(C)2020「コンフィデンスマンJP」製作委員会

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【芸能コラム】長澤まさみのコメディ
エンヌぶりが爆発! 信用詐欺師が華
麗にだます「コンフィデンスマンJP」
の世界

 長澤まさみが主演し、コンフィデンスマン(信用詐欺師)の世界を描いて大ヒットした「コンフィデンスマンJP」の傑作選が、27日からフジテレビで放送される。最新映画『コンフィデンスマンJP-プリンセス編-』(公開日未定)の公開も控える本作の魅力を改めて振り返ってみよう。
 コンフィデンスマン(信用詐欺師)のダー子(長澤)と真面目で小心者のボクちゃん(東出昌大)、ベテランのリチャード(小日向文世)が悪徳企業やマフィアのボスなどの金の亡者たちから、あらゆる手段を使って金をだまし取る1話完結型の本作。
 2018年の4月期に連続ドラマとして“月9”枠で放送されて、数々のドラマアウォードで主演女優賞などを獲得。その後、2019年5月に映画『コンフィデンスマンJP-ロマンス編-』、そして映画の後日談となるスペシャルドラマ「運勢編」がそれぞれ公開、放送され、いずれも話題を呼んだ。
 昨今のドラマでは、「医療もの」「刑事もの」、そして形はさまざまだが「恋愛もの」に分類できる作品が高視聴率を記録する傾向にあり、そのため映画化までされるシリーズものは、それらのいずれかである場合が多い。その中で、“詐欺師”を主人公とした本作は異例だ。短期間で2度も映画化されていることからも、フジテレビの本気度がうかがえる。
 そんな本作は、物語ラストの「大どんでん返し」が魅力。視聴者にミスリード(物語の真意を誤解させる)させることによって、真実が明かされたときに衝撃を与える手法が多く用いられており、特に映画版やスペシャルドラマではその傾向が強い。ミスリードによって驚きの展開を生み出すのは、ミステリーものにはよくある手段だが、本作では「没入感」を味わえるのが特徴だ。
 主人公・ダー子らのキャラクターがとにかく魅力的で、詐欺師なのにどこか身近で愛らしいため、いつの間にかダー子たちに共感し、ハラハラドキドキし、ダー子を応援しているうちに、気づいたら全く違う答えにたどり着いている。それ故、どこからダー子たちの“演技”が始まったのか、種明かしまで気づけない視聴者も多いのではないだろうか。
 緻密で細やかな伏線の上に成り立つ上質なミステリーを好む、往年のミステリーファンにしてみれば、なんとも雑に映るどんでん返しかもしれないが、細かな伏線に気を取られるよりも、ただただ一緒になってだまされて、最後に「そうだったのか!」と爽快感を味わうことこそが、本作の最大の楽しみ方のように思う。
 もちろんそれは、長澤らの高い演技力があってこそ可能となっているものだ。長澤といえば、映画『世界の中心で、愛をさけぶ』(04)での白血病のヒロイン役で涙を誘う熱演を見せ、一躍、スターの座に就き、『海街diary』(15)では恋に重きを置く次女・佳乃役で強いインパクトを残すなど、これまでも女優として高い評価を得てきた。
 そんな長澤が、お笑い芸人顔負けのギャグを連発し、変顔も披露。異常なテンションでまくしたてる姿もまた、見事にハマっている。コメディエンヌとしての才能が見事に開花した。
 加えて、小日向の芸達者ぶりも、東出の何だか感情がこもっていないように聞こえるせりふ回しも、本作のキャラクターにぴったり。毎話登場する“ターゲット”(劇中では「オサカナ」と呼ばれている)のゲストも豪華で、見応え十分だ。
 さて、公開が延期となっている映画最新作「プリンセス編」では、ダー子・ボクちゃん・リチャードに加え、赤星栄介(江口洋介)やジェシー(三浦春馬)、スタア(竹内結子)ら懐かしのメンバーも集結。“伝説の島”と呼ばれるマレーシアのランカウイ島を舞台に、史上最大のコンゲーム(だまし合い)が始まる。個人的にはこの3人があってこその本シリーズだと思うだけに、何かと注目が集まる東出の去就云々は、作品の良し悪しとは別物として考えてほしい気がする。(嶋田真己)

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