『フロム・ザ・リーチ』は
豪華なゲストを迎えた
サニー・ランドレスの会心作
本作『フロム・ザ・リーチ』について
とは言っても、本作『フロム・ザ・リーチ』は彼のアルバムの中にあって、最もキャッチーなロックサウンドである。ゲストで参加しているエリック・クラプトン、ロベン・フォード、マーク・ノップラー、ヴィンス・ギル、エリック・ジョンソンら、スーパーギタリストと手に汗握るようなギターバトルを繰り広げていて、ランドレスとしては珍しくハメを外している感じが伝わってくるのは楽しい。ハイライトは「ブルー・タープ・ブルース」(マーク・ノップラーがギター&ボーカルで参加)、「ホエン・アイ・スティル・ハッド・ユー」(クラプトンがギター&ボーカルで参加)、「ウェイ・バスト・ロング」(ロベン・フォードがギター&ボーカルで参加)あたりで、ゲストのプレイも良いがランドレスのスライドソロは神がかっていると言いたくなるぐらい凄いプレイの連続である。
収録曲は全部で11曲、全曲ランドレスのオリジナル(1曲だけ、女性SSWのウェンディ・ウォルドマンと共作)で、全編にわたって聴けるランドレス自身の素直なリードヴォーカルは素晴らしい。また、コーラスをおろそかにしていないところが彼らしいところで、ジミー・バフェット(1回のコンサートで10万人単位が集まる大スター)、ナディラ・シャクー(元アレステッド・ディベロップメント)をバックヴォーカル要員として使っているし、グラミー賞を20回受賞しているマルチ・インスゥトルメンタリストのヴィンス・ギルに至っては、ギター1曲とバックヴォーカル3曲で使っているのだから実に贅沢な起用である。
本作は彼の立ち上げたレーベル(ランドフォール)からの1作目で、ビルボードのブルースチャートで彼自身初の1位を獲得する。このアルバムで彼の音楽を気に入ったら、もう少しルーツ寄りの『ウェイ・ダウン・イン・ルイジアナ』や『サウス・オブ・1-10』を聴いてみてほしい。ジョン・ハイアットの『スロー・ターニング』('88)や、ランドレスは参加していないが『ストールン・モーメンツ』('90)も秀作なのでぜひ!
TEXT:河崎直人