OLDCODEX Painter YORKE.
『WHY I PAINT
~なぜボクがえをかくのか~』
- 第89回♪Bathwater / No Doubt -
Apple Musicでノスタルジアのカテゴリーを眺めてる。
自分が20歳頃の年代の音楽を見てると
懐かしい曲に出会ったり、すっかり忘れてたけど
擦り切れるほど車の中で聴いたアルバムを思い出したり。

今日まったく人と話してないから変になりそう!って。
そのまま懐かしい話になって
当時の自分の独特すぎる行動や奇抜なファッションが暴露されていく。
僕は早く電話を切りたくなってるけど、
女の人のおしゃべりは止まらないからただ頷いてる。
銀色のモヒカンにした事、透明なヘッドフォン、
開けてたピアスもダンボールで作った変な立体物も。
不思議なことに今の僕はほとんんど覚えてない。
ただなんとなく匂いみたいな物を思い出してる感覚。
乗ってたバイクのガソリンの匂いと東京が混ざってるみたいな
あの感じだよ。
電話を切る時、「素敵な男の人になったね」と彼女は言った。
「ス・テ・キ!」
僕は笑いそうだったけど、電話の終わりはクールにキメておいた。
だって、ボロボロに破れたTシャツで、寝癖頭のまま1日を過ごして
電話を取った僕は、きっとどこからどう見ても
ステキな大人には見えないと自覚してるから。
それに子犬が成犬になっていく過程を見た人の
コメントみたいだった。
そういえば今日、僕も誰とも話をしてなかったなあ
と電話を切った後に思い出して
昔の話を共有してなんか心が軽くなってる気がする。

PHSかポケベルを駆使して連絡を取り合うのが最先端。
うん、懐かしい。
電話をくれたその子は忘れてたけど僕が覚えてる事もある。
映画でも観に行こうって遊びに行く約束をした。
僕はバイトで夜勤明け、2時間の寝坊して会えず。
それでも駅の改札で夕方まで待ち続けてたら
買い物帰りの彼女が現れて、
その後デニーズで謝りながら一緒にパフェを食べて
バイクに乗せて送っていった事。
「私怒ってるんだからね!」って怒ってないみたいな顔してた事。
それでそのまま、またバイトに行ったら、
その日はシフトの日じゃなくて散々だった。
ってことはよく覚えてるんだけどな。
その時バイト先のモニターでこの曲のMusic Videoが流れてて
ソファに座って煙草の煙の向こうでゆらゆら流れてた。
絶望的な気分を吹き飛ばしてくれたよね!
さ、もう夜だけどシャワー浴びて
マシな服に着替えて、髪型をとりあえずいい感じにセットしよう。
僕も誰かの20年後に、4分であの頃に戻れる音楽や絵を作りたい!
YORKE. / May, 2020