[Alexandros] 、ついに実現した"あの
バンドとのツーマン"で火花散らした
6年ぶり『ディスフェス』

[Alexandros] 10th ANNIVERSARY THIS SUMMER FESTIVAL 2020

-全員集合! 6年振りのディスフェスパーティー 2020.8.14 Zepp Haneda(TOKYO)
[Alexandros]によるディスフェスこと『THIS SUMMER FESTIVAL 2020』の1日目をオンラインで観た。
※以下、曲目などネタバレを含むのでアーカイヴ視聴予定の方はご注意を。
ディスフェスは彼らが結成当初から主催してきたライブイベントで、今年は彼らのファンならば大多数が察しがつくであろう文言で、とある“ゲスト”との対バンであることがアナウンスされていた。
会場のZepp Hanedaにキャパシティを制限した状態で観客を入れ、さらに生配信も行なうというスタイルでの開催となったディスフェス。場内が暗転すると、時勢柄、歓声がない代わりに熱のこもった拍手が巻き起こり、MCを務める庄村聡泰(Dr)が登場した。新型コロナの影響で“勇退”が先送りになった経緯もあって、多くのファンが彼の動向を気にかけていたはずだが、いつもの通り派手なビジュアルから、丁寧な語り口でくだけた内容のトークを繰り出していく。小ボケを挟むたびに笑い声ではなく拍手が起こる(感染対策ゆえ)というなかなかシュールな前説を終え、「冥府魔道よりこのバンドが戻ってまいりました!」と、“ゲスト”を呼び込む。
スクリーンに映し出されたのは[Champe]の文字。SEの「Burger Queen」とともにメンバーが登場する。万が一、経緯をご存じない読者の方がいると困るので、無粋ながら説明しておくと、このバンドはおよそ6年の時空を飛び越えてきた、かつての[Alexandros]である。川上洋平(Vo/Gt)が「Are you ready!?」と煽りを入れ、鳴り出したのは「For Freedom」のイントロ。Aメロが始まるとすかさずクラップが巻き起こる。川上は当時を彷彿とさせるマッシュヘアだ。
シャンペ時代の楽曲にはいまだライブで不動の人気を誇る曲も多く、前半の「Waitress, Waitress!」「Starrrrrrr」の連打は破壊力抜群。普段ならシンガロングが起きる箇所での「聴こえてるぞ、お前ら!」という川上の一言が、画面の向こう側のリスナーにも、マスク姿で発声できない現地ファンたちにも頼もしく響く。それにしても、一定の間隔をあけた指定席に陣取るファンたちは、どんなに盛り上がろうとも声は上げず、クラップやジャンプといったボディランゲージと表情でのリアクションを徹底している。絶対にこのライブを無事成功させ、次につなげるのだという意志、そしてバンドとファンとの信頼関係を象徴する光景だ。
MCでは、自分たちはあくまで[Alexandros]に呼ばれたゲストである、というスタンスでトーク。磯部寛之(Ba)が「9割アレキのお客さんなんじゃないかと心配してたんですけど」と、それっぽいことを言って笑いを誘う。ちなみに、この日はアンプなども当時と同様のシンプルな構成だということも明かされた。
ノスタルジックなメロディからサビ、大サビへと次第に開放感が増していく展開がたまらない「Kids」。HIP-HOP感を増幅したアレンジが秀逸で、磯部のベースが音色もフレーズもセクシーだった「Kill Me If You Can」。ラウドでファスト、おまけにグルーヴィな「Don't Fuck With Yoohei Kawakami」では、途中で白井眞輝(Gt)が長尺のギターソロで魅せる。このあたりの曲たちは普段なかなか聴けないが、ライブ映えする名曲ばかり。ラストの「Untitled」は、ブリットポップなどUKロックの影響が色濃く、シンプルでややこしいことはほとんどしていない曲だが、メロディと演奏のダイナミクスがとにかく沁みる。近年はなかなかお目にかかれないが、できれば今後も時折演奏してほしい。
休憩かつステージ転換を経たあと、本日2度目の「Burger Queen」とともにこの日の主役[Alexandros]として再登場。アッパーな曲が目白押しだったシャンペと比べ、大人の余裕とでも言うべきか、1曲目はミドルナンバー「Adventure」だ。実際の配信のチャット画面とSNSの画面を背後に映した状態で、川上がハンドマイクで伸び伸びと歌声を響かせていけば、聴こえないはずの大合唱がなんだか聴こえてくる気がする。
アレンジされたイントロから始まり、弾むリズムと流麗なリフで昂揚を誘ったのは「Run Away」。完全に余談だが、シングルリリース時点ではシャンペで、アルバム収録時には[Alexandros]だったため、この日においてはちょっと特別な存在である。続く「ムーンソング」ではROSEによるピアノの音色を良いアクセントに、ダンサブルなサウンドが会場を揺らした。こういう過去と現在が明確になったコンセプトだから、彼らがキャリアを重ねるごとに全方位へ音楽性を拡大しながら、ロックソングとしての表現の幅を獲得してきたことが普段以上によくわかる。
[Alexandros]としての最初のMCでは、シャンペに対して
「まあまあカッコよかったと思います。伸びるんじゃないかと」(磯部)
「あのバンド、これから色々ある気がする。運が無さそうだから(笑)」(川上)
とキレのある評価を下した後、「俺はね、めちゃくちゃ楽しいよ」「来てくれてありがとうございます」と率直に、ライブができる喜びと、この制約や不安も多い状況下で集まったファンへの感謝を伝えていた。
サイレンの音が鳴り出して赤色灯のように赤い照明がまわり、始まったのは「Girl A」。ヘヴィでスリリングな音が渦を巻くのと呼応するように、配信映像にも残像のようなエフェクトがかかり、ライブは一気にカオティックな様相を呈していく。さらに重く硬質な音で鳴らされた「Mosquito Bite」で、ボルテージ最高潮のまま本編を終了。会場組からは、久しく聞くことのなかったアンコールを求める手拍子が鳴り出した。
数分ののち、メンバーが再登場するとステージ上は一転してチルな雰囲気となり、最新作『Bedroom Joule』に収録されたバージョンで「Thunder」を、さらに同作収録の新曲で、コロナ以降にリモートで制作されたという「rooftop」を演奏。同曲の歌詞を踏まえて川上は「新しい時代、新しい世界とか考えなきゃいけないんですけど……結局我々は生でナンボですから」と、語り、久々のライブに対する喜びと手応えをにじませる。最後は「ワタリドリ」。説明不要の人気曲だし、ライブでも相当な数聴いてきたが、現在の先行き不透明な情勢下で聴く「ワタリドリ」には正直、これまでで一、二を争うくらいやられた。
エンディングには庄村も呼び込んで、翌日の2日目に待ち受ける非常にコアなセットリストについてなど、しばしフリートークで盛り上がってから終演。気づけば実に2時間半を超えている。配信ライブとしては特大のボリューム感で届けられた『ディスフェス』は、[Alexandros]のライブであり、過去の自分との対バンであるだけでなく、その名の通りまるで夏フェス1本参加してきたかのような充足感を我々に残してくれたのだった。

取材・文=風間大洋 撮影=河本悠貴

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