“集める楽しみ”を復活させる試み 
「ワンフェス」に見るプライズフィギ
ュアの動向

 今回は2月9日に開催された「ワンダーフェスティバル」で気になったものをピックアップしたレポートをお送りします。前回の記事(https://anime.eiga.com/news/column/figure_trend/110601/ )では全体のまとめでしたが、今回は単独ジャンルについて。かなり遅ればせながらになってしまいましたが……。
 このところますます高精細高価格になっていくフィギュアですが、その一方で低価格で買いやすいものをという流れも増えてきています。以前から展開しているグッドスマイルカンパニーの「POP UP PARADE」は今回大きなコーナーを設置してアピールしていましたし、アニプレックスも「Fate/Grand Order」の低価格帯フィギュア新シリーズを発表していました。
 現在のフィギュアは高価になりすぎて、かつてはあった「集める楽しみ」からは縁遠いものとなっていますが、こういった低価格帯のフィギュアはその「集める楽しみ」を復活させ、新たなフィギュアファンを増やそうという意図もあるわけです。実際のところ、フィギュアファンの平均年齢は確実に上昇していて、若いファンにしてみればフィギュアは高すぎて手が出せないものになっているわけですから。
 そして、手を出しやすいフィギュアということでは忘れてはいけないのがプライズフィギュア。ワンフェスにも毎回いくつかのメーカーが参加し、新作の発表を行っています。今回はそのあたりの動向についてまとめてみましょう、
 まず、ワンフェスに毎回参加しているのがセガプライズ。今回もさまざまな新作を展示していました。
 同社は「新世紀エヴァンゲリオン」のプライズフィギュアにおいて、最初期から原型師の宮川武氏とあげたゆきを氏を起用、ガレージキット的なハイクオリティな造形を実現していました。その後もガレージキットで活躍していた原型師を続々と投入、プライズフィギュアの造形クオリティを一挙に上げました。店舗向けのカタログにも原型師名を記載してアピールしていたのですが、他メーカーがその原型師名を参考にするということがあってからは、カタログや業者向けの展示会での原型師名記載はなくなりました。ですが、一般向け造形イベントであるワンフェスでは原型師名を発表するのが通例になっています。ということで、ワンフェス展示の物からいくつかピックアップ。
 セガプライズ最大の定番アイテムである「エヴァ」は6月の「シン・エヴァンゲリオン劇場版」公開に合わせて、新作&再販を多数発表。ここぞとばかりに力が入ったモノになっています。
 定番の「Fate」シリーズや、「ご注文はうさぎですか??」「Re:ゼロから始める異世界生活」。関連作品やキャラクターが多い「Fate」シリーズ、第3期に向けてラインアップが充実してきた「ごちうさ」、オリジナル衣装展開が可能な「Re:ゼロ」と、それぞれ特徴があります。
 他にも「初音ミク」「ソードアート・オンライン」「この素晴らしい世界に祝福を!」などが定番として多数のフィギュアが登場しています。
 テレビアニメがこれからスタートする「宇崎ちゃんは遊びたい!」などの最新作や「はたらく細胞」等のようにこれまであまりフィギュア化されていなかったような作品も。さらに現在いちばん人気が高い作品である「鬼滅の刃」も早くから展開していました。
 プライズフィギュアメーカーとしては、フリューも参加。フリューは毎回参加ではなく、大体年1回冬のワンフェスに参加しています。
 フリューのプライズフィギュアと言えばまずはこれ。ぬーどるストッパーフィギュアはこれまでのものをずらりと並べていました。
 他にもこれから登場予定の新作アレコレ。
 バンプレストブランドは大きなブースを構えることもあるのですが、今回は同じBANDAI SPIRITSの一番くじの一角に、展開を始めたばかりの新シリーズESPRESTOを数点だけ展示していました。
 どのメーカーのプライズフィギュアも多少彩色面ではオミットされている部分はあるものの、造形クオリティはドンドン進化を続けて現在では一般販売フィギュアと比べても遜色ない物になってきています。信じられないのは、ゲームセンターへの販売価格は決まりがあってこの20数年その上限は変化していないということ。いくら量産効果があるとはいえ、信じられない価格(いろいろあって直接数字は書けませんが、ちょっと調べればすぐ出てくるはずです)をキープし続けているのです。
 最近、海外では単体の商品として発売されることも多くなっていますが、大体その価格は20~25ドルくらい。市場はドンドン大きくなっています。さらには海外でも人気の高い作品に関しては、来日する海外観光客向けのインバウンド商品としても注目されているのです!
 ……というのがワンフェス前後までの状況。これが新型コロナウイルスの影響でガラリと変わってしまっています。
 中国のフィギュア工場の影響でフィギュア生産が軒並み遅れ、どのメーカーも登場予定が大幅にずれているのです。毎月の登場予定日をウェブに掲載しているバンプレストブランドを見ると、3月に登場するフィギュアは5種程度。通常は1カ月で20種以上が登場しているのに、です。セガプライズも軒並み登場時期未定扱い。ゲームセンターもお休みしていたり、お客さんも減っていたりでかなり大変なことになっています。
 とはいえ、そういったイレギュラーな状況はあったにせよプライズフィギュアジャンルの展開はこれからも要注目。高価格になることでフィギュアに手が出せなくなっている、フィギュアを買う習慣のない若年層へのアピールや、海外ファンへの市場拡大など、ある種の最先端にあるのがプライズフィギュアなのです。
 そういったプライズフィギュアは通常のフィギュアと一般ファンに直接販売するのではなく、購入するのはゲームセンターなど。なので展示会も通常は業者向けで一般の入場は出来ません。一般向けに展示されるのは、年1回のJAEPO(アーケードゲームの展示会。業者日と一般日があります)か年2回のワンフェスくらい。次のワンフェスは11月の予定ですが、その際はぜひプライズメーカーもじっくり回ってみて下さい。
 最後にちょっと宣伝。3月31日に、ホビージャパンからフィギュア専門ムックの「フィギュアJAPANマニアックス フィギュアをつくるということ」が発売されます。今回も企画編集などを担当しています。
 フィギュアをつくるというのはどういうことかというのをテーマにして、注目の新興フィギュア会社リコルヌを取材。表紙にもした最新作のジャンヌ・ダルク〔オルタ〕や「アイドルマスター シンデレラガールズ」のフィギュアなどを撮り下ろし写真でたっぷり見せつつ、フィギュア作りのさまざまな側面や覚悟などについて聞いています。他にもフィギュア×プラモデルとして注目のFigure-riseLABOやアニプレックスの新フィギュアシリーズ、デジタル造形、デジタル金型、人気原型師インタビューなど盛りだくさん。巻頭では「Fate15周年フィギュア」特集も。いろいろと濃い誌面になっていますので、ぜひよろしくお願いします!

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