている。日本語で表現することってそれだけ大事な事なんだなと思ってから、僕は日本語の曲を好んでますね。
ーー選んでいただいた楽曲それぞれシチュエーションがはっきりしていますよね。見事にkoboreの楽曲に通じてる部分があるなと思って。「HAPPY SONG」もそうじゃないですか。
そうですね。「この曲は、こういう場所で聴きたいな」と楽しめるのが音楽だと思っていて。みんな絶対それがあると思うし、なんでも無いところで聴くのと、ちゃんとした景色で聴くのとじゃ全然音楽って違って聴こえる。それが音楽の隠れた良さなんだなと気づけたのは、多分この10曲を聴いてきたおかげなんです。
ーー本当に色んなシチュエーションで音楽を聴いてるんだなというのも、今回このプレイリストで改めて知ることが出来ました。では最後に、今後のkoboreの目標を聞かせて頂きたいのですが。
今後は、本当に自分がこうやって選んだ楽曲の要素を全部一個にしてkoboreというバンドにしていきたいなと思っているんです。ギターロック、J-POP、HIPHOPとか色々音楽にジャンルはありますけど、koboreはどこにも属したくなくて「kobore」というジャンルとしてやっていきたいなと常に思っています。それによって僕たちを聴いてくれるお客さんも、色んな音楽に出会えると思うし、いろんなバンドを知ることができるキッカケになりたいですね。
ーー楽しみです。8月30日(日)にはRUSH BALLにオープニングアクトとして出演しますよね。青空の下で聴く「HAPPY SONG」絶対最高でしょ(笑)。
絶対演奏します。「HAPPY SONG」だけやって帰ろうかな。
ーーなんでや!(笑) もっと歌え!
ハハハ!(笑)
ーー本当にこれからもその場その場でしか観れないkoboreのライブ楽しみにしております。今日はありがとうございました!
文=城本悠太 撮影=渡邉一生

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