Editor's Talk Session

Editor's Talk Session

【Editor's Talk Session】
今月のテーマ:配信ライヴが
今後のシーンにもたらすもの

現場感があるライヴを
目指していけばいい

岩田
オンラインのライヴに対して音響や演出、カメラワークなどこだわる点がアーティストによって違うと思うんですが、おふたりはライヴをやってみて、今後はどこにこだわりを持ってライヴをしていきたいと思われますか?
豊島
僕らは『ビバラ!オンライン2020』に出演させてもらった時、ヴォーカルが頑張ってたんですよ(笑)。そして、ライヴに対する視聴者の投票をチェックしたら、“バクシンがお客さんとの距離が一番近かった”というコメントがたくさんあったんです。それはヴォーカルが頑張ったからなんですが、そういうふうに感じてもらえるんだと思えて。僕らはもともと踊る奴が偉いだとか、そういう現場感を大切にしていたバンドなので、オンラインでもどのバンドよりも現場感があるライヴを目指していけばいいと思うことができましたね。
岩田
お客さんとの距離が近いという反応があったのは、どこを工夫されたからだと思いました?
豊島
単純に言うと、あゆみがひとつのカメラに迫って行って、ワーッとお客さんひとりひとりに語りかけたというのが分かりやすい点ではありましたね。あと、あり得ないくらいひとりで踊ってましたよ(笑)。でも、そこまでやると何か伝わるものがあるのかもと思えて。だからこそ、そういう観せ方も面白いのかなと。
赤飯
2本目のライヴではコントで笑いを生みながら音やカメラワークにもこだわり、演奏もしっかりとしたライヴをやって、自分たちも納得できるものをみんなに届けられたという満足感があります。結果、観てくださった人から”ゲラゲラ笑って最後は泣けた”なんて感想を結構いただけたので、めちゃくちゃ嬉しかったです。さっき渉さんが言われていた“お客さんとの距離感”を次はもっと意識したステージングにしたいですね。あゆみがオラー!ってやってるのが伝わったということだったので、僕も次やってみようと思いました(笑)。
豊島
コロナに関係なく、ライヴというのは感動だったり何かしらでお客さんの心を動かせるものだと思うので、それは僕らもオメでたもやり方が違えど目指していたもののはずなんですよね。当然、配信でもそこを目指したいと思います。そのためには、カメラや音質というクオリティーに対しても意識しないといけない。結果的に普段のライヴに近いものを目指していますね。
赤飯
普段のライヴをやっているからこそ、その熱量を高めてどうやって届けていけるのかというところで、カメラワークなど技術的な面を表現も含めて磨いていかないといけないと思いますよね。
豊島
そこに対して、赤飯も“チーム”という言葉を多く使っていたけど、バンドだけではどうしようもないということがあるんですよ。配信ライヴはカメラワーク、スイッチャーや音響などひとつでもダメだと、僕らがどれだけいいパフォーマンスをしても伝わらない可能性がすごくある。
赤飯
その全体のグルーブを届けるという点は配信の面白さなのかなと思いますね。
豊島
ただ、池袋Admで配信をしていると、そこがで難しいと思うこともあるんですよ。バクシンやオメでたみたいにチームを組めるバンドは何回もミーティングをやりながらライヴができるんですけど、若手のバンドは基本的にそんな準備はできないじゃないですか。そこは単純に課題として残っちゃいますね。池袋Admは毎日のように配信しているので、スタッフの技術である程度は安定したクオリティーで配信できますけど、配信に対応しきれていないライヴハウスもたくさんあると思いますし。
岩田
おふたりのようにバンドでライヴを経験しているからこそ、その熱量を伝えるという点に重きを置けると思うんですが、これからオンラインだけでライヴをするバンドはその熱量を作れないかもしれないですよね。逆にMVのような映像を求めてしまうというか。
赤飯
そういう価値観も生まれるかもしれないですね。
豊島
配信ってお客さんがどんな環境で観てるかも分からないからね。ヘッドフォンをしながら爆音で観てる人もいれば、寝転んでボーっと観てる人もいるだろうし。そういう人たちの前で変にアツくなりすぎてもね(笑)。
岩田
“電車に乗りながら観てます!”というコメントがあったりしますからね。
豊島
そういう場でも楽しめるっていうのは配信の魅力でもありますよね。そう考えると、すごく奥が深い。
烏丸
音楽は瞬間芸術ですし、ライヴも刹那的なものですが、配信ライヴの様子がアーカイブされることに関してはどう考えていますか?
豊島
突いてきますね(笑)。正直に言うとアーカイブに対して抵抗が少しあったんですけど、お客さんのことを考えると残したほうがいいのかなって思えました。
赤飯
いいライヴをやって、それがアーカイブで残せるのは単純にプラスだと思いますね。リアルタイムで観られなかった人にも観てもらえるというのもあるので、もうそれはとらえ方次第かなって。
豊島
あと、おっしゃっていただいたライヴに対する一回だけの刹那感みたいなものはリアルタイムで観るのとアーカイブで観るのとでは、お客さんの感じ方次第で違いがあるんじゃないかと思いますね。電車で観ていても“今やってるんだな”と思うことと“やってたんだな”と思うのでは気持ち的にも違うだろうし。
石田
そこも配信ライヴだからこその楽しみ方かもしれませんね。アーカイブはテレビ番組の見逃し配信みたいなもので、その時間に観れなかった人のためのものというか。期間限定だからDVDやBlu-rayみたいにいつでも観れるわけじゃないので。
■music UP's
https://www.music-ups.jp
※本記事は8/20発行号にも掲載予定

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バックドロップシンデレラ オフィシャルHP
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