【INTERVIEW:Kobore】
そこで見たものしか話せないし、
聞いたものしか歌えない
ふと思い出してくれるくらいでいい
「…嬉しいです(笑)。ただメンバーもそれぞれ話してるけど、メジャーデビューだ!ってすごい感じはなくて。親とか友達からいっぱい連絡来るとか、そういうことばっかりですね。だから、まだ実感がないっていうのが一番大きいです。リリースしてから色んなところで言われてようやく浸透していくのかなっていう雰囲気は感じてます」
ーーアルバムでのデビューとなりますが、タイトル『風景になって』は、どういう思いでつけられたのですか?
「自分の作る曲が聴いてくれている人の風景になればいいなと思い、このタイトルを付けました。ただ『風景になって』というタイトル自体はアルバムを作る前から決まっていたので、このタイトルに曲をかぶせていった感じです。前作が『零になって』というタイトルだったんですけど、そのアルバムを引き継ぐように付けました。koboreはCDに色々な関連性を持たせるのが好きなので」
ーーkoboreとして印象に残っている風景は何かありますか?
「ライブを沢山やっているので、ライブですかね。でも、お客さんが居ない、まばらで少ない感じのほうが印象には残ってますね。地方とか行くとそういう風景がよくあって、くやしい!って気持ちになるから」
ーーでは、楽曲についてお聞きしますが、まず1曲目の「FULLTEN」ですが、この曲はメジャーデビューが決まってから作られたものでしょうか?
「そうですね。元々、こういう曲が作りたかったです。1曲目はショートチューンでプロローグみたいな曲にしたかったんですよね。歌詞はメジャーデビューが決まってからできた曲ではあるんですけど、自分たちに向けてメッセージを書いた曲というか、“こういう感じで歌っていくんで、よろしくお願いします!” みたいな1曲目だと思っています」
ーー MUSIC VIDEOは最初から最後までスタジオでの演奏シーンになっていましたね。これはメンバーの意見があってのものでしょうか?
「アルバムタイトルが『風景になって』ということで、白バックのほうが観てくれる人が風景を想像しやすいのかなと思って、“白バックにしてほしい!”って言って、あの背景になりました。koboreがどういうところで演奏したら似合うのかとか、そういういうところまで想像してもらえたら嬉しいです」
ーー歌詞中で メジャーでもインディーズでも自分たちは変わらないということを綴っていますが、そう考えるようになったきっかけはありますか?
「うーん…、そもそも音楽っていう存在はお金とかじゃないと僕は思ってるし、自分の憧れているバンドがそうであったように、自分もそうなりたいなって。あと、今までに歌った曲の歌詞を見て、やっぱり音楽は音楽として見るべきなんだなと思いましたね」
ーー変わらないと思う中でも、結成当初と現在を比べて成長していると思える部分はありますか?
「技術面においては、みんな意識は高まったと思います。僕はスタジオとか練習が嫌いなんですが、他の3人はライブが無い日とかオフの日とかは絶対スタジオに入るって決めて練習してるんです。その辺のスキル面やライブツアーもほかのバンドには何も言われたくないって思っているので、メンタル面はかなり向上できたんじゃないかなと」
「あんまり英語が好きじゃなくて、今までは英語のタイトルをつけたことがなかったんですけど、今作はいくつか入っていてkoboreにとっては新しいんですよね。でも歌詞は別ですね。ここはあえてというか、見栄えの良さを意識してカタカナにしてます。カタカナがめちゃくちゃ好きなので、カクカクしててかっこいいなと(笑)」
ーー「イヤホンの奥から」は週刊誌やSNSで他人を叩くことに対して歌われていますが、これはご自身の経験からですか?
「これは、このコロナ禍を通じて書いてみようと思った曲です。自分がSNSをやめた理由を歌詞に起こしてみたらこういう感じになりました」
ーー歌詞中に《イヤホンの奥から 俺がなんだってひっくり返してやる / ぶっ壊してやる》とありますが、誰かが悩んでいる時にkoboreの曲を聴いてほしいと思ったりしますか?
「…全部聴いてほしい(笑)。でも、悩んでるから、悲しんでるから僕らの曲を聴いてくれって感じではなくて、ふと思い出してくれるくらいでいいんですよね。実際悲しくなったら、その人がその時に好きだと思った音楽を聴くのがいいんだと思います」
ーー「夜に捕まえて」もですが、koboreは夜をテーマにした曲が多い印象を受けます。楽曲制作の仕方との関係や意図するものがあるのでしょうか?
「特に僕らが夜を歌うバンドだって言っているわけではなくて、そういう感じになっちゃってるんだなって。みんなが言ってて、僕は改めて口コミの面白さとか怖さを感じましたね。でも、夜をテーマにした曲が多いっていう理由を1つ挙げるとすれば、単純に夜に歌詞を書くことが多いからですかね。帰りの機材車の中で書いてたりするので(笑)」
ーーそういうことなんですね。あと、「当たり前の日々に」ですが、この曲を聴いて“伝えられるうちに想いを伝えておかなければ”という使命感や祈りのようなものを感じたのですが。
「これは、4年前くらいのデモ曲を改めて再録したものなんです。当時ライブバンドにしたいがゆえに、年間140本くらいツアーを回っていた時期があったんだけど、その頃ってライブのある1日を一瞬、あっという間に感じてて。でも家に帰ったら、今度は1日がめっちゃ長いなって感じた瞬間に、“あの時の一瞬ってめちゃくちゃ噛み締めないといけなかったんだな”って思って、この歌詞を書き起こしました」
ーーこの曲がアルバムの結びの曲である理由も、何か意図するものがあるのでしょうか?
「メンバーチェンジした時に、もし今後メジャーデビューすることができたら、その時は全部今の俺らの音源に変えようって決めていたんです。で、その時出すアルバムの最後に入れようと思っていました」
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