デビュー時から独自のルーツ志向を
突き進むロス・ロボスの
『ハウ・ウィル・ザ・
ウルフ・サヴァイヴ?』

ライヴハウスでのつながり

デビューアルバムをリリース後は、ロックとチカーノ音楽を交えながらライヴハウスで活動するようになる。そこで前述のブラスターズやXと懇意になるわけだが、その頃のイーストL.Aのライヴハウスでは、パンクロック、カントリー、ブルーグラス、ブルース、R&Bなどのアーティストが入り乱れ、それぞれの音楽に影響され合っていた。これがもとになって後にオルタナカントリーやアメリカーナが生み出されることになるわけで、その歴史的な場面にロス・ロボスもいたわけである。ブラスターズのデイブ・アルヴィンはXのエクセン・サーベンカと一緒にニッターズというオルタナ・カントリーのグループをスタートさせ、それを観たクラッシュのジョー・ストラマーがカントリーに影響されるようになるなど、当時のイーストL.Aでは早くから90年代に向けたオルタナティブで自由な空気が漂っていたのだろう。

同時期、カントリーシンガーで俳優のドワイト・ヨーカム(映画『パニックルーム』で恐ろしい人物を演じていた)や、アメリカーナ・シンガーのルシンダ・ウィリアムス、俳優でシンガーのハリー・ディーン・スタントン(デビッド・リンチ監督やヴィム・ヴェンダース監督のお気に入り俳優)なども、この周辺で活動していたアーティストである。

スラッシュレコードとの契約、
メジャーデビュー

そして、ロス・ロボスはスラッシュと契約し、メジャーデビューEP『アンド・ア・タイム・トゥ・ダンス』(‘83)をリリースする。プロデューサーにはT・ボーン・バーネットを迎え、ゲストミュージシャンとしてブラスターズのスティーブ・バーリンがサックスで参加している。このアルバムでは、ロックンロールやテックスメックス、カントリーロックなどがパワフルに演奏されていて、デビッド・イダルゴのギターワークをはじめ、メンバーの演奏技術はハイレベルだ。他のポストパンクのアーティストと比べると別次元のテクニックだと言えるだろう。

OKMusic編集部

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