トラりんと研究員が紡いだ癒し系ウェ
ブコンテンツ 京都国立博物館『おう
ちで楽しむ京博』【ネット DE アート
第9館】

臨時休館中の美術館や博物館が再開に向けての準備を進めるなか、各文化施設が提供するオンラインコンテンツも日々増えています。動画を通して学芸員の詳しい作品解説が聞けたり、バーチャルミュージアムで過去の展覧会を自由に見て回ることができたり。今後は、リアルな博物館での鑑賞体験と並行して、オンラインで楽しむアートの幅も広がっていくかもしれません。

今回は、京都国立博物館によるウェブコンテンツ『おうちで楽しむ京博』をピックアップ。京都国立博物館PR大使の“トラりん”と研究員のやりとりが微笑ましいYouTube動画「トラりんチャンネル展覧会」や、開催延期となった特別展の見どころをトラりんと一緒に予習できる「虎ブログ」、文庫本カバーにもなるオリジナルぬりえの配布まで。癒しと学びを同時に得られる、オンライン京博の魅力をお伝えします。
京都国立博物館 公式サイトより
トラりんと研究員の会話にほっこり「トラりんチャンネル展覧会」
「京都国立博物館トラりん」YouTubeチャンネルにて毎週金曜日に更新される動画「トラりんチャンネル展覧会」では、京博公式キャラクター“トラりん”と各分野の研究員が、施設内の作品や屋外展示、美術館の仕事などを紹介しています。2015年から京都国立博物館のPR大使を務めるトラりんは、Twitterの公式アカウントでも2万人以上のフォロワーを持つ人気者。尾形光琳による《竹虎図》(京都国立博物館蔵)をモチーフに生まれた彼の本名は虎形琳ノ丞(こがたりんのじょう)といい、尾形光琳の幼名「市之丞」に由来しているそうです。愛称トラりんの名付け親は、館長の佐々木丞平氏であるとのこと。
「トラりんチャンネル展覧会」では、現時点(2020年7月10日現在)で13本の動画が公開中(英語版を含めると20本)。好奇心旺盛でやんちゃなトラりんと、研究員との和気あいあいとしたやりとりが楽しい本動画シリーズです。第1回から第3回の動画では、考古展示室の作品を紹介しています。考古担当の宮川研究員とトラりんが、銅鐸や鏡、縄文土器を見て回るなか、解説の合間にボケとツッコミを挟んだり、仲むつまじい姿を披露してくれたりと、癒し要素も随所にみられます。
【京博 トラりん公式】「トラりんチャンネル展覧会」だリン♪
ほかにも、臨時休館のため展示期間が短くなった特集展示室の作品や、敷地内の庭に展示されているロダン作《考える人》の紹介に加えて、保存科学室の仕事見学などもあり、施設全体の魅力が伝わるものになっています。
筆者が特に興味を抱いたのは、第8回目の動画。本動画では、博物館の屋外で見られる、豊臣秀吉に関わる遺跡が紹介されています。秀吉が創建した方広寺の巨大な石塁や、平成知新館エントランス前の水盤の中に見られる方広寺の門柱跡、五条大橋の橋脚など、敷地内にある歴史遺跡は、京都の町中だからこそ見られる貴重なものばかり。展示室の作品とあわせて、敷地内をゆっくり歩いてみたくなりました。
【京博 トラりん公式】「トラりんチャンネル展覧会8」豊臣秀吉に関係のある遺跡だリン♪
各動画でトラりんの愛らしい動きを見ているだけでも和みますが、「作品は昔と今をつないでくれるボクたちの財産」「博物館は、作品を守って未来に伝えることも大切な役割」など、トラりんの名言にもぜひ、耳を傾けてみてください。動画1本の長さは、5分前後のものが多いので、ちょっとした息抜きにもオススメです。
トラりんと一緒に展覧会の予習もできる「虎ブログ」
2015年10月から続く「虎ブログ」では、トラりんと研究員が展覧会の見どころを発信しています。2020年2月27日から全館休館となった際は、『大徳寺養徳院の障壁画II』や、『国宝 法然上人絵伝と知恩院の名宝』など、実際の展示を観ることができなくなった名品ギャラリー(平常展示)の魅力を、トラりんが研究員の解説と写真を交えながら紹介しています。
会期途中で閉幕となってしまった特集展示『雛まつりと人形』は、「トラりんチャンネル展覧会」の第4回、第5回でも取り上げられていますが、「虎ブログ」内の山川研究員の解説を併せて読むと、より深く展示内容を理解できます。トラりんと山川研究員の微笑ましいツーショットの数々にも、きっと癒されるはず。
【京博 トラりん公式】「トラりんチャンネル展覧会4」雛まつりと人形だリン♪
2020年2月21日「虎ブログ」より
筆者のオススメは、開催延期となった特別展『聖地をたずねて─西国三十三所の信仰と至宝─』(会期予定:2020年7月23日~9月13日)の事前予習ができる3月26日と4月24日の記事。テレワーク中の上杉研究員とトラりんがテレビ会議を通して本展の予習をする様子が、対話形式で綴られています。
2020年4月24日「虎ブログ」より
西国三十三所や観音様の説明から、千手観音に十一面観音などの変化観音についても、わかりやすい言葉で解説されています。特別展の開幕前に、ぜひ目を通してみてください。
京博オリジナルぬりえの配布に、読み応えのある「博物館Dictionary」も!
『おうちで楽しむ京博』では、所蔵作品などをモチーフにしたぬりえも配布中。A4サイズで印刷すると文庫本カバーにもなるとのこと。トラりんの可愛らしいイラストをつかったぬりえもあるので、要チェック。
京博オリジナルぬりえ 変形神人画像鏡
京博オリジナルぬりえ 十一面観音
京博オリジナルぬりえ トラりん「京博」

さらに「博物館Dictionary」では、絵画、考古・歴史、彫刻、染織など9つのジャンルに分けた所蔵品解説が楽しめます。解説内の難しい漢字には子ども向けにふりがなが振られていますが、大人が読んでも分かりやすく、勉強になります。特に彫刻分野では、「仏像にはどんな種類があるの?」「仏像は何からつくられているの?」といった基礎知識を学べるほか、書跡分野では、「どうやってお経は写されるの?」「昔の手紙(書状)の書き方」など、興味深いトピックが取り上げられていて、読み応えあり。
博物館Dictionary 「絵画」のおはなし より
また、過去に会場で配布された鑑賞ガイド・ワークシートや、「名品紹介」の作品解説など、『おうちで楽しむ京博』の豊富なウェブコンテンツによって、博物館に行く楽しみがさらに増えるはず。オンラインコンテンツを楽しみながら、全館開館となる日を心待ちにしています!
文=田中未来、画像=各オフィシャルページ引用

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