鈴木勝秀による「能と現代劇の融合」
を目指す新作シリーズが幕開け 佐藤
アツヒロと新作会話劇に挑む
・舞台と客席間を透明素材で区切る
・観客同士の間隔を確保する
・役者は地声ではなくマイクを通す
・上演中に搬入口を開けたままとする
・役者同士も距離を保って演技を行う
・ロビーも密を避けるために公演パンフレットなどはオンライン販売を行う
高校の同級生との再婚を考えているスガヌマは、ある日から見知らぬ女の夢を見るようになる。この夢に苦しむスガヌマは、精神科医・ランバシの勧めにより、夢日記と箱庭療法を始めた。ランバシの実子であるトオルは激しいマザーコンプレックスで、時々カウンセリング・ルームに現れてはランバシを困らせる。
夢日記と箱庭療法によって、奇妙なスガヌマの夢の細部が次第に浮かび上がってくる。箱庭に表現された灯台のある風景は、スガヌマの幼少時に描かれた絵と同じものだった。これは前世の記憶かもしれないと疑うランバシと、にわかには信じられないスガヌマ……。そしてふたりは、さらにスガヌマの深層へと下りていく――
脚本・演出 鈴木勝秀 コメント
僕個人としましては、7月に演劇公演が再開されてから、リーディング公演として、無観客配信(『シスター』)、観客30%+VR配信(『Defiled-ディファイルド-』)、観客50%(『日本文学の旅』)といった形で上演をしてきました。そして今回、ついに演劇作品の公演にたどり着きました。戦争や災害で劇場がなくなったわけではありませんし、芝居を作りたいというキャストもスタッフも、そして観客がいなくなったわけでもありません。むしろ芝居に対する欲求は、とても高くなっているように感じます。しかし、感染予防対策は万全を期さなければなりません。劇場が以前の状態に戻るには、まだしばらく時間がかかります。そのために劇作・制作ともに、いろいろと制約を受けることになります。ですがあらゆる表現活動には、さまざまな制限・制約があるものです。その制限・制約の中で、いかに自由を獲得するか、ということが、表現者に求められていることだと思います。そして少なくとも私は、この制限・制約のある状況だからこそできる演出の仕方があると考えています。感染予防対策からスタートしていたにしても、作品としてのクオリティーを高めることに結び付けることが重要です。舞台を透明ビニールで囲うことと、小劇場空間なのに、あえてキャストがマイクをつけることは、感染予防対策だけではなく、少なくとも僕にとって演劇的「実験」です。そして僕は「実験」が大好きなので、モチベーションはかなり高まっています。
これまでも、ほとんどセッションのような、その場その場で起こる物語を体感し表現してきたので、今回も二組のダブルキャストや、物語の軸となる深層心理によって、何が起こるかわからない新たに濃い演劇的セッションが生まれることがとても楽しみです。
自分自身の中にあるスズカツさんへの思いと、共存し合う価値観、そしてさらなる探究心を持ち、このキャストで新たなスズカツワールド「YARNS」に挑みたいと思います。そしてこの新しいスズカツワールドに挑戦してスズカツさんがニッコリしているところを見たいです。
SPICE
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