いよいよ稽古スタート! 鈴木拡樹×
三浦宏規が心境を語る『リトル・ショ
ップ・オブ・ホラーズ』

ミュージカル『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』の開幕がいよいよ3月に迫った。
『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』は、ディズニー映画の音楽で知られるハワード・アシュマンとアラン・メンケンがオフ・ブロードウェイでミュージカル化して以来、アメリカや日本で度々上演されている。1986年のミュージカル映画版もカルト的人気を誇った本作に、今回、鈴木拡樹と三浦宏規がダブルキャストで主演する。
今回ふたりが演じる主人公シーモアは、花屋で働く青年。彼は同僚のオードリーに思いを寄せている。不思議な鉢植えを手に入れ、その植物に『オードリーII』と名前を付けて育てるうち、シーモアは信じられない出来事の数々に直面する。『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』とタイトルに「ホラー」がつくものの、コミカルで少しブラックな物語だ。
昨年11月に行われた、ふたり揃っての合同取材から早3か月。稽古場にて現在の心境や意気込みを伺った。
実際に稽古がはじまった「今」について、まず質問した。鈴木は「とてもいい雰囲気、とにかく明るい雰囲気の現場です」と笑顔を見せる。
三浦は稽古入りしたばかり。「緊張して入りましたけど、すごく皆さんが優しくてあたたかい稽古場でした」と稽古初日を振り返る。シーモアは様々な個性溢れるキャラクターたちに翻弄される役どころとあって、「気弱で(表現が)難しいところもあるキャラクターですが、皆さんが雰囲気を作ってくれているので助かります」と話した。
鈴木は「シーモアはスキッドロウというスラム街のようなところで育った子で、少しネガティブな捉え方をする子」「それでも、普通はあり得ないだろう、喋る植物(オードリーII/声:デーモン閣下)をそのまま受け止めてしまうような、優しいところのあるキャラクターなので、そういう面を見せられるといいなぁ」と微笑む。
「実際にシーモアはパッとしないですよね。情けなくて頼りない。でもお客さまはきっと、シーモアを通してストーリーを楽しんで下さるのではないかなと思っています」と三浦が続ける。
ここまで気弱な役柄は、ふたりとも初体験となる。
三浦は「僕自身、まだシーモアがどんな欲望を実際に持っているのか掴み切れていない。オードリーIIと出会って、思ってもいない自分の欲求を知ることになるシーモアをどう演じていけるか考えています」と真摯な眼差しで語った。
ふたりに、他のキャラクター・共演者のことも尋ねてみた。
ヒロインのオードリーについて、鈴木は「シーモアから見たら高嶺の花で、女神みたいな存在」。しかし、「可愛いだけではなく、かなり天然なヒロインのオードリーは見ていて、『生きていくのに支障があるのでは……?』と思ってしまうほど(笑)」と役柄を語った。「色んなところが欠けているシーモアとオードリーなので、補い合いながら一緒にいるんだなぁ」とヒロインと主人公の相性を表現した。
(左から)鈴木拡樹、三浦宏規
鈴木がオードリー役の妃海風について「妃海さんは歌い終わるときに、ふっと口角が上がるんです」と、ジェスチャー付きで話すと、三浦も大きく頷き「(妃海さんのオードリーは)見ていて惹き込まれます」と言葉を継いだ。
また、もうひとりのオードリー役の井上小百合(乃木坂46)については、三浦同様、稽古入りして間もないこともあり、鈴木は「まだ話をあまり出来ていない」そうで、「人見知りをするのかなぁ。僕も人見知りするので親近感がある」と微笑んだ。
三浦は、シーモアが勤める花屋の店主ムシュニク役の岸祐二の名前を上げて、「先日、はじめて歌と芝居を合わせたんですが、大丈夫かな? とビクビクしている僕に優しくして下さいました」「シーモアはWキャストなんですが、ムシュニクはひとり。同じ場面を(シーモア役が交代するため)何度もやらなきゃいけなくて大変なのに、気さくで温かく接して頂いてます」と語る。
ふたりともやはりオードリーII(声)のデーモン閣下がとても気になる様子。「どんな風に稽古場に来るんでしょうね」「まだ今の時点ではお会いできていないんです」と語りながらも、「(オードリーIIを演じる)声はイメージできますよね。すごくぴったり」と頷き合っていた。現段階で、オードリーIIがどんな風に登場するのか、まだふたりは知らないそうだ。
続いてお互いへの「今質問したいこと」を聞いた。
三浦は、以前「走るのが好き」だと話していた鈴木に「昨日は走ったんですか?」。鈴木は「走りました!」と笑顔で返事をした。「もう日課ですね。走らないのは地方公演の時くらい」と聞いて、すごいと感心する三浦に、こんどは鈴木が「何かそういう日課はあるの?」と尋ね返す。少し考えていた三浦だが、「野菜ジュースを飲んでます。あと青汁!」と元気よく笑顔で、健康を気遣う一面をのぞかせた。
最後は「今言っておきたいこと」。鈴木は言いにくそうに「(共演者間で)みんなLINEすると思うんだけど、グループとか作って……、でも、LINEやってないんだよね」と切り出した。「え!?」と驚きを隠せない三浦は思わず「スマートフォン持ってますか!?」。
「もし何かあったら教えてね」と相談をもちかける鈴木に、「分かりました!」と三浦は頷く。
(左から)鈴木拡樹、三浦宏規
稽古前の短い時間ではあるが、時間が許す限り語ってくれたふたり。鈴木は様々な場面で、11月の合同取材でもテーマに掲げていた「楽しむ」を口にしていた。三浦はシーモアという役に誠実に向き合おうとする強い意志が見える。ふたりの打ち解けた様子からは、カンパニーの和やかな雰囲気も窺えた。
本公演は、2020年3月13日(金)から4月1日(水)まで日比谷・シアタークリエでの上演を皮切りに、4月には山形、愛知、静岡、大阪を巡演する。
取材・文=森 きいこ 撮影=山本 れお

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