KEIKO ソロデビューで語った「この曲
が好きだから歌いたい」と思える音楽
の探求 2年ぶりのインタビュー公開

3人組ボーカルユニット「Kalafina」。美しいハーモニーを響かせていた三人の一人であるKEIKOが、5月27日(水)に「命の花/Be Yourself」をリリースした。遂にソロシンガーとして動き出したKEIKOに約2年ぶりに話を聞いた。沈黙を保っていたこの2年間、彼女はどうしていたのか、新曲制作に込めた思い。そしてKalafinaとしての10年とは――。

人生の中で音楽が無くなった瞬間
――本当にお久しぶりです。インタビューでいうと、2018年の3月以来となります。
そんなになりますか。
――5月27日にソロとして初の配信シングル「命の花/Be Yourself」をリリースされましたが、事務所に所属して、活動が動き出すまでの間、お休みの期間はどうされていたんですか?ソロ活動への準備期間という形だったんでしょうか。
きちんと自分で明確に答えを出すためにも、一度足を止めよう……という期間でしたね。
――具体的にスケジュールがない、フリーな状況のなかで新しく始めたこととか、やってみたくて始めたこととか何かありましたか。
自然と家族と過ごす時間が増えて、その中で祖母の身の回りのお世話もする日があったんですが、私の祖母はお着物の師範をやっていて、「好きだったよね、お着物」みたいな昔話をしつつ、ちょっと羽織ってみたりとかしていたんです。そうしたらお着物を着つけてもらったりする、女の子のちょっとした特別感というか。そういう気持ちを姪っ子ちゃんとか甥っ子ちゃんに私もしてあげたいという気持ちが生まれたんです。あとは海外でたくさんライブに行かせていただいて、日本の和装って人気だったなとかも思い出して、「よし、学校に行こう」とお着物の和装学校に行くことにしたんです。
――通われたんですね。
はい、約半年くらい学校に通っていました。
――資格を取られたんですか。
最初は単純に勉強したかったんです。でも通っていくうちに、お着物を着つけるということは日本の歴史を勉強するという意味もあるんだなと知り、夢中で勉強していたら、ある時突然に「試験よ」って言われて。「えっ!?」って言っている間もなく「やるでしょ?」「受けるわよね?」みたいな感じで(笑)。 粋なお師匠さんたちの気持ちにそのまま答えるかのように試験を受けて、資格を取ったという形でしたね。
――そういう意味では、リフレッシュというか気持ちの切り替え的なことができた感じでしたか
そうですね。その時に感じたのは、仕事をしているといい意味でも悪い意味でも、自分の行動範囲・活動範囲って決められてくるじゃないですか。
――そうだと思います。
お着物の学校に行ったときに、私が何者でもないっていう状態に身を置くのがすごく新鮮で。学校自体も私に近い30代の人がほとんどいなくて。お着物の仕事に就くために資格を取るための若い方や、お着物を日常で着られるご婦人の方という感じで、ちょうど真ん中の私の世代がいなかったというのもあるんですけど。
――年上か年下しかいない環境だったんですね。
はい。私というものをゼロベースで、フラットに見てくれる環境というのは、ナチュラルにいられたというか。そういう環境に飛び込んだことで、とてもリラックスできたと思っていますね。
――それはある意味新鮮な時間だったかもしれないですね。
自分のことを知らない環境って当たり前ですけど、自分も丁寧になるんですよね。人との接し方を改めて考え直す時間にもなりました。
――そういう、自分や人との距離を見つめなおす時間っていうのがあったなかで、音楽の時間。たとえば歌のレッスンをご自身でされるとか、そういう時間も持たれていたんでしょうか。
ファンの方々で知っている方もいるかもしれませんが、活動の最後の方はライブ一本もたないくらい持病が悪化していたんです。声の回復、体の回復というのもお休みしようと思ったきっかけだったので、音楽から約半年くらいは離れていました。
――それはケアということも含めてですよね。
そうですね、トータルですね。総合的に休息をしながら、人生のなかで音楽がなくなった瞬間でしたね。
――KEIKOさんと音楽って常に一緒にあったもので、音楽のためにKEIKOさんもいろんなことを考えて、いろんな行動やトレーニングをして。その音楽もKEIKOさんにいろんなものを与えてくれたというのはあると思うんです。逆に離れた時間というのはいかがでした? たとえば寂しいとかつらいとか、そういった心の動きってあったんでしょうか。
それが覚えてないんですよ。なんか記憶がぽっかり空いちゃっているんです。最後に日比谷で舞台挨拶をした日から秋くらいまで。たぶん夢中になって自分の知らない環境に飛び込んだり、体を休めたりして。振り返って思い出そうとしても、何をその時思っていたかとか、すっぽりそこだけ半年間抜けている感じなんですよね。すごく不思議ですけど。
――からっぽになっちゃったんですかね。
からっぽになったから、それを埋めるために新しいことを沢山やっていたのかもしれない。
探しつづけてたどり着いた、梶浦由記への回帰
――そんな時間を経て、改めて今回のソロデビュー。このソロデビューに至るまでに、心が動き出したタイミングというのはご自身のなかであったのでしょうか。
動き出したタイミングはすごく明確に覚えているし、すごくシンプルなんです。これまで見守ってくださった、支えてくださった関係者の方々から「KEIKOは歌わないの?」とか「音楽のことどう考えてるの?」とか、ちょこちょこ声をかけて頂いていたんです。
――やはり皆さんそこは気になるところだったんですね。
体が健康になってくると、自然と心も明るく元気になってくるのは当然で。夏が終わって秋口にかけて、身体もとてもよくなって。そこから、自分のなかでは触れてこなかった業界に関係のある方々と会ってみようという気持ちになってきたんです。今一緒に音楽制作をしているプロデューサーの与田さんとご縁があり、お話ししていく中で「ジャンルを超えて色んな音楽を歌ってきたKEIKOちゃんが、今歌いたい音楽って何かな?」って聞かれたんです。私そこで一瞬ビクッとなったくらい固まってしまって……。
――固まって、ですか?
はい、その質問に答えられなかったんです。「私、何を歌いたいんだ?」って思っちゃって。その自分にショックを受けて。これじゃあダメだと思って、それがスイッチでしたね。
――即答できなかったんですね。ちょっと意外です。
正直、音楽しかやってこなかった自分が、音楽に対していちばん大事なところの答えを持てていないというのは、ちょっとショックが大きかったんですよね。
――それをこう、見つけるためにまた動き出したという部分もあるんですかね。
スイッチが入ってからは、スタジオにずっとこもる毎日でした。照明を落として自分がコンサート会場にいるような気持ちで聴くという作業をずっとやってました。
――ずっとですか。
はい。
――本当にトライアンドエラーですね、それは。具体的な名前を出せるかわからないですけど、そのなかで印象に残っている楽曲だったりアーティストだったりはいたりするんですか?
それが梶浦(由記)さんなんです。
――おお……。
私が「これじゃない」と思い続けて。「もう見つからない」と思ったときに、梶浦さんのサントラ特集が流れてきたんです。その時「ああ…こういうことだな」って思ったんです。
――こういうこと、とは?
今現在の私が心を動かされるのは、梶浦さんの音楽だっていうのがわかって気持ちがすっきりしたんです。それまで私は「新しいものを!」って探していたので。新しいことをスタートするからには、新しい私の音楽を当然見つけたいじゃないですか。
――そうでしょうね。
でもよくよく考えたらFictionJunctionの曲もKalafinaの曲も、やりがいがあって、ものすごく楽しくて夢中になって。気づいたら10年やり続けていた。自分が夢中になれる好きな音楽だからやれたし、やりたかった。そのシンプルな気持ちにもう1回もどった感じがしたんです。というのが2018年の私の最後の答えでした。
――いろいろ探して最終的にほぼスタート地点に近いところに答えがあったというか。
逆にごめんなさいって感じもするんですよ(笑)。 結局そこかい!みたいな(笑)。
――それはとても感慨深いですね……。それで久々のステージということで梶浦さんのところに出演されたわけですが、そのステージはいかがでした。
楽しかった!ずっと「楽しい~」って言ってました(笑)。振り返った時に、楽しいという気持ちが一番に出てくるというのは大きな変化だったと思いますし、休んだからこその変化だと思っています。
――心の断捨離じゃないけど。
そうなのかもしれない。なかなか、大人になってから足を止めるって勇気がいるじゃないですか。でもあえて足を止めることも、私にとっては絶対に必要だった。
――そういう状況のなかで新たな気付きを得られたのは素敵なことですね。
今こうやって新しくスタートさせていただいているから、そういうふうに過去の話が今につながったっていう素敵な話に聞こえるとは思うんですけど、長くちゃんと音楽に携われるような心と体でいることが、自分の責任だなって今は思っています。
――久々のライブにどうでした?ってお聞きして。満面の笑みでKEIKOさんが「楽しかった」って言うのは、すごく新鮮かつ僕はうれしいですね。
ありがとうございます。もうねえ、本当に梶浦さんのライブで復帰できて良かった。みんながいたから。梶浦さんも、ボーカリストも、バンドも、みんながいてくれたから。だから楽しい気持ちになれたんだと思う。現場が違ったらまた違ったかもしれない。
――違う緊張もあったかもしれないですもんね。
そうですね。私にとってあったかいホームです。
メロディに惚れ込んで歌うことを決めた2曲
――改めてソロデビュー配信シングル「命の花 / Be Yourself」のリリースに関して聞かせてください。まずリリースのお話が来たときのことから。
基本的に今の環境は、音楽制作に集中させてもらってるので、リリースに関してはスタッフさんに聞いていただいたほうが詳しいかも(笑)。
――では、ご同席頂いているのでレコード会社の方にお聞きしましょう。このタイミングの配信シングルリリースというのは、何か戦略的なものもあったりしたんですか?
担当:ソロ活動復帰ということで、秋くらいにアルバムを出そうということは決めていました。でもKEIKOさんがどういう音楽をやろうとしているのか? というのは、お客さんもすごく楽しみにしているなと思ったんです。ちょうど「命の花」と「Be Yourself」という良い2曲が最初にできあがっていたので、まずはご挨拶を含めて2曲を配信シングルとして出して、お客さんの声も聞いてみたいという狙いがありました。
――なるほど、ありがとうございます。実際に手元にこの2曲が来た時の印象も聞きたいのですが。
私のなかでソロ活動をやること、それ自体がゼロスタートなので。これは感覚でしかないんですけど、まず「この曲を歌いたい、この曲が好きだ」という音楽を探すことをベースにしているんです。
――ご自身で好きと思えるものですね。
「命の花」は、「絶対歌いたいです」って言って。メロディに惚れ込んで決めました。「Be Yourself」はまた違った惚れ方で、私が趣味嗜好として好きな曲。テンションを上げたいときに聴いたりするような曲なんです。そういう感想を伝えたら、「声を合わせるだけ合わせてみたら?」という感じになって。そう考えたら「命の花」と「Be Yourself」は惚れ方の入り口は真逆ですね。
――そうですね、アプローチの違う「好き」ですよね。
そうです。だけど、両方とも私の好きな曲で。自分のなかに響くものがあった音楽だったので。
――とくに「命の花」のほうでは作詞も担当されています。ご自身でいまのお話を聞くと、惚れ込んで「書きたい」という気持ちに行ったんですか?
いいえ。
――えっ!?
えっと(笑)。 今まで作詞の勉強はしていないし、やってきていないことだから。とくに自分が「歌いたい」と思ったような好きな曲を、自ら試すようなことはできなくて。
――それはKEIKOさんの音楽に対する姿勢ですね。
でも今回「好きなんだったら作詞してみたら?」というお声を頂いたので「じゃあやってみます」という感じだったんです。でも自分が思い描いているような世界観が自分の言葉で描けなかったら、私はたぶんすっぱり作家さんにお願いしていたと思います。
――作詞を自分がする、というこだわりよりも音楽の世界観優先という感じですか。
やっぱり音楽は聴いていて気持ちの良いものがいいな。言葉のはめ方とか、空気感とか。作詞に関して前向きじゃないっていうわけではないんですけど、曲によってきちんと棲み分けはしていきたいなと。
――全部KEIKOさんが作詞をするというわけではなくて。
それはまったく考えていないですね。
――実際に書いてみて、大変でしたか?
やっぱり惚れ込んだ曲だったので、ちょっと曲に対して自分のハードルが高かったのかな。時間はかかりましたね。ちょうど制作期間が1月だったということもあって、寒いし大変だしでダブルでため息ばっかりついてましたね。「はぁー」って(笑)。
――寒い時期だとため息も深そうですね(笑)。
やっぱり、当然だけど簡単なことじゃないですね。でも苦ではなかったんですよ。どうしても歌いたいっていう気持ちが強すぎて。結局最後は、早くこの歌を歌ってみたいっていう、シンプルな気持ちで制作をしていました。
――歌詞をちゃんと作れないと歌にならない。
そうなんですよ。「歌えないよ、このままじゃ!」っていう。歌っては書いて、気持ちを言葉を乗せて、「違うな、この響きじゃないな」って、その気持ちをずっとため息とともに繰り返した1月でしたね。
全てが「音楽をやれて楽しい」の気持ちに繋がっている。
――聴いたときに、すっごいバカな感想なんですけど「全部KEIKOさんだ」と思ったんですよ。
何それ!(笑)
――いろんな思いが凄くこもっているから、いろんな色が混ざって見えたんですよね、歌のなかに。たぶんそれが、平板化した言葉となって「全部KEIKOさんだ」になったんですけど(笑)。
ははは!(笑)
――いろんな色を重ねて重ねて、ときには透けて下の色も見える。すごく多色構造に聴こえたんですよね。実際に歌ってみたときはどうでしたか?
歌詞を書いて歌うというよりは、歌いながら作っていったので。だから最後まで完結したときは、とても自然でしたね。
――書いたものを歌ってみたではなくて、歌の表現をするための言葉を探すという感じでしょうか。
言葉にすると難しいんですけど……メロディーから浮かんでくるイメージを探しながら、この母音を使うと歌が尖ってしまうとか。いちばん苦戦したのはそこでしたね。響きと言葉の一致する場所を探すのには時間かかりました。
――マッチングを探していたと。
そうですね。それは耳を鍛えられたKalafinaの活動があったからだと思います。
――歌い方が多彩に聴こえたのは、そのこだわりが出た部分だという感じはありますね。
ほかの作家さんが書いてくださったものだと、音に対しての言葉のハマりって、そんなに違和感を感じなかったんですよ。自分で書くことの難しさを1曲目からすごく体感しましたね。
――そう考えると、改めて作詞家さん、作曲家さんのすごさというのも、逆説的に感じますね。
すごいと思います。だからやっぱり初心者は初心者なりの、自分のことを知っておくべきというか。自分を知ったうえで何事も取り組むべきだなということは勉強になりましたね。最後の歌入れは楽しかったですけどね。
――全部今、音楽をやれて楽しいに紐づいているのがいいですね。
そうなんです!楽しいです!
――では歌詞で使われた言葉の意味、そういう作詞にあたってのテーマ的なものって、ご自身のなかではあったりするんでしょうか。
あります。でも、うーん……。難しいですね。作詞をしたことに対して語るのは初めてなんですけど、どう言ったらいいんだろう。作詞のままです、みたいな。探してくださいという感じかな。
――どちらかというと、ユーザーさんが聴いて、見つけたものを逆に聞きたいっていう感じでしょうか?
そうですね。いろいろな方が一生懸命毎日生活して、頑張って生きている。そういう人たちに向けて届けたい音楽っていうのを作りたいと思っているんです。その方々が自分の生活感に寄せて聴いてくれるのがいちばん嬉しいです。
――では2曲目の「Be Yourself」の話も聞きたいと思います。僕はこの曲、ランニングしながら聴いたら凄く気持ちよかったんです。
ありがとうございます、よかった(笑)。 私も「Be Yourself」を聴いたときに筋トレしたりとか、そういうときにテンションを上げてくれるビートだなと思っていたので。
――爽快ですよね。すごく。
私にとっては青春感みたいなイメージがあったので。どちらかというと、もう青春を遠くに感じだす年代じゃないですか(笑)。
――まあそうですね……(笑)。
でもそんなちょっと恥ずかしい気持ちをかき消すくらいのテンションと勢いと、前のめりな感じというか。何も考えずにそうやって気持ちいいって聴けるような歌を歌いたいと思って取り組みました。
「響きオタク」かもしれない
――すでにリリースから数日たっています。今までやっていなかったオフィシャルのツイッターも始まっていますが、ユーザーの反応みたいなところもご覧になったりしたんですか?
見てますよ。でも基本的に音楽制作の時間にしたいので、スタッフさんにお任せしています。でもちゃんと声を聞いています、ありがとうございます。
――どうでしたか、ユーザーの声は。
先程おっしゃっていただけたみたいに、まるまる1曲私の声で曲を聴けて嬉しかったとか、もっと聴いてみたいとか。歌声に関しての感想をいただけたりしたのがすごくうれしかったですね。
――たぶん今後の活動の中で、アルバム制作やライブで音楽を伝えていくということも今後出てくると思います。その時は改めて一人でステージに立つということになると思いますが、そのイメージって想像できたりしますか。
自分が新たに作り上げている歌声で、ちゃんと曲をつなげて表現ができるかっていうところは研究しだしているので、ライブに向けてというか、声のケアとしてのイメ―ジトレーニングはもうやり始めていますね。
――曲をつなげて表現できるかですか。
さっき言ったことに近いんですけど、素敵だなと思った音楽に声を乗せたくて制作に入るんですね。制作ではスタジオにこもって、その曲に対しての自分の声色、響きを探すんです。その時間がすごく楽しくて、今すべてをそれに賭けているんですけど。曲によって、自分の発声とか作りこみ方がぜんぜん違ってくるんですよ。
――なんかあれですね。楽しさを取り戻したらよりいっそうストイックになっていますね。
ストイックって言うのかなあ……オタクと言ったほうがいいかも。
――音楽に対してオタク?
響きオタクとか(笑)。曲を聴いていても、後ろで鳴っているこの音は何だろうとか。このベースライン気になり過ぎるな…とか凄く気になっちゃう。音萌がすごいんですよ。音萌という言葉は梶浦さんの影響かなー(笑)​。
――良いですね。音萌って言葉。以前よりさらに追求されている感じがあるというか。
追求する時間と環境を、今周りのみんなが作ってくださっているので。本当にありがたいですね。
――今の話を聴いたら絶対に聴きこまなきゃいけないってなりますね。
聴いてほしい。絶対おもしろいから(笑)。
――そういうこだわり的なものもファンと共有していきたかったりするんですか?
それもなんか、自由でいいかなって。たぶん私の萌えるポイントと、皆さんの気になるポイントは違うと思うんです。でも「KEIKOのポイントはここです」って情報があると皆さんの意識もそっちに行っちゃうじゃないですか。
――そうですね、情報が先にあるとそこを気にして聴いちゃいますもんね。
自由に幅広く聴いてもらえるようにお届けしたいです。
今思う、Kalafinaの10年
――では、Kalafinaについての思いも聞けたらと思っています。今改めて振り返って、Kalafinaの10年間ってどうでした?
Kalafinaの10年間は、うん。今私が歌えている理由。つながっているから。歌えているもの、歌いたいと思うもの、そういう軸を作ってくれた場所。それしかない。
――KEIKOさんが5月に配信リリースをされたことで、3人ともソロシンガーとして動き出しました。HikaruさんWakanaさんのソロ活動について思うことってありますか?
Kalafinaで出来なかったことを二人に目いっぱいやってほしい。そこしかないかなあ……。ソロと3人の活動って比較しようがないから。思い切り歌ってほしいです。
――Kalafinaに対する思い入れをすごく持っている方って多いと思っていて。ソロを聴いてKalafinaを思い出すっていう意見や、いつかまたあのハーモニーを聴きたいと思っている方はいるんだろうなと。
やっぱり、自分たちの歌人生をかけてあのハーモニーを作ってきたからこそ、そういうふうに今も思ってもらえるのは、正直嬉しいんです。心を込めて大事に歌ってきたつもりですから。だから、皆さんがまたそうやって聴きたいって思ってもらえるのは、私たちの活動や音楽を肯定してくれているように聞こえるので、本当に嬉しいですね。
――最後に、ファンの方に向けて一言いただければと思います。
SPICEさんでは、これまでいろんな気持ちをいろんな場面で語らせていただいてきました。こうやって新しいスタートを切るときに、SPICEさんのところで自分の言葉を語れるというのはとてもうれしいなと思っております。まだまだ始まったばっかりのKEIKOのソロ活動ですが、今とにかく楽しみながら音楽制作をしているので。そんな音たちを皆さんに届けられる日を私も楽しみにしていますし、皆さんもぜひ楽しみに待っていてください。これから一生よろしく!(笑)。
インタビュー・文:加東岳史

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