坂本真綾

坂本真綾

【坂本真綾 インタビュー】
未知との出会いを
楽しみながら冒険もできた8年

25周年アルバム『シングルコレクション + アチコチ』はDisc1に2013年以降のシングル表題曲、Disc2には自身が参加したアニメのサウンドトラックや他アーティストの作品と、まさに“あちこち”からの楽曲を収録。どんな楽曲にも馴染みどんなアーティストとも自然体で接する、そんな坂本真綾の魅力の根源にあるものとは?

アニメ作品との出会いが
私のトライの場になった

以前HPのコラムに“先のことは考えずに数メートル先のことを頑張って、それを積み重ねた先に今の幸せがあった”と書かれていましたが、今作はまさしくそうした積み重ねによるものですね。それぞれの楽曲を振り返った時、どんな想いがありましたか?

全曲を聴いて“頑張ったな”と、自分を労ってあげたい気持ちになりました。いろんな方との出会いを果敢に求め、大先輩から同世代、自分より若い人たちとの仕事の中で、たくさん刺激を受けた8年間だったと思います。いろんなことにぶつかったりしながら乗り越えてきた20代を経て、30代は少しだけ余裕も生まれて、未知との出会いを楽しみながら冒険することもできた、とてもいい時間だったなと。

過去3作のシングルコレクション(1999年12月発表の『ハチポチ』、2003年7月発表の『ニコパチ』、2012年11月発表の『ミツバチ』)と比べてコラボレーション相手も幅広くバラエティーに富んでいるのは、さらに枠を広げて新しいものと触れ合いたい気持ちがより前に出ていた時期だったから?

まだ落ち着きたくなかったというか、“自分はこうなんだ”と決めつけたくなく、“まだ知らない自分がもっといるはずだ”という気持ちでした。私にまったく先入観を持たない初めて知り合った人が、どんなふうに私の新しい面を刺激して、引っ張り出してくれるかということを知りたかったし、楽しみたかったからです。

コラボ相手はスタッフからの紹介もありつつ、多くは坂本さんがもともとお好きだったアーティストだそうですが、出会いという部分で印象に残っている方はいますか?

「Be mine!」で作曲編曲を手がけてくださったthe band apart(以下、バンアパ)さんは、もちろん曲も好きだったのですが、同じフェスの同じ日にたまたま出演していたことで接点が生まれて、曲を依頼させていただくことになったんです。お互いの出番が重なっていたため、バンアパのベースの原 昌和さんが“俺は坂本真綾のステージが観たかった”と好きな曲名も挙げながらMCで話してくださったそうで、まさか私のことを好きでいてくれたとは予想外で驚きましたけど、ご縁も感じたので思いきってお声がけさせていただきました。

「レプリカ」でコラボしたandropの内澤崇仁さんは、『劇場版 Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット- 前編 Wandering; Agateram』の主題歌「独白」も手がけるそうですが。

「レプリカ」の時は面識もなかったのですが、andropさんの楽曲を聴いて素直に“すごい人がいる!”と思っていて。アニメの主題歌のお話をいただいた時に、その作品の雰囲気とandropさんのサウンドから受けるイメージが重なって、楽曲提供のオファーにつながりました。「レプリカ」をリリースしたあとにandropさんとフェスでご一緒するご縁もあり、また特別な作品の時にお願いをしたいと思っていて。それで「独白」もたまたまタイミングが合ったので、きっと内澤さんなら素敵な曲を作ってくださるんじゃないかと。

ちなみに「独白」はどんな曲になりましたか?

バラードのように始まって、2番で加速して、最終的には壮大なエンディングになる…というとても具体的で難しいオーダーがあったんですけど、もともと内澤さんがアプリゲーム『Fate/Grand Order』をプレイしてくれていたみたいで、世界観を分かってくださっていたので、まさに組曲のような、とても壮大な曲を作ってくださいました。

椎名林檎さんの作詞作曲編曲で、SOIL & “PIMP” SESSIONSの演奏による「宇宙の記憶」も印象的でした。

まさか高校生の頃から大好きで聴いていた方に楽曲をお願いするなんて想像もしませんでした。たまたま『BEM』という『妖怪人間ベム』のシリーズ最新作でオープニングテーマのお話をいただいて、“『妖怪人間』か〜。どうしたらいいんだろう?”という感じで悩んでいたところ、スタッフが提案してくれたのが椎名さんで。“嬉しいけど、めちゃめちゃ勇気いるわ!”という感じだったんですが(笑)、断られてもいいから当たって砕けるつもりでお声がけさせていただいたんです。昔から憧れの眼差しで見ていた方のお仕事を間近で見ることができたのは、本当に貴重な経験になりました。誰もが椎名さんの色に染まりたくなるカリスマ性を持ってられて、そのカリスマシャワーを浴びることができて本当に光栄でしたね。

こういった多彩な出会いがあるのはアニメのテーマソングをやっているからこそという部分もありますね。

自分のオリジナルアルバムではトライしないような世界観をテーマとして与えられることが多いですからね。例えば10代の若者の葛藤を描いたアニメだと言われれば、10代に戻ったつもりで歌詞を書くし、壮大な宇宙戦争のアニメだと言われれば、それに合うスケールのものを歌おうと思うので。アニメ作品との出会いが私のトライの場になっていて、いろんな人と出会うきっかけを作ってくれています。振り幅の広い楽曲にチャレンジする機会を与えてもらえることは、アニメ作品の主題歌をやらせてもらうことの醍醐味だと思いますね。
坂本真綾
坂本真綾
アルバム『シングルコレクション + アチコチ』【初回限定盤】(2CD+Blu-ray)
アルバム『シングルコレクション + アチコチ』【通常盤】(2CD)

OKMusic編集部

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