太田彩華と太田家って同じ人たち?不
思議な2マンライブ『太田まつり』が
開催。その真相は…。青春の渇きとは
…。

夢を追い求めることをやめない限り、その人は輝きを放ち続ける。その光が眩しかろうと、くすんでいようと、夢という光源が消えない限り、その輝きが失せることはない。
夢を追い求めることに年齢も限界もない。たとえ足掻き、這いつくばろうとも、いくら汚泥を被ろうとも、その夢を追い求める輝きを消さない限り、たとえ泥水の中だろうと誰かしらが小さな光を見つけ、そこから掬いあげてくれる。もちろん、その輝きに吸い寄せられる人たちが多いほど、その輝きは眩さを増してゆく。
人が光に惹かれるのは、眩しいからではない。その光が必死に輝こうとするからだ。たとえその姿が惨めで格好悪かろうと、必死に輝こうとする光に人は自分にない憧れという羨望を注ぎ応援したくなる。その輝きが、どんどん磨かれてゆくほど、その光にずっと照らされていたくなる。
青春とは、何時だって眩しい輝きを放っている。不器用で不格好で、必死に足掻く姿ほど、じつは眩しく輝いている。青春は、10代を指す言葉ではない。夢を求め足掻き続ける限り、青春はいくつになっても終わることはない。何故なら、青春は心の渇きを満たそうと足掻くことだから。感情のペダルを必死に漕ぐほど青春は輝きを増していく。その輝きに気付いたとき、人は、その光のもとへ引き寄せられる。まるで、闇夜にポツンと光る街灯へ集まる無数の虫たちのように…。
2月15日(土)渋谷SPACE ODDを舞台に行なわれた、声優/アーティスト2つの顔を持つ太田彩華と、4ピースバンド太田家による2マンライブ『太田まつり』。先に説明をしておくと、太田家というバンドのヴォーカル&ベースを担当しているのが太田彩華。つまりこの日は、ソロアーティスト太田彩華としてのライブと、彼女が率いるバンド太田家(メンバー全員が太田姓)が 同じステージで共演する形を取っていた。この組み合わせをさらに面白くも複雑にしているのが、太田彩華の演奏を担うメンバーは、全員が太田家のメンバー(太田彩華のときは他のベーシストが参加)。つまり、出演者たちが、太田彩華の持つ2つの音楽スタイルを分けて表現していたということ。転換(着替え)の合間には、鉄道芸人の太田トラベルがMCを担当。太田家のライブでは、お客さんたちのことを親戚(=太田さん)と呼ぶように、この会場には太田さんたちが集結することから、タイトルも『太田まつり』となっていたわけだ。
後ろまで大勢の観客たちが詰めかけた会場。ライブの先行を担ったのが、太田彩華。声優/アーティストとして活動しているように、タイアップする作品内容へ自分の表現も染め上げてゆくよう、太田彩華として歌う楽曲も良い意味で多様性に富んでいる。オリジナル曲は、彼女の普段のキャラクターと重なるように明るく開放的な曲調が多いのも特徴の一つ。

 ライブは、「手と手 手と手」「手と手をかざす」と、太田彩華の掲げた手へ向けフロア中から無数の手がステージに向けられる「はじまりの手」からスタート。とても明るく華やかな楽曲なのも魅力的だ。前半は、胸を熱くするポップチューン「宵山で散って咲き誇れ」や跳ねたビートにのって楽しくスウィングするパーティナンバー「全員カンパイ PartyNight」など、触れたとたんに心を無邪気に解き放つポップソングを連投。フロア中の人たちも大きく手を振り上げ、ときに歌の掛け合いも行ないながら、気持ちが騒ぐまま笑顔ではしゃぎ続けていた。

中盤には、立て続けにゲームのタイアップ曲を披露。「月食のソワレ」では、妖しくも凛々しい歌声を侍らせれば、太田彩華みずから「病ンデレ」の心境を歌詞に綴った「True or Bad Ending」では、最初は穏やかだったにも関わらず、楽曲が進むにつれ感情が激高。歌声を通し、心がどんどん病んでゆく様を表現。改めて声優シンガーとしての表現力の秀逸さを感じさせられた。

「とても思い出深い歌であり、太田彩華の始まりを告げた歌。どんなことがあっても、この歌を通してみんなと心は繋がっていられる」と語りながら、胸込み上げる想いを零すように歌った「Eternal Birth」。最後に太田彩華は熱情した想いをぶつけるように「命の花」を熱唱。彩り豊かな花束のよう、限られた時間の中へ太田彩華は多彩な歌の花を咲かせていった。
4月で活動から間もなく1年を迎えるのが、「文学的青春パンクバンド」を標榜する太田家。ライブは、その言葉に相応しい淡い青春の心模様を、愛しい人への想いを乞い求めるように歌う「星明かりのメロディ」からスタート。勢いよく駆けだした演奏と歌声が、感情の昂りに合わせどんどん熱を上げてゆく。かつて「青春パンク」という言葉が流行った頃に注目を集めていたバンドたちが歌っていたような、青臭くて不器用な、だけど必死で、とても前向きな心模様を太田家は届けてゆく。あのときから燻り続けていた青春パンクという名の叫びを、太田家は今の時代の中に甦られた。その泥臭くも真っ直ぐな心の渇きが、熱く胸を揺さぶる。その勢いを、さらに爆発させるように届けた「どうせ僕らは」。とてもエナジーを放熱する楽曲だ。フロア中の人たちが、昂る気持ちのままにメンバーらと熱い声を交わしあうのも納得だ。
太田家は今、青春パンクナンバーを3曲カバー配信している。↑THE HIGH-LOWS↓の「青春」を通してぶつけた、在りし日の青い自分たちへ想いを馳せながらも、今も終わらない青春の日々を謳歌する姿。同じく、沸き上がる想いのままにエモーショナルに歌いあげたモンゴル800のカバー曲「小さな恋のうた」。歌い語るように響かせた文学浪漫ナンバー「夢の散歩者」では、何時だって青春という日々の中で人生を謳歌し、夢を追い求めてゆく自分たちの姿を示していた。
 終盤を彩った、これぞ文学青春パンクロックと言うに相応しい「名もなき少年の 名もなき青春」では、幾つになっても心を熱くたぎらせる青い炎へ、渇望という薪をくべてゆく様を投影。まさに、青春の叫びという言葉が相応しいネエルギッシュなライブを披露していった。最後に届けたガガガSPのカバー曲「卒業」では、疾走する演奏に乗せ、太田彩華が熱情するままに沸きだす言葉を吐き続けてきた。終盤にはベースを置き、拡声器を手に言葉をぶつけてゆく姿も登場。鳴りやまぬ心の叫びを振り絞るように歌う様は、瞼へ強烈に焼きついた。
アンコールでは、太田家の新曲「愛とアストロノミア」を歌唱。華やかで解放感を持った楽曲を高揚するままに熱唱してゆく姿も印象的だった。最後に、太田彩華バンド/太田家のメンバー全員が集合。2バンドのセッション演奏という形を持って太田彩華の「Fanfare~僕たちの奇跡~」を演奏。とても明るく弾けた楽曲のように、フロア中の人たちも拳を突き上げ「Oi!Oi!」と熱い声を上げながら、誰もが満面の笑みを浮かべながら楽しさを謳歌していった。

表現や形態の異なる2つの姿を通し、太田彩華は自身の中にある多様な音楽性を示してくれた。いや、彼女が貫き続ける「青春の渇き」という一つの芯をしっかりと提示してきた。彼女は今も、心の渇きを潤そうと歌い続けている。灯した光を輝かせようとしている。そして僕らは、その青い光に触れたくて、やはり心の手を伸ばしてしまうんだ。

★インフォメーション★

【太田彩華】

⊿TUNES第1弾『Future PROMISS -結束-』
一般配信記念ライブイベント
日程:2020年3月15日(日)昼・夜公演
場所:本八幡the 3rd Stage
出演:三澤紗千香 @misawa_official 相坂優歌 @yuuka_aisaka 太田彩華 @ota__ayaka

4月4日(土) 11:40開演
会場 秋葉原グッドマン
出演:鈴湯/太田彩華/上間江望/いぶりがっこ/momoca/小松美恵、他
ライブポケットにて前売券発売
https://t.livepocket.jp/e/l3t-h

【太田家】

3/18(水)下北沢ろくでもない夜
「”The Doll Parts”レコ発」
18時開場18時半開演
前売り2500 当日3000+D
The Doll Parts/BAD TASTE CABARET/MARY/THE MERCY SHOT/太田家

Tags: 太田彩華,太田家 

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