【明田川進の「音物語」】第39回 ジ
ュニアの年数変更とその背景

 今年(2020年)4月から、ジュニアの年数が3年から5年に変更されました。ジュニアというのは声優の報酬を決める「ランク制度」のいちばん下にあたる、事務所に所属したばかりの新人のことです。
 以前お話したように音響の予算は基本的に決まっていて、そのなかでキャスティングの費用はジュニアの人をどれだけ入れるかによって大きく変わってきます(https://anime.eiga.com/news/column/aketagawa_oto/109467/ )。ジュニア1年目をJ1といって、これまでは3年間ギャラが一定である代わりに、起用されやすくチャンスが増えるという仕組みでした。ただ3年間だと「この人はいいから出てもらおう」となったときには、すでに普通のランクになっていて、起用されづらくなる傾向があったんです。それでジュニアの期間をもう少し延ばせないかという声がマネージメントサイド側からではじめ、変更が検討されるようになりました。
 ご存知のとおり、今声優になる若い人はどんどん増えています。そうしたなかジュニアになって3年という期間では、その人の実力を見極めるには短すぎるのではないかと僕は感じています。3年って長いようで、あっという間にすぎてしまうんです。初めてレギュラーをもって自分の演技力をみんなに認知してもらい、これからまだまだ伸びていくだろうというときにはランクが上がってしまっている。また、そうした人にはオファーが集中しますから、スケジュールがとれないまま、あっという間に3年が経ってしまうこともあります。そうしたケースが多くて、ランクをもつことによって仕事が少なくなる人もでてくるので、ジュニアの期間をもう少し延ばそうというのが今回の変更理由のひとつです。今後少しずつ変化がおきてくるはずですが、僕は“功”のほうが大きい変更だと思っています。
 限られた予算でキャスティングをする音響サイドにとって、いろいろなことを器用にこなせるジュニアの人は貴重な存在です。そのため僕らは、光るものがある新人はいないかと常にアンテナを張り巡らせています。また、これまでの話とは別に、本当にこの人に出てもらいたいとなったら、ジュニアやランクなど関係なく起用するという側面もあります。ですから、ジュニアの期間でも本人が希望して事務所が納得すればランクをもつことが可能です。

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